準決勝 中編
マリアはラトリスから受け取った剣を軽く振ってみた。かなり上質な剣なのか、軽くて使いやすかった。
「この剣なら…」
マリアは一呼吸ついた。そうしている間に対戦相手が壇上に上がる。
「さっきの奴と同じだと思わんように!私が“魔法研究会“最強の男だ!」
そう叫んだ。しかしマリアは気にも止めていなかった。
「それでは、始め!」
審判の声と同時に相手選手が突っ込んできた。が、マリアも突っ込んでいた。そして、マリアの剣が相手の剣速に勝り、剣の柄を打ち払った。結果、相手は剣を落としてしまった。マリアは剣先を相手に向けて、
「まだやりますか?」
そう聞いた。
「…いや、私の負けだ。」
「“天の子猫“の勝利!」
相手選手は潔く敗北を認めた。
「すげぇ、すげえよ、“天の子猫“!」
「一瞬何があったのか解らなかったけどな。」
観客席から声があがる。
「3人目、前へ!」
審判が声をかけるが、“魔法研究会“は考えていた。このまま棄権するか、戦うかを。出した結論は、
「私が行く。」
戦うことだった。ゆっくりと壇上に上がり、マリアを睨みつける。
「その若さでその強さ、一体どんな修業をしてきたのだ?」
相手選手が聞いてきた。マリアは質問に答えるか考えて、
「毎日しっかりと剣を振って、魔力制御をやっているだけです。」
「ふざけるな!そんなことは冒険者ならば誰でもやっている!」
「そんなこと言われても…」
マリアはチラッとラトリスを見る。ラトリスは面倒くさそうに、溜息を1つついて、
「お前達魔法が使えない連中には無理な特訓方法があるんだ。それ以上言うことはない。」
そう言った。
「ふん、まあいい。わしは負けるつもりはない!」
「それでは、始め!」
審判の声がかかると、相手選手は思い切り踏み込んできた。そして横凪に剣を振るう。しかしマリアはその剣閃を見切って、最小限の動作で躱し、相手選手の顎を剣の柄で殴り飛ばした。
「うぐっ!」
と、悲鳴を上げて、相手選手は仰け反った。更に鳩尾めがけて柄を叩き込むと、相手選手は今度こそ気絶した。
「それまで!」
審判から声が上がり、マリアの勝利が決まった。
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