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今朝は早く起きた俺、世の中週末で今日は日曜日。 夏休みになると何も特別な曜日ではないんだけど。 



そんな感じでテレビをつけるとアニメがやっていたので観ていた、結構アニメとか仮面なんちゃらとか小さい時から観ていたので未だにやっていると観てしまう。



そんな時賄さんも起きてきてリビングにやってきた。



「…… はよ」

「おはよう」



少し眠たそうにパジャマで出てきた賄さんは俺が座っていたソファの前の床に座った。



「ふあ〜、今日日曜日だったんだ」

「うん」



しばしの間ボーッとして賄さんは無言でアニメを観ていた、アニメが終わると腕を伸ばして立ち上がった。



「何か食べる?」



まだ少し眠たいのか気怠そうな顔をしながら俺の方を向いてそう言ってくる賄さんはまだ中2なのに大人っぽい見た目と同時に自分と同じで子供っぽいような幼さみたいなものがあって少しエロく見えたからドキッとした。



「パンでいいかな」

「いいの?」



パンなら焼くだけで食べれるし片付けも手間取らないし何か作ろうとしている賄さんにとってもいいと思って。



「うん」

「わかった」



そして焼いていると次の番組が始まって観ていると何故か賄さんも俺の横に立っていて観ている。 こういうのも好きなのかな?



「賄さん仮面なんちゃら好きなの?」

「あ、うん。 よく観てた」

「へえ、意外」



女子はそういうの早めに卒業してるかと思ってたし賄さんは見た目が大人っぽいから余計に。



「うん? 賄さん、なんか焦げ臭くない?」

「ああッ!」



2人とも見入っていたからかパンを真っ黒に焦がしてしまった。



「ごめん」

「いいよ、これは捨てて新しいの焼こう」

「宮下君はそうして、あたしはこれでいい」

「ええッ? そんなことしなくていいよ」

「あたしが焼いたんだもん」

「でも別にそんなの」

「いい、あたしが食べる。 むぐッ……」



こうなると賄さんは意地になって聞かないんだった。 パンを口に入れるが苦いのか賄さんの顔が曇る。



2枚もあるのに全部黒焦げのパン食べる気なのかよ……



「げほッ、んぐ……」



むせながら食べ続ける賄さんを見ていて俺は仕方ないと思いもうひとつの黒焦げのパンを手に取った。



「んあッげほッ、宮下君??」

「マズい…… これはキツいね賄さん」

「なのに何してるの?」

「俺も焼いてたのわかっててテレビに夢中になってこうなったから食べる権利はある」



そんな権利いらないんだけどさ、賄さんにだけ食べさせるのは酷だと思って。



「権利って…… ゴホッ」



賄さんは咳き込むと溜め息を吐いた。



「捨てよう」

「え?」

「ごめんなさい、あたしイライラ宮下君にぶつけちゃって」

「賄さん??」

「迷惑掛け続けてる、ワガママばっかりであたしちゃんとしないとって思って…… またこんなことして。 なのに宮下君が優しくするからつい。 本当にごめんなさい」



賄さんは頭を下げた。



「迷惑なんて思ってないから。 言ったじゃんこれはこれで楽しいって」

「…… あのさ、あたしみたいな根暗」

「そのままでもいいって言ったよ」

「変わってるね宮下君って」

「そう?」

「うん。 あ、あたしも言われるけど」

「賄さんが?」

「うん、しーちゃんにね。 あたしって結構子供っぽいて」



賄さんは十分大人っぽ…… いや、考えてみたらそうでもないぞ? 確かに見た目だけなら背も高いし顔もそこいらの女子なんかより全然綺麗で整ってるけどここに来てからの賄さんは最初から自分の無茶な意見を親に言っておいて離れる時は土壇場で行かないでと泣きじゃくって硬い具のビーフシチューで俺が美味しいと言ってもむつけたり今朝の子供向けアニメを夢中で観てたり今のパンのことだったり。



「確…… かに。 あッ」



俺が納得したような表情をするとムスッとこちらを見る賄さん……



「今確かにって言った」

「あ、言ってないよ」

「言ったし。 ってこうすぐムキになるとこか」



自分で気付いて「はあ〜」と大きく賄さんは溜め息を吐いた。



「あたしみんなより背が高いのも目立つから嫌だったし美人とかそういうの最初はあたしみたいなのでも取り柄みたいなのがあっていいかもなんて思ってたけどよく考えるとそれも目立つし人と上手く話せないし思い掛けずに話しかけられてもしどろもどろになるしそうなるくらいなら関わらないようにしなきゃって」

「でも賄さんちゃんとこうして俺としっかり話せてるよ?」

「あれ?? そうかも。 宮下君がしーちゃんと同じこと言ってたからかな?」

「さあ? それはよくわかんないけど別に変に遠慮とかしなくていいよ、だってそんなんじゃ賄さんストレス溜まるだけだし」



そう言うと賄さんは下を向いた。 



あ、また余計なこと言っちゃったか??



「ううッ……」

「へ?? 賄さん?」

「口の中がずっと苦い、お水ちょうだい」

「あ、はい」



賄さんに水を渡すと一気に飲み干した。



「新しいパン食べたい」

「じゃあ焼こうか?」

「うん」



パンを焼くと賄さんはジャムをいっぱい塗ってパクっと口に含んだ。



「おいひぃ。 みやひたふんも食へて」



口に含みながら喋る賄さんはホントに子供みたく見えた、まぁ俺ら子供だし。 というか賄さんって根暗というより超人見知りで仲が良い人とか気を許せる人にはちゃんと自分を見せれるのでは?



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