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東方銀訪傳  作者: くまっぽいあくま
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ミナミツ・ムラサは、星間連盟宇宙軍士官学校、幻想郷分校で4年間学び、卒業した。

この分校は、表向きは校長の上白沢慧音によって運営されているが、実際には永遠亭の八意永琳が教練のほとんどを請け負っている。

宇宙船や星間連盟に関する知識を扱えるのが永琳以外にはいないというのが理由だ。

星間連盟の宇宙船は幻想郷へ来た後に月の都へ赴いており、月人達と協定を結んでいた。

幻想郷の技術水準では星間連盟と交流するのが困難だったからだ。

月の都と協力する、これは当然の結果だ。

月の都には星間連盟宇宙軍の基地と士官学校が設立された。

月の都の住人、月人・月兎は長寿である。

宇宙軍は未知の宇宙の探索を使命としている。

宇宙の探索には長い時を要する。

普通の人の寿命では心許ないのだ。

同じ理由で、幻想郷にも士官学校をという意見が持ち上がった。

妖怪は長寿である場合が多い。

宇宙の探索に適している。

しかし、これには一つ問題があった。

幻想郷の技術水準、知識水準、その他諸々は、まったくもって連盟の求める水準に達していない。

それを満たすのは八意永琳しかいない。

しかし、永遠亭の蓬莱山輝夜、八意永琳は月の都においては犯罪者である。

犯罪者を表立って起用する訳にはいかず、苦肉の策として、間に人里を挟んだのであった。

人里の運営者が必要に応じて教官を雇うのはOK、という解釈だ。

ムラサは宇宙船に乗りたいという情熱から士官学校分校へ入ったのだった。

士官学校卒業後は月の都艦隊基地へ配属され、任務につく事となる。

幻想郷分校の者はシャトル・ハゴロモで月の都へ渡航する。

『長寿と繁栄を』

「あー、どこで覚えたんだよ、それ?!」

なんかそんなやり取りをして、ムラサは我が家ともいうべき命蓮寺に別れを告げて、月の都へと渡った。

今回初の卒業で一期生はムラサ、てゐの二人である。

他はみな脱落していた。

幻想郷の妖怪達は忍耐力に欠けるきらいがあった。

ムラサは船に乗るという目的のために頑張った。

「そういや、てゐはなんで士官学校に?」

ムラサは道中暇潰しがてらに聞いてみた。

「私は前から月に行って暮らして見たかったウサ」

てゐは目を輝かせて答える。

「ふーん」

「もっと興味持てよ」

兎にしてみると、月というのは一種のステータスらしい。

地上の兎はみな月の兎に憧れるそうな。


(よく分からん)


適当に世間話をして時間を潰していると、月の都の宇宙港に着いた。

月の都は建設ラッシュで、宇宙港、宇宙船整備施設、宇宙軍基地、宇宙軍士官学校、宇宙軍隊員宿舎、娯楽施設などを急ピッチで建設して、まだ何かしらの施設を建てようとしている。

ちなみに穢れを嫌う月の民なので、娯楽施設には上品で大人しい娯楽しかない。

せいぜいフットマッサージや酒が飲めるレストラン程度のものしかない。


星間連盟は貨幣経済から解放されているそうだが、こちらではそうもいかないので、一応、給料と物資の配給がある。

いかな月の都でも貨幣経済からは未だ解放されてはいない。


(外の世界、どんだけ進んでんだろうな)


ムラサには理解できない世界だ。

かつて、外の世界には「皆で平等な世の中にしようね」という思想があったとかなかったとか聞いたが、それが失敗続きであったというから、貨幣経済からの解放などという絵空事のようなものは想像もできない。

外の世界は24世紀に入り、幻想郷との文化差が相当進んでしまったということなのだろう。

結界の強化がこんな結果になるとは誰も予想できなかった。

今の博麗の巫女は8代目なのだが、3代目か4代目だったかの時に完全に外の世界と隔絶する方策が取られた。

幻想郷は時が止まったかのように停滞した。


そう、あの日、連盟の船が結界を飛び越えてくるまでは。


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