↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
35/48

35


「着いたよ、起きて宮下君」

「んあ…… あれ? 寝ちゃってた??」

「うん気持ち良さそうに寝てたよ」



いつの間にか寝てたのか。 賄さんの前で変な寝顔してなかったろうな俺?



「ここで降りるの。 忘れ物ない?」

「大丈夫、賄さんこそ」

「あたしは準備万端、じゃあ行こう」



駅から降りてすぐのとこに動物園はある。 そして着くとまずはチケット、俺は財布を出して料金を払おうとすると……



「いいよ宮下君、あたしが払うから」

「ええ? このくらいなら大丈夫だよ、あ!!」



ササッと俺がお金を出す前に賄さんは俺の分のチケットを買い渡された。



「いいからって言ったもん」

「素早い……」



それから賄さんと動物園を見て回る。 ライオンやゾウ、それに水族館でも見たペンギンがここでも居た。



「オカピだって。 珍獣?」

「ああ、オカピね」



キリンみたいなシマウマみたいな……



「へぇ、確かに変わった見た目だよねぇ。 メスの方が大きいんだ」

「俺と賄さんみたいだね」

「え?」



とボソッと言葉に出てしまった。 ヤバい、失言だったかと恐る恐る賄さんを見ると……



「あはッ、そうかも」

「ははは……」



良かった、怒ってないみたい。 しばらく見て回ると芝生の広場があって何組か親子連れやカップルと思しき人達がレジャーシートをひいて座っていた。



賄さんもそれを見ていて俺の肩をちょんちょんとつついた。 



「ねぇ、あたしも持って来たんだ、ちょっとあそこで休憩しない?」

「え!?」



賄さんがリュックから小さめのレジャーシートを取り出した。 



まさかそれをひいて俺と!? って賄さんもそう言ってるじゃないか? いいのか?



賄さんに連れて行かれ芝生の上にシートをひくと賄さんが座る。 



「宮下君も」

「あ、うん」



思ったより狭い……



賄さんはリュックから水を出すと俺に渡した。



「ありがと」

「うん」



シートに座ってしばらく家族連れの人や他の人をボーッと見ていた。



「こういうのってあたしにあんまり縁がないなって思ってたけど」

「思ってたけど?」

「宮下君が水族館に連れてってくれた時とっても楽しかったから今度はあたしが誘ってみたいなって思ってて」

「ああ…… 俺も賄さんがこういうとこ誘ってくれるなんて思ってもみなかったから楽しいよ」

「ほんと? じゃあ来た甲斐あった」



俺と賄さんはそのまま少し話をしていると……



「ねえ、もしあたしが宮下君の家に転がり込んでこなかったらこんな風になるなんてことなかったのかなぁって考えない?」



それは結構考えたことある、そうだとしたら多分そうだろう。 賄さんが俺の家に来なかったらきっといまだに俺にとって賄さんはみんなが思うクラスの美人の生徒でそのまま接点なく終わっていたんだろうなと。 そもそもそうなるともう会えなくなっちゃうかもだしな。



「賄さんがそう思うってことは賄さんもそんなこと考えてたの?」

「賄さんもってことは宮下君考えてたんだ?」

「うん、考えたことあるよ。 まぁ賄さんだったら俺じゃなくて例えば他のもっとかっこいい人だったり賄さんが一緒に住んでて恥ずかしくないような人と仲良くなったらってのも考えたけど」

「それはないよ」



食い気味に言われると賄さんは続けた。



「確かに最初はなんで宮下君? とか思ったけどさ、かっこいいとかそういうのあたしにとってどうでもいい。 恥ずかしいとか思ってもないし。 クラスの人達に騒がれるのとかはイヤだけどそれはそれで別の話だし」

「ああ、ちょっと違うけど俺もそれで親に揶揄われるのと同じ様な気持ちになるからわかるよ」

「ふふッ、エッチな本もバレたくないもんね?」

「あ、あれは違くて……」



ここでエロ本の話をぶっ込んで来られるとは……



「そういえばこの前化学室に居た人達もあんなことしてたのかな?」

「あんなことって…… もしかしてあの本見たの?!」

「…… 上からパラパラッとちょっと」



なんつーこったよ、俺の…… もとい優のエロ本を見たのか!? 上からパラパラッとってどんな場面であんなことってどんなこと?? 



「ええと…… なんかよくわからないけどあのエロ本みたいなことはないと思うしあったらあったでどうかと」

「ぷぷッ、嘘」

「へ?」

「宮下君の見ちゃいけないような物っぽいから見てないよ。 予想通りの反応したからつい」

「最近ちょくちょく賄さんに意地悪されてるような気がする」

「ごめんね、だって宮下君可愛いから」



ん? 可愛い?? あれ、これって流石先輩が可愛いがどうとか言ってたよな。



そうだ、女の人が本当にキュンと来るのが可愛いって言ってたんだ! ま、まさか災い転じてってやつか?!



いやいやでもまさかエロ本見つかってそういう展開ってありえるのか? でもそもそも可愛いって賄さんの中ではキュンと来るのか? 賄さんにとってかっこいいとかどうでもいいというのは可愛いとかもどうでもいい定義ということじゃないか? 先輩の言ってたこともあてになるかわからん、実際フラれてるし……



「と、とりあえずあれは捨てるんだし」

「そういうことにしとく。 宮下君お腹空いたでしょ? 何か食べよう」



お腹空いてるのは賄さんのような気がする、シート広げて弁当食ってる人達ばっかり見てるし。 まぁお昼過ぎてるしな。



フードコートで昼食を済ませ、賄さんはプレーリードッグを見てると……



「可愛い!」

「賄さんって可愛いの好きなの?」

「え? だって今までゴリゴリしたのばっかり見てたし」



ゴリゴリって…… ああ、可愛いといえば前に猫の動画とか見て可愛いって喜んでたなぁ。



「…… ッ! うん、可愛いのは大好きだよ」

「ん? え? あ、そうなんだ……」



こっちを向いて微笑んで静かにそう言った賄さんにジッと見つめられた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。