ただいま特訓中 その1
6話目です。宜しく!
ラトリスから渡された魔法の下着を二人が使用し始めて1週間がたった。最初に感じていた倦怠感や重力にも慣れて、二人は言われたトレーニングを今日もこなしていた。
「確かに1週間で慣れはしたけれど…」
「本当に強くなってるのかしら?」
二人は半信半疑だった。
と、そこへラトリスがやってきた。
「今日で1週間たったな。体の方は大丈夫か?」
「大丈夫です。」
「でも、こんなので本当に強くなってるの?私達、言われたことしかしてないけど?」
「無理に強くなろうとして無理して体壊すのは馬鹿のやることさ。むしろ、あのトレーニングを毎日やる、約束を守ることに意味はあったんだよ。マリクとレイカの二人はそれさえ出来なかったんだからな。だから3年もかかったんだ。あと二ヶ月と三週間、真面目に訓練すれば、見違えるように強くなれるさ。」
「うーん、どうなのかな?」
「先が見えないなぁ。」
「まぁ、今日から新しいことをやってみるか。」
そう言うとラトリスは、二本の巨大な棒を二人に渡した。
「何ですか、これ!?すごく重いんですけど!?」
「ふっ、普通の重さじゃない!」
「それで素振りを、午前中に百回。出来るようになったら百回ずつ追加な。最大千回でいい。出来るようになってくれ。」
「ひゃ、百回!?」
「そんな無茶な!?」
「言ったろ?無茶はさせる、無理はさせないって。早くやりなよ。出来なきゃ飯抜きだ。」
「「ひぇぇー!」」
二人は死に物狂いでゆっくりながらも百回をこなした。
その日の昼、裏庭で、
「昼からは魔法の特訓だな。」
「ちょっと、ラトリスさん。」
「何だよ?昼飯は食べただろう?」
「少し疲れたから、昼からは休みたいんだけど?」
「安心しろ、休みながら出来ることしかやらない。それでも疲れているのか?」
「かなり…くたくたです。」
「仕方ないなぁ…。キュア!」
中級光魔法キュアが二人を包む。一瞬にして二人の疲れはとんでいた。
「これって…」
「中級魔法のキュア?でも、状態異常を直す魔法なんじゃ?」
「キュアは極めると、あらゆる状態異常をも直せる魔法だ。勿論疲労も状態異常扱いされているから治るんだよ。普通の人間は知らない事らしいけどな。でも、これで昼からの特訓も問題なく出来るな?」
「はい。なにをするんですか?」
「今日のところは、魔力操作からだな。」
「え?」
「そんな初歩から?」
「キュアの本質も知らない二人には丁度いい事だと思うが?それに唯の魔力操作じゃないからな。右手人差し指に魔力を集中させてみろ。」
二人は言われた通り魔力を集中させた。
「その魔力を左手人差し指に触れずに移し替えてみてくれ。」
「「はあ!?」」
二人は驚いて悲鳴を上げた。
「何で悲鳴を上げるんだ?」
「無理でしょ!?」
「そんな事出来るわけが!?」
そこまで聞いてラトリスは、右手人差し指に魔力を集中させ、光の球体を作り出し、それを左手人差し指へと飛ばして見せた。
「これが第一段階。第二段階は…」
ラトリスは今度は体を大きく開き、右手に魔力を集中させる。その魔力をそのまま一瞬にして左手へと体を通して移動させた。
「これぐらい出来たら、魔力操作の特訓はほぼ完了と言ってもいい位だな。」
と、軽々言ってのけた。
「嘘…」
「そんな簡単に言ってくれちゃって…」
「因みに、俺は三日でやらされたからな。」
「三日で!?」
「そんな馬鹿な…!」
「まあ、1週間やってみな。魔法の基礎から鍛えるなら、この特訓は丁度いいからさ。」
そう言うと、ラトリスは家の中へと戻っていった。
そこから1週間、二人は真剣に特訓を行うのだった。
中々文章をまとめられないので、短い話がしばらく続きます。