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東方銀訪傳  作者: くまっぽいあくま
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2-2

2-2


ムラサは、てゐが回復するのを待たずに医務室をでた。


(お守りもなくなったし、久しぶりに力を解放するか…)


ムラサは中二病みたいなセリフを言って、物質化を解いた。


ミナミツ・ムラサは念縛霊という名の悪霊である。

一言でいうと船幽霊だ。


海で出くわす船を片っ端から沈めてきた。

その自分が船を救うために悪霊としての力を解き放つのだから、世の中というのは分らないものだ。


どろどろとした霊気がムラサの周囲にあふれ出してくる。

つーっと通路の床を水が流れ始めた。

たちまち床面が仄暗い水面に隠れてしまう。


『バケモン退治するにはバケモンをぶつけんだよw』

ムラサの声が鳴り響く。


ムラサの体が水の中に沈んでゆく。

ムラサは水で水はムラサなのだ。



『AGEAAAAAA!!!』


怪奇音を上げて、ムラサが水面を滑るように移動した。

霊には霊を。

霊体のムラサには同じく霊体である魚のようなモノがハッキリと見える。


ガシュッ


イナガを叩き付けると魚のようなモノは破裂し、気となって霧散する。


魚のようなモノは凶暴な性質のようで、ムラサに襲いかかった。

群がって殺到する。


『沈没アンカー!』


ムラサの周囲に巨大な碇が出現し、魚たちを押し潰してゆく。

ついでに通路の壁がぶっ壊れたが、緊急事態ということで許してもらおう。


『コラテラルダメージだな!』


ムラサはアンカーを振り回した。

魚達は圧倒的な暴力の前になす術もなくすり潰されていった。


(こいつら、天敵を持たないな)


ムラサは直感した。

敵がいないため、恐れを知らない。

しかし、常に自分より弱い存在としか相対したことがないため、戦い慣れてない。

ただ正面から数で押すだけである。


まあ、ムラサの脳筋さ加減も大概で、正面からぶち当たる事しか考えてないから似たようなものなのだが。

弾幕が使えないので近接戦闘のみになるから仕方ないのかもしれない。


『URYYYYYY!』

どっかで聞いた叫びを上げ、ムラサはアンカーを盾のようにして体の前に構え、前進。

敵を押し潰しながら追いやってゆく。


ついに魚たちは逃げ始めた。

本能が負けを認めたのだ。

後は、追撃戦になる。

ムラサはある場所へ魚たちを追い込んでいった。


『はあっ!』


投網を放って、魚どもを文字通り一網打尽にする。

霊を捕まえる網だ。


『では、さらばだ』


ムラサは、とあるハッチから投網ごと魚たちを投げ捨てる。

エンジン噴射口に通じるハッチ。


ひゅー。


ボッ


魚たちは高温のプラズマ噴射を食らって消滅した。



てゐはすぐに回復して、乗組員達の治療を始めた。

栄養をたっぷり注入して寝かせる。

トライアイ人も人間と同じような組成をしているので、同じやり方で良かった。

一眠りすれば回復してくるはずだ。

実際、アズマは最初にやられたからか、一番に回復した。


「魚の死骸は?」

「消えたウサ」

「あー、証拠がなくなったかー」

「コンピュータ、何か証拠になるものはウサ?」

『監視カメラに映ったムラサ少尉の映像を抜き出してみます』

「あ、意外に有能」

ムラサは感心したが、


『……ムラサ少尉が消えたり映ったり、理解不能、理解不能…』


映像を扱った途端にコンピュータが混乱しておかしくなった。


「悪霊は初めてみたいウサね」

「うるさい」

「じゃあ、コンピュータのメモリからムラサの映像を削除しようか」

アズマが言った。

「映像は外部メモリに移したしね」

「だね、コンピュータのアシストなしじゃ、やりずらいし」

「やりづらいどころか、宇宙軍隊員はコンピュータなしじゃ着替えもできないウサよ」

「あ、それは言い過ぎ」

アズマが心外とばかりに言う。

「確かに、コンピュータに頼ってるところは多いけど、着替えくらいはできるよ」


「料理」

「うっ…」

「物質複製器に頼りすぎて自力で調理できないウサ」


「洗濯」

「ぐっ…」

「コンピュータが勝手にやるから服は脱ぎ捨てるだけ」


「いや、もう分ったから、一つ一つあげつらうの止めて…」

アズマは降参したようだった。


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