プロローグ
プロローグ
「船長!ジャンプドライブに異常!このままでは宇宙の何処かへ飛ばされます!」
士官が叫び、パニックになる。
「落ち着け、異常の原因は!?」
船長のアサツキは士官を叱責した。
「なんらかの力場がジャンプコアに干渉していると思われます! 」
「ジャンプコアを停止させろ!」
アサツキが指示を飛ばすが、
「無理です!」
士官は絶叫し、頭を抱えた。
「ジャンプ中に停止したら最悪、コアが爆発します!」
「機関室、ジャンプコアを爆発させずに止める事は!?」
アサツキは通信機で通信する。
『そんなのムリです!』
機関室から返事が返ってくる。
「宇宙の何処かへ飛ばされるんだぞ?死ぬよりもヤバいだろ!」
『爆発四散よりかマシです!』
機関室で機関主任が言った。
『運が良けりゃあ既知の宇宙ですぜ!』
「クソッ!」
アサツキは腹立ち紛れに椅子のひじ掛けを叩いた。
「ジャンプ解除されます!」
士官が言うと、すぐにモニターに映し出される光の帯が収束する。
「航海士、現在位置を調べろ」
アサツキが言うと、航海士は周囲のスキャンを行う。
「こ、これは…町並み?」
「どうした?報告は明確に行え 」
「…真下に町があります、それも古い時代の」
「なんだと?」
アサツキは船長席から立ち上がった。
モニターには木造建築が立ち並び、古い時代の布の服を着た人々が往来を歩いている。
そう、古い日本の服装だ。
艦隊の船は町の上空を飛んでいた。
「ここは地球です」
「どういうことだ?」
「正確には、我々の知る地球とは位相がズレた地球です」
「…何ということだ」
アサツキは呆然と町並みを眺めた。
*
その日、幻想郷の人里上空に、一隻の宇宙船が現れた。
人々は驚愕し、見物するしかなかった。




