村の雑用 3
朝食のあと、ラトリス達は新しい井戸を作るために村の中心にやって来ていた。
「本当にこの下から水が出るんですか?」
マリアが心配そうに言った。
「水脈の流れからして、この真下が一番水が多いようだ。」
「もしなかったら?」
「無駄骨になるだけだ。でも、サーチの魔法でも、この下に水があることは判明しているから、大丈夫だ。」
そう言うと、ラトリスはスコップで掘り始めた。
「魔法は使わないんですか?」
「水脈の近くまでは手で掘る方がいい。火の魔法なんか御法度だしな。」
「私達に出来ることは?」
「じゃあ交代で掘っていこう。30分交代で。」
3時間ほど掘ったあと、
「よし、こんなもんだろう。」
「疲れた…」
「やっと終わりね…」
「いや、まだだけど?」
「え…」
「今度は綺麗に周りを削る作業だ。」
「…井戸って大変なんですね。」
「知らなかったわ。」
周りを綺麗に掘るのに1時間かかった。そして、コンクリートのような物で土を固めてから、ようやくラトリスは、
「やっと水が出せるな。」
「お、終わった…」
「ひぇぇ…」
「お疲れ様、美味い水が出ることを祈っておくんだな。」
水脈にめがけてウォーターの魔法をかけた。すると、勢いよく地下水が溢れ出す。
「魔法の水じゃないですよね?」
「直接水脈にかけたからな。間違いなく自然の水だ。」
「勢い良すぎないかしら?」
「そのために広めに掘ったからな。安定するはずだ。」
暫くすると、水の勢いは収まり、自然と丁度いい水深まで貯まった。
「まずは毒味だな。マリア、飲んでみてくれ。」
「ちょっと、ラトリスさん!?」
「どうした?」
「心の準備が…」
「ったく、しょうがないなぁ。」
そう言って、ラトリスは一口飲んだ。
「どっ、どうですか?」
「普通の水だ。美味いよ、疲れた体にはな。」
「どれどれ…」
マリア、レイナも続いて飲んでみる。透き通った喉越しのいい水だった。
「美味しい…」
「こんなに美味しい水、始めてかも。」
「相当疲れたからな、早く村の皆にも飲んで貰おう。」
その日は井戸の近くで遅くまで宴会が催された。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




