表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
ギルド対抗武道大会編
57/138

3回戦 後編

「“白い花“、3人目、前へ!」

審判に言われて、3人目が壇上に上がる。すると、観客席がザワつく。

「おい、あれって!」

「エイーダじゃねぇか!」

「あのドラゴンスレイヤーか!」

「キャー、エイーダ様~!」

歓声に包まれながら、エイーダがレイナの前まで来て、

「ふん、こんな子供にやられるなんて、あの子たちも大したことないね。」

「なんですって!」

「1つ言っとくけど、あの子たちと私を一緒にしないようにね。殺すつもりできな。」

そう言って、踵を返し、所定の位置まで下がった。

「お二人とも、準備はよろしいですか?」

2人ともコクリと頷いた。

「それでは、始め!」

始めと声がかかるが、2人とも間合いを空けたまま動かない。

「ど、どうしたんだ!?」

「馬鹿、隙をうかがってんだよ。」

「それほどの相手か、“天の子猫“は…」

しかし、それを知ってか知らずか、2人の考えていることは、

(く、この子、隙が無い!)

(…隙だらけなんだけど、この人本当に強いの?)

全く逆のことを考えていた。勿論、並みの人ならエイーダに隙は無さそうに見えるだろう。しかし、ラトリスから特訓を受けたレイナには、相手の隙は観察眼で既に見切っていた。

「そっちが来ないなら、こっちから行くわ!」

レイナは思いきり相手に向かって進むと、横凪に剣を振るった。すんでのところでエイーダが攻撃を躱すと、今度は袈裟切りをレイナに見舞う。しかし、それを予測していたかのように、打ち下ろされた剣先を、ラトリスのように指で摘まんで防いでしまった。

「なっ!」

「このスピードなら、マリアの方が圧倒的に早いわ。」

剣を摘まんだ指をスナップさせると、剣に圧力がかかり、中程で折れてしまった。

「どんな力なの!?」

「すげえよ、マジですげぇ…」

観客席からは喝采の嵐が吹き荒れる。

「剣も無くなったし、勝負ありよね?」

「くっ、まだだ!」

そう言って、剣を捨てて、懐に隠していた小型のナイフを取り出し、レイナに襲いかかるが、

「ふっ!」

気合を入れて、ナイフを握っていた手をレイナが蹴りとばした。愕然として、エイーダは動く気配が無いので、レイナは首筋に手刀を決めて気絶させた。勝負は呆気なくついた。

「勝負あり!」

審判からも、レイナの勝利が告げられた。

「実のところ、ちょっと油断してたんだけどね。」

レイナは独り言を言っていたが、それを聞いていたものはいなかった。壇上からエイーダが降ろされると審判が、

「4人目、前へ!」

と、声がかかった。“白い花“の4人目は、化粧の少し濃い人だった。

「エイーダまでやられるなんて、思って無かったわ。」

「どうするの?やるの、やらないの?」

「ふん、小娘が。やるに決まっているでしょう。」

そう言って、壇上に上がると、所定の位置につく。準備は出来ていたので、審判に合図を送る。

「それでは、始め!」

審判の号令と同時に、

「フラッシュ!」

いきなり強い光が会場を照らした。対戦相手が目潰し用の無属性魔法フラッシュを使ったのだ。会場内がザワつく。

「くそっ、目が見えねぇ!」

「うわぁ!」

「キャー、誰よ、変なところ触らないで!」

そんな声が響く中、

「クックックッ、どうかしら?あれだけの光をまともに受けたんだ。暫く何も見えないでしょう?あなたは特別に痛めつけてあげるわ!」

そう言って、ゆっくりとレイナに近付いていき、次の瞬間、レイナの回し蹴りが対戦相手のこめかみに直撃した。

「ふぎゅ!」

変な声を上げて気絶したのか、全員の目が元通りになるまで襲ってこなかった。目が慣れて、全員が壇上を見るそこには、普通に立っているレイナと、倒れている相手選手がいた。審判は、

「て、“天の子猫“の勝利です!」

と、叫んだ。次の瞬間、観客席からは大喝采が起こった。

「すげえ、4人抜きだぜ!」

「最後の試合が見れなかったのは残念だ。」

「Gクラスなのに、凄いわ!」

そんな声が響いていた。レイナが壇上を降りると、

「レイナ、お疲れ様!」

「おめでとうございます。」

「お姉ちゃん、強いね!」

マリア、ミーア、ミーナが声をかける。

「まあ、相手があの程度なら負けはしないわ。」

レイナはふふんと自慢げに鼻を鳴らした。

「最後の回し蹴りは見事だったな。」

「そうでしょう、って、ラトリスさん、見えていたの!?」

「まあな。以前、お前達に始めて会ったとき、俺は仮面を付けていただろう?」

「そういえば…」

「あれは、視力などの強化を施した仮面でな。あれを付けて特訓したお陰で、あの程度の光の中なら目はしっかり見えるんだ。」

「そんな効果が…」

「ともあれ、4人抜きおめでとう。」

「あっ、有難う。」

「さて、明日もまだ試合があるからな。今日は宿に泊まるか。」

そう言って、会場をあとにするラトリス達だった。

読んでくださっている方々、有難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ