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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
ギルド対抗武道大会編
53/138

“鋼魔“との対決

一時間後、ラトリス達は大会会場へ来ていた。そこには街中の人よりももっと多くの人々が集まっていた。

「凄い人の数ですね。」

「本当、緊張するわね。」

「ミーナ、迷子にならないようにね。」

「うん、ママ。手を繋いでていい?」

それぞれ思うことを言っていたが、ラトリスだけは、

「はぁ…面倒くさい。」

そう言っていた。

会場の入り口でギルド名を言うと、

「出場者はそちらの階段から上って下さい。」

そう言われたので、階段から上へあがる。階段を上がった先の部屋には出場者達が沢山いた。色々な話が聞こえてくるが、全てを無視して、受付に話をすると、

「“天の子猫“ですね。早速1回戦目ですから、もう出場していただきますが、よろしいですか?」

と、言われた。

「えっ、もう戦うの?」

「こちらでくじを引きまして、順番はもう決まっています。“鋼魔“の方々も、もう準備は整っていますよ?」

「解った、行こうか。」

そう言って、試合会場へ5人で向かった。

「あぁ、ドキドキしてきた。」

「マリア、あなたが戦う訳じゃないでしょ?」

「ラトリスさんの戦い方、とくと見せていただきますよ。」

「お兄ちゃん、頑張って!」

「…了解。」

そんな話をしながら進むと、会場に着いた。既に対戦相手の“鋼魔“の4人は準備万端だった。

「それでは始めます。準備は大丈夫ですか?」

「何時でもいいぜ、こっちは。」

「その前にルールはいいのか?」

「そうでした。相手の選手を全員倒せば勝利です。」

「殺してもいいんだよな?」

“鋼魔“の選手がそう言った。

「構いませんが、穏便にお願いします。」

「あれだけ大口を叩いたんだ、ギブアップは認めないよ。特に君はね。」

ラングがラトリスに向かって言った。

「…はぁ。」

「やる気あるのか、てめえ!」

「観客もいないんじゃ、実力出してもしょうがないだろう?」

ラトリスが乗り気が無いのはそういう理由だったようだ。

「それでは1名ずつ、壇上へ上がって下さい。」

ラトリスともう1名が壇上へ上がった。

「手加減は不要だ、かかってきな!」

「それはこちらの台詞だ。」

「それでは、始め!」

太鼓が打ち鳴らされると同時に、相手選手が突っ込んできた。それを冷静に見て、ラトリスは後ろへ回り込んで首筋に手刀を叩き込んだ。相手選手はもんどり打って倒れた。

「Sクラスだろうと、Gクラスだろうと関係無い。やることは一緒か。」

「そこまで!しょ、勝者“天の子猫“!」

「やったー!」

「相変わらず凄い早業ね。」

マリアとレイナは感激していた。

「ねー、今何をしたの?」

「一撃で昏倒させたの。早くてミーナには見えなかったわね。」

解らなかったミーナにミーアが説明をする。

「“鋼魔“の選手、前へ!」

「油断するな、落ち着いていけ!」

「解ってるわ!」

2人目の女が前に出る。

「それでは、始め!」

始まりと同時に、

「サンダーボルト!」

女がまほうを唱えた。しかし、

「クリア!」

ラトリスは冷静に相手の魔法を打ち消した。

「くっ、バーニング!」

「クリア!」

「アイスランス!」

「クリア!」

「さっ、サイクロン!」

「クリア!」

次々と魔法を唱えるが、掻き消されてしまい、為す術が無かった。

「はぁ、はぁ…」

「魔力切れか?じゃあ終わりだ。」

ラトリスは高速で接近して鳩尾に右拳を叩き込んだ。その一撃を受けて、女は倒れた。

「早い!」

「高速移動からのパンチ、凄まじいわね。」

「今のも見えなかった。」

「ふふ、しょうが無いわよ。」

あまりにも呆気ない幕切れだった。

「“鋼魔“の選手、3人目を。」

「くそ、どうなってるんだ!」

「相手はGクラスだぞ!?」

「次はどっちだ?早くしろよ。」

そう言われて、男が上がってくる。

「俺の剣でぶっ殺してやる!」

「やれるもんならな。」

「それでは、始め!」

試合が始まると、男は突っ込む事は無く、構えままジリジリとにじみ寄る。間合いをとって、用心深くラトリスの動きを見ていた。しかし、

「くっ、まるで隙が無い。」

冷や汗をかきながら、間合いを詰めようとするが、全く構えていないにもかかわらず、ラトリスには隙が全く無かった。

「来ないのならこっちから行くぞ。」

ラトリスはそう言うと、一歩一歩前へと進む。男は恐れをなして、

「まっ、待った!俺の負けだ!」

そう宣言した。

「威圧感が凄かったのかな?」

「いえ、殺気じゃない?」

何の苦労もなく、3人を瞬く間に倒してしまった。

「何だ、拍子抜けだな。最後のお前はどうするんだ?」

ラトリスが最後に残ったラングに対して言うと、ラングは、

「やるさ。」

と言った。壇上に上がって身構えるラングに対して、ラトリスは相変わらず構えもしなかった。

「…一体、何処でそれだけの実力をつけたんだ?」

「…?」

「その実力、まさしくSクラス並みだろう。」

「良く聞かれるが、ただのGクラスさ、俺はな。」

「嘘をつくな!私達全員Sクラスなんだぞ、それを楽々と破っておいて、白々しいにも程がある。」

「知ったことか。最強とか、最弱とか関係無い。俺は強くなるためなら何でもしてきた。実力をつけたいなら、努力するしか無いんだよ。」

「くっ!」

「始めて下さい!」

始めの合図で、ラングは剣を抜いて突っ込んで来た。袈裟切りに襲いかかってきたラングの一撃を、左手の、それも指二本でラトリスは受け止めた。

「Sクラスを誇りたいなら、1から出直しな!」

そう言って、ラトリスはラングの顔に右手でパンチを見舞った。ラングは吹き飛び、地面に落ちた。勝負は直ぐに決してしまった。

「“天の子猫“の勝利です!」

そう宣言されて勝負はついた。

「はぁ、面倒くさいな。」

ラトリスはそう呟いた。

読んでくださっている方々、有難う御座います。

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