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00 プロローグ

本作が処女作となります。

拙い文章ではありますが楽しんでいただけたら・・・。


「はい、有難う御座います。…はい、…いえ、そんな、ふふっ有難う御座います。…えぇ、こちらこそ今後ともよろしくお願い致します。はい、失礼致します」


手にしていた携帯端末を切っていくらか緊張していた身体から力を抜き、デスクチェアの背もたれにもたれかかる。




「ふー…。やっと納品終わったぁ、全部間に合って本当に良かった…」


怒涛の納品ラッシュを終えて、その安堵と達成感から思わずつぶやく。


思い返すのは、懇意にして頂いている取引先の方から依頼を受けた時の事。



いや、今思い返してもだいぶ無理のある依頼だったと思う。

おおよそ一年分を三か月でこなしたっていうもんだし。


でも、無理をしたおかげで無事に納品出来たし、料金にも色を付けてもらえた。



「終わり良ければ全て良し!ってね」



さてと、仕事も終えたことだし、お金にも時間にも余裕が出来た。

しばらくの間はゴロゴロして過ごしていても良いとは思うけれど、今回は違う。


待ちに待っていた荷物が昨日届いたのだ。

仕事を終えたからなのか、これから始めることに対してか、高揚感で頬が緩んでいるのが自覚できるが抑えられない。



抑えるつもりなんて無いけど。




納品前で忙しく、届いた荷物は梱包そのままに寝室に置いていた。

梱包を解いている今も、心が躍っているのがわかる。


まるで子供の頃、クリスマスプレゼントを開ける時の様に逸る気持ちが抑えられない。



抑えるつもりn(略





「これが最新のVRギア!思っていたよりもずっとシンプルで小さいんだぁ」


VRヴァーチャルリアリティという言葉が世間に浸透してから数十年。

情報に疎い自覚のある私は、ここ数年でのVR技術の著しい発展をほとんど見逃していた。


最後に手に取ったギアは、フルフェイスのヘルメットくらいのサイズだったから、この小ささは衝撃だ。



最新のVRギアへの感動もそこそこに、私の手は止まらずに次々に配線や設定をこなす。

女性が配線関係を苦手とする事は多いけれど、私はむしろ強いタイプです。




「んと、これで基本的な設定は終わりかな。あとはゲームデータをインストールっと」





そう、私が楽しみにしていたのはゲーム。

VR技術を使った、VRゲームと呼ばれるものだ。



私がVRゲームに手を出したのは、もう十何年も前のこと。

高校生の頃が最後かな?


オンラインゲームもその頃以来やっていない。


その当時はまだ、ネット上のセキュリティ問題だとか、ネット上のマナーの悪さとかが問題視されることがしばしばあったのも事実。



要はその頃少し怖い思いをしたせいで、怖気づいて手が出なくなってしまっただけ。


それでもゲームは好きだったから、レトロゲームとかシングルプレイ専用のとかはずっと続けていた。


元々、性格的にもコツコツと、ちまちま積み重ねていくことが好きなタイプだったから。問題が無かったとしてもいずれそうなっていたんだろうな、とは今になって思う。



誰かと一緒に、歩みを揃えつつ進むっていうのに憧れはあるけれど。


私には無理だ。割とすぐに自分の世界に入り込んでしまう性格だと自覚しているし。





っと、少しぼーっとしてしまっていたかな?


ゲームのインストールが終わっている。




さて!ではゲームを起動させますか!


ワクワクしながらギアをかぶって、ベッドに横になり眠るように目をつむり、力を抜いてゲームを起動させる。







『身体スキャン、脳波測定、開始』


『検査結果、問題ありません』


『キャラクタークリエイト開始します』




機械的な音声が流れた後、目をあけると、六畳ほどの白を基調とした部屋が映った。



映った?…違う。私がこの部屋にいるのか。

身体があるわけじゃないんだね。


手や足などは見えない。ただ視点が浮いているだけの様だね。


キョロキョロと見回して視点のズレの無さに地味に驚く。




目の前には水晶っぽい素材の台座に、モニターの様なものが乗っている。





-キャラクタークリエイトを開始しますか?-




文字の下には『はい』『いいえ』とある。

これ・・・どうやってアイコンを動かすんだろう?


あぁ、視線で動くんだ。地味にすごいな。


では、『はい』を選んでっと。





すると台座の横に何かが形作られていく。


何か、っていうかこれ私の身体だ・・・。


なんて恥ずかしい・・・。何故に裸なの!?

・・・こんな忠実に再現されるとは。思わず視線をそらす。


まぁ自分の身体なんて見慣れているんだけどね、データ化されていると思うとちょっと・・・。






気を取り直して、無表情の私の顔をしている物体と向き合う。


・・・うーん。無表情だと本当に冷たい印象になるなぁ。



これは私の小さなコンプレックスだ。


私の眼は、二重で割とぱっちりしているのに、少し切れ長なせいか、どこか冷たい印象になる。

少し男顔だし、どこの歌劇団の男役の方ですか?って顔だ。


身長も170㎝あるからね。


関西に行った時に本気で間違われることもあった。




とはいえ、私ももう良い大人だ。これくらいのコンプレックスはもう克服している。


解決策など無数にある。私にとっては化粧と表情を作ること。


昔は悩んだりもしたけど、今思えば思春期特有の小さな悩みだ。どうってことない。

今となっては私の愛すべき個性です。







っと、それはそれとして今はキャラクターを作ろう。





とはいえ、どう作ったほうが良いのか?


どうせなら・・・現実とはまるで違う姿のほうが良いのか?

それとも現実に寄せたほうが良いのか?



とりあえず、いろいろ試してみますか。




お読みいただいて有難う御座います。


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