家族
ラトリス達は2軒隣り合った家までやって来た。
「ラトリスさん、ここが私達の家です。」
「家が隣通しだったから、自然と仲良くなったのよね、私達。」
そんな話をしていると、両方の玄関が開いて、
「マリア!」
「レイナ!」
いきなり男が2人飛び出してきた。どうやら2人の父親らしく、
「ただいま、お父さん。」
「帰ってきたわよ。」
2人がそう言った。
「よくぞ無事で…長旅で疲れただろう?家でゆっくりするといい。ところで、そちらの方は?」
「ラトリスさんです。私達の師匠です。」
「初めまして、ラトリスといいます。」
「女性かと思ったが、男性で間違い無いですか?」
「そうです。大抵の人は名前と顔で女性に見えるそうですが。」
「大変ですな。どうぞ中へ。」
「レイナ、とりあえずマリアちゃんの家へ行こう。母さんも呼んでくるから。」
「えぇ、色々聞きたい事もあるから。」
とりあえず、マリアの家へ入っていった。皆が集まったあと、今までの経緯の話がされた。勿論、マリクとレイカの話も出た。
「そうかぁ、2人が帰ってきたのはそういう理由か…」
「はい。ドラゴンの情報が欲しいんだけど、何か無い?」
「そうだな、見かけただけで襲われた訳じゃないからなぁ。」
「具体的には?」
「空を見上げた時に飛んでいった、それだけなのだよ。」
「それでも報告したら、こんな事になってしまった。申し訳ない。」
「大事の前の小事です。しかし、何事もなく良かった。それで、マリクとレイカのお墓は何処に?」
「裏に2人一緒に埋葬しました。」
「解りました、ちょっと失礼します。」
そう言って、ラトリスは出ていってしまった。
「あの方、相当強いわね。」
マリアの母親が言った。
「解るの?」
「そりゃあねぇ。」
「まさかマリクとレイカの師匠でもあったとは、思っていなかったがね。」
「ラトリスさん、いつも私達の事を見てくれているんですよ。」
「話し方も穏やかだし、安心したよ。」
「ふふっ、何の心配も無いわよ。」
「それで、どうするんだ?」
「「?」」
「どちらかと結婚するのか?」
「「ぶっ!」」
マリアとレイナは盛大に吹き出した。
「しっ、しないわよ!なに言ってるのよ!?」
「あれだけの人だ、村に是非いて貰いたいのだが…」
「そんなんじゃありませんよ!?」
「むぅ、勿体ない。」
「あくまで師匠ですから!」
「しかし、遅いな。2人とも、様子を見てきてくれ。」
「全くもぅ。」
2人は裏庭に出た。ラトリスは座り込んで、マリクとレイカの墓の前で何かをぶつぶつ言っていた。
「久しぶりに会えたんだ、ゆっくりと話したいところだが、今日はこの辺でな。」
そう言って立ち上がった。そして後ろを振り返り、
「済まない、少し話が長かったか。」
「いいえ、何をしていたんですか?」
「2人に近況報告だな。マリアとレイナはもう心配いらないって。」
「そうなの?」
「あぁ。それと、暫くこの村に滞在しようと思う。」
「いいんですか?」
「向こうはミーアに任せてあるし、この村の他の厄介事を片付けよう。」
「じゃあうちに泊まって下さい。兄さんの部屋がありますから。」
「うちでもいいわよ。姉さんの部屋だけどね。」
「…有難う。」
とりあえずマリアの家にお世話になることになった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




