デュランダル?
訓練場に着いて直ぐにラトリスは準備に入った。
「どんな相手であれ、売られた喧嘩には全力を出すのが流儀でな。」
軽く運動をして、ラトリスが呟いた。
「その心意気、賞賛に値する。しかし勝つのは我々だ。」
ライザーがそう言った。
「改めてルールを説明する。どちらかが戦意喪失するまで戦ってもらう。ただし、死に至らしめるのは原則禁止とさせてもらう。双方、このルールでよろしいか?」
大臣が説明した。
「解った。」
「それでいい。」
「ラトリス、頑張って!」
ララが叫んだ。
「ライザー、手加減は無用よ。全力を出しなさい。」
マロンも叫んだ。
「姫もそう言っていることだし、全力で行くぞ!」
「…あっそ。」
ラトリスは乗り気では無さそうだった。と、ライザーがデュランダルを抜いて身構えた。
「さあ、剣を抜け!」
「…これが構えだ。」
腰だめにカグラを構えてラトリスが言った。
「変わった構えだな。まあいい。」
「それでは、始め!」
大臣の一言で戦闘が開始された。ライザーが突っ込み、袈裟懸けにラトリスに襲いかかる。しかしその動きを見て、ラトリスは後ろに飛び退いた。
「どうした?恐れをなしたか?」
「…」
ラトリスは構えを解いた。
「どうした、構えろ!」
ライザーが叫んだが、ラトリスは、
「今ので解った。」
「なっ、なにがだ!」
「その剣、デュランダルじゃない。ただのなまくらだ。」
「なっ!?」
ラトリス以外驚いた。
「本物はまだシュラン王国にある。違うか?」
「何を根拠に!?」
ライザーは焦りながら言った。
「さっきの渾身の一撃、本物なら大地を抉るほどの威力があるはず。しかし、お前の剣はそうはならなかった。」
「なんだと…」
確かに地面にはヒビすら入っていなかった。
「それに、お前ごときを選ぶ聖剣なら、ただのなまくらよりもたちが悪い。俺はそう考えた。確かマロンとか言ったな?」
「なっ、なんですの?」
「本物を持って来い。じゃなきゃお前等の負けだぞ?」
そう言われて、マロンは冷や汗をかいた。
「…」
「国が存続の危機にあるからこんな無謀な暴挙に出たんじゃないのか?」
「…何でもお見通しなのですね。」
「マロン姫、国の存続の危機とは?」
レイナードがマロンに聞いた。
「…実は、私の兄達2人が争っていて、シュラン王国は今、3つの勢力に別れているんですの…」
「そんなことに…!」
「ですから、負けてフィリア王国の支配下に置かれる方が良いと父上がおっしゃって…」
「そんなくだらない戦いに俺を巻き込んだのか?」
ラトリスは少し不機嫌になった。
「他の国は当てに出来ません。あなた方フィリア王国であれば、良い国にしていただけると、判断したのですよ。」
「レイナード、どうするんだ?」
「…少し考えさせて貰えるか?」
「…はい。」
そう言って、ラトリス達は謁見の間へ、シュラン王国の使者達は客間へと向かった。
「さて、どうしたものか。」
「国の存続の危機ですもんね…」
レイナードが呟き、ララが答えた。
「ラトリスさん、何とかならないんですか?」
「嘘までついて助けを求めて来たんだし、何とかしてあげたいわ。」
「…」
ラトリスは答えない。目を瞑って何かを考えていた。そして、
「1つ提案がある。」
そう呟いた。
「どんな方法ですか?」
「聖剣デュランダルを手に入れに行く。」
全員が驚いた。
「…可能なのか?」
「聖剣は伝説なら持ち主を選ぶそうですよ?」
レイナード、レナがそう言った。
「カグラからの提案なんだ。」
「その剣が?」
ララが不思議そうに聞いた。
「持ち主として、その言葉が聞き取れる。俺に聖剣を手に入れろと言っているんだ。」
「…可能なのか?」
「使者達の反応を見るに、まだ誰も手に入れていないんだろう?」
「…確認してみようか?」
直ぐに使いを出して、使者達を呼び寄せる。
「確かに聖剣デュランダルはまだ城の地下で眠っていますわ。」
「その剣と、ラトリス殿を引き合わせたいのだが、可能か?」
「可能だと思いますわ。でも…」
「でも?」
「あれは人を選びます。選ばれなかったら…」
「…どうなるんだ?」
マロンは少し躊躇いながら、
「精神が発狂します。何人もの人間がそうなりました。」
「まさか、其方の兄達も?」
「…そうです。兄達も選ばれなかった上に、国を乗っ取ろうとする暴挙に…」
「御託はいい。会わせて貰おうか、その聖剣に。」
「ラトリス殿…」
ラトリスが痺れを切らして言った。
「大丈夫なんですの?」
「さあな。でもな、このまま終わってしまうには、勿体ないだろう?」
「?」
「好きなんだろ、国のことが。」
「勿論ですわ!」
「なら可能性に賭けろ。」
そう言って、
「悪いがシュラン王国に行ってくる。後のことは頼んだ。」
「待って下さい、私達も行きます!」
「そうよ!」
「しかし、依頼が滞るだろう?」
「仕方ないわよ。ねえ、マリア。」
「そうですよ。隣国の一大事なんですから。」
「偶には小旅行も良いと思いますよ。」
「ミーナも行くよ!」
「…はぁ。解った。てなわけでマロンとか言ったな?」
「はっ、はい。」
「俺達5人で行く。案内を頼んだ。」
「わっ、解りました。」
そうして、シュラン王国に行くことになった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




