トーム村
ドルトムントから話を聞いた3日後、ラトリス、マリア、レイナの3人は街道を歩いていた。因みに、ミーアとミーナは今回置いてきた。
「馬車でも2日かかるのに、のんびり歩いていて大丈夫なんですか?」
「早く行って、村を救いたいのに…」
「ある意味これも特訓だ。」
「それってどういう意図が?」
「焦るときほど落ち着かなきゃならない。2人はもう少し落ち着いた行動が取れるようにならなきゃな。」
「そうですか…」
「確かに焦っているかも知れないわね。」
「焦るとなにが必要で、なにがいらないことかも解らなくなるからな。」
そんなことを話しながら、街道を100キロほど歩いた頃、
「一旦休憩しよう。」
ラトリスがそう告げた。
「かなり早足だが、2人は大丈夫か?」
「ようやく半分くらい来たわね。」
「そうね、早く村に着きたいわ。」
「だから焦るなって。ドラゴンの目撃情報はあっても、襲われた報告はないんだから。」
「それはそうですけど…」
「なら、ここからはフライで飛んでいこうか。」
「いいんですか?」
「別にのんびり歩いていた訳じゃないからな。言っとくが、普通の人の何倍も早く歩いていたんだ、フライで飛べば、あと1時間ぐらいで着くだろうよ。」
「距離が解るんですか?」
「なんとなくな。約100キロ程だろう?」
「あと半分…皆、待っていて…」
ラトリス達は30分程休憩をして、フライの魔法で飛んでいった。
村に着くと、普段と変わらない雰囲気なのだろう、子供達がはしゃいでいた。と、子供の1人がラトリス達に気づいた。
「あっ、マリアお姉ちゃんとレイナお姉ちゃんだ!」
「本当だ!」
「お帰りなさい!」
口々にそう言った。
「みんな、ただいま!」
「元気そうね!」
マリアとレイナも嬉しそうに対応をしていた。すると、1人のお年寄りが近づいてきた。
「マリア、レイナ。おかえり。」
「村長!」
「お元気そうで何よりです!」
どうやら村長らしい。ラトリスは会釈だけの挨拶をした。
「ふむ?そちらの女性は誰かな?」
マリアとレイナは顔を見合わせて、笑った。
「済まないが、俺は男だ。」
ラトリスがそう伝えると、
「ほう、女の人のように見えたが。それは失礼をしました。」
「いや、初見では殆どの人がそう言うさ。気にしないでくれ。」
「それで、マリアとレイナ、今日はどうしたのだ?」
「そうでした。村長、ドラゴンが出たって聞いて…」
「なるほど、心配になって帰ってきたのか。」
「いいえ、ギルド協会からの依頼で、そのドラゴンを討伐しに来たのよ。」
「2人の実力では無理なのではないか?相手は凶暴なドラゴンなのだぞ?」
「やってみなくちゃ解りません。でも、自信はあります!」
「…そうか。解った。しかし、今日はもう遅くなるだろうから、明日にしてはどうかな?家族も心配しておったぞ。」
「はい!ラトリスさん、行きましょう。」
「あぁ、御老人、失礼します。」
「うむ、気をつけてな。」
3人はマリアとレイナの家に向かって歩き出した。
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