宿屋を探す
会場を出ると、既に真っ暗。5人は宿を探していた。しかし、
「済みません、満員です。」
「悪いな、満室だ。」
何処に行ってもそう言われた。
「どうしましょうか、この状況…」
「流石に、宿を探す方が疲れるわ。」
「いっその事、城に泊めてもらうか?」
「「気を遣いますよ!」」
マリアとレイナは全力でそれを止めた。
「…一件だけ当てがあります。」
ミーアがそう言った。
「ミーアさん、それって何処にあるんですか?」
「街の外れです。ここからそんなに離れてはいませんよ。」
「そこに行ってみましょう!」
5人は宿を目指して歩き出す。そして街はずれに一件の宿屋を見つけた。
「何というか…」
「何か出そうよね。」
「なんか怖い…」
マリア、レイナ、ミーナが口々に言う。確かに宿屋を営んでいるのか、灯りはついていたが、兎に角洋館のような佇まいは、恐ろしさを感じさせるものだった。5人は取りあえず中に入っていった。受付に人がいたので話しかける。
「済みません、泊まりたいんですけど…」
「5名様でよろしいですか?」
「はい、そうです。」
「1人1泊5千ガルドになりますが、よろしいですか?」
「えっ、ちょっと安い気が…」
「じゃあ部屋を3つ、1人部屋1つと2人部屋を、2つで頼む。」
「ちょっ、ラトリスさん!?」
「畏まりました。」
「あと、風呂はあるか?」
「うちは素泊まりだけですので…食事の提供もしておりません。」
「なるほど、だから安いのね。」
レイナは納得した。
「部屋は御2階の手前2つと、奥が1つです。」
「解りました。」
そそくさと2階へ上がる。中はしっかりと掃除されていて、凄く綺麗だった。
「みんな、ちょっと待て。」
ラトリスがみんなを止めた。
「まさか、部屋決めとか?」
「阿呆。風呂がないからな、クリーンとキュアの魔法をかけようとしただけだ。部屋はマリアとレイナ、ミーアとミーナが同室に決まってるだろう。」
「良かった…」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も…」
ラトリスは順番にクリーンとキュアの魔法をかけていった。1日でついた汚れと疲れが一気に吹き飛んだ。
「これで気持ちよく寝られるだろうが、これも飲んでおけ。」
そう言うと、瓶を4本、異空間から取り出してそれぞれに渡した。
「…これは?」
「ドラゴンの血液から作られた栄養ドリンクだ。疲れが更に無くなるし、安眠効果も上がる。」
「へぇ、じゃあいただきます。」
4人はドリンクを飲み干した。
「それじゃ、俺は奥の部屋にいるから、何かあったら呼んでくれ。」
そう言うと、ラトリスは奥へと進んでいった。
「何でも出てきますね、ラトリスさん。」
「本当。凄いわよね。」
「ありとあらゆる状況に対応出来るんじゃ無いかなぁ?」
そんなことをいいながら、それぞれの部屋に入り、その日は眠ってしまった。翌日、寝過ごしてラトリスに全員が怒られたのは、別の話だ。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




