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「…… さだよ」

「え?」

「朝だよ宮下君」

「な、なんで賄さんが?」



パジャマ姿の賄さんが起きたら目の前に立っている。



「だって宮下君ドア越しで言っても起きないんだもん」



あれ、そうだったのか? 



「ってまだ6時ちょい過ぎ。 それに今日は休みの日じゃ……」

「もう忘れてる、教えてくれるって言ったじゃんゲーム」

「ゲーム?」



確かにちょっと前に言ったけど何もこんな朝早く人が寝てるところに来なくても…… !! つーか俺変な顔して寝てなかったよな? ヨダレとか垂らしてないよな!?



顔を確認する俺に賄さんはキョトンとした顔になる。 



それよりも賄さんもう慣れたのかな? 結構普通に俺の部屋に入ってくるようになったような。



そんな俺は一回しか賄さんの部屋に入ったことないけど。 堂々と入りに行くことも出来ないし。



「眠い? やっぱ朝早過ぎたかな? ごめん」

「ううん、俺が寝坊助なだけだから。 賄さんはちゃんとしてるよ」

「……」

「どえッ!!?」



賄さんがベッドに座って横向きに俺に身を寄せてきた、賄さんの重さで半分身を起こしてた身体がまたベッドに埋まる。



「優しい宮下君」

「ええッ?」



優しいと言うより賄さんと比べたら自分の家で甘え放題な俺は実際賄さんよりちゃんとしてないので本当のこと言っただけだ。



て、てかなんで俺こんなに賄さんから好かれてるんだろ? これってやっぱり好かれてるんだよな!? 賄さんがいくら他人とはあんまり関わらない分仲良くなるとこういう風に接してくるとか言い聞かせてたけどこれは世間一般的に言えば好きと同義じゃないか?



最初はあんなにギスギスしてたのに。 俺が賄さんに優しいから? そりゃ賄さんくらいの美人なら男だったら大抵優しくすると思うし賄さんに言い寄ってた奴らもそれなりに優しくするとだろうしそいつが俺みたいな賄さんよりチビでチェリーなガキより断然イケメンかもしれないのによりにもよって俺とこんなに仲良く? なるなんて。



ということはひとつの考えが思い浮かぶ。 そう、別にたまたま俺のとこに来ただけであってもしこれが俺じゃない違う男だったとしても優しかったら賄さんは俺じゃなくてもこうなったんじゃなかろうか?



何故かそう考えてしまうと少し…… というよりかなり心がズキリと痛んだ。



でもそんなのわかんねぇじゃん、しかもたまたまでも俺のとこに来たってだけで超ラッキーじゃん。 でもそれでも俺じゃない方が賄さんと釣り合ったりして? 



なんか俺ってそんなことで動揺してるなんてどんだけメンタル弱いんだ? 現実に賄さんから好かれてるんならもうそれはそれでいいじゃないか!



モヤモヤしていると賄さんと毛布越しとはいえほぼ密着しているようなもんだ。 



良い匂いする、シャンプー? 賄さんの匂い? どっちでもいいけど。 それよりなんでこんなことなってんだ……



「目覚めた?」

「え?」

「ビックリさせたら目覚めるかなって思って」



それでもちょっとやり過ぎたみたいな顔で恥ずかしそうな顔をして賄さんは身を起こした。 



「あ、あははッ、確かに目覚めたよ」



それでシーンとなると気不味いので何事もなかったように答えながらいつもの癖で俺も起き上がるとベッドの下の収納ケースを開けようとして思い出した。



服の下に隠してあるが咄嗟にヤバいと思って勢いよく閉めると親指が挟まって悶絶する。



なんたる間抜けだ……



「うああッ、いってぇ」

「だ、大丈夫!? 見せて??」



そんな賄さんが挟んだ親指を見る。



「痛そう…… 爪割れてる」

「まさかこんなことで怪我するなんて」



優のせいだぞクソー! やっぱエロ本こんなとこに置くなんて迂闊過ぎたか……



「ば、絆創膏持ってるから待ってて!」



こういう時って絆創膏なのか? まぁないよりいいけど。



賄さんが戻って来ると親指に絆創膏を貼ってくれた。ピンクでなんかのキャラクターが描いてある如何にも女の子が使いそうな絆創膏だ。 賄さんの見た目とその子供っぽい絆創膏のギャップがあってしばらく親指を見つめた。



「…… こんなのしかなくてごめんね」

「や、そういうわけじゃなくて可愛いなって」

「うん、可愛いよね絆創膏が」

「そうだけど。 賄さんもだよ……… って、あ……」



うわぁー、ついポロッと。 俺ちょっとキモ過ぎだろ…… それに会話途切れちゃったし。 賄さんも言った途端一歩下がるしドン引きじゃねぇか。



「あの…… なんていうか今のは言葉の綾みたいな」

「う、うん。 それでもなんか…… 嬉しかった」



そして間が空いてしまう。 



嬉しかった? 嬉しかったってドン引きはしてなくて可愛いと言われると賄さんでも嬉しいって俺でも?? 



「いててッ」



ベッドに座ろうとして親指が触れると痛くて我に帰った。



「これじゃゲーム出来なそうだね。 ごめんね、あたしが起こしに来たせいで」

「大丈夫だよ、賄さんがやればいいし。 俺は教えるなら出来るしさ」

「ああ、そっか!」



賄さんはフフッと笑ってうちの親が起きてくるまで俺と賄さんは朝からゲームをしていた。





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