ギルド協会本部でのやり取り
食事も終わって、昼過ぎになったので、5人はギルド協会本部へと向かった。出場選手達でギルド協会はごった返していた。ラトリス達は受付嬢に話しかけた。
「済まない、“天の子猫“だ。」
「お待ちしておりました。えっと、5人ですか?」
「いいえ、いくら何でもこんな小さな子を戦わせるつもりはありませんよ。」
「ただ、預かってくれる場所もないから、出来れば近くに居て欲しいのだけど?」
「解りました。観戦席ではなく、直接会場の方へどうぞ。」
「いいんですか?」
「えぇ、大会に出ない方でも、そのギルドの関係者は特別に特等席で観戦して構わないと。しかし、何があっても責任はとりませんが。」
「良かったですね、ミーアさん。」
「はい。いざとなればお母様にお願いしようと思っていましたから、それなら助かります。ね、ミーナ?」
「ママ達の戦いが見れるの?」
「そうよ。」
「やったー!」
ミーナはとても嬉しそうだった。と、そこへ…
「貴方達が“天の子猫“ですか?」
1人の男が話しかけてきた。
「そうですが、貴方は?」
「失礼しました。私はギルド“鋼魔“のギルド長をしていますラングと申します。」
爽やかなイケメンがそこにいた。
「今回、戦えることを光栄に思いますよ。よろしくお願いします。」
「はい、こちらこそよろしくです。」
「皆さんお綺麗ですね。」
「えっと、誰に言ってるんですか?」
「あなた方5人にですよ。」
「ぷっ!」
「ふふふっ!」
「アハハハハッ!」
「?」
マリアとラトリス以外、全員が笑った。ラトリスは不機嫌そうに、
「馬鹿か、お前。」
そう言った。
「まさか、男…」
「当たり前だ。それとも何か?やたら貧乳な女に見えたのか?」
「いや、そのぅ…」
「で、まだ何か用なのか?」
「貴方がギルド長なのか?」
「ギルド長はそこにいるマリアだ。」
「マリアさん…1つ提案があります。」
「…何でしょうか?」
「私達が勝ったら、5人とも私のギルドに入って下さい。」
「嫌です。」
「…理由を聞いても?」
「勝ったらギルドを潰すとか、そんなのくだらない事に、私達は乗りません。」
「そうよ、負けること前提で考えてないわよ!」
マリアとレイナは突っぱねた。しかし、
「その話、乗ってやってもいい。」
「ラトリスさん!?」
「負けたらそちらのギルドに入る。ただし、そちらが負けたらどうする?」
「そちらのギルドに入る…」
「阿呆か。いらねぇよ。」
「じゃあ対価として何を…?」
「お前等の全財産、武器や防具も含めて。」
「なっ!?」
「なんだ、自信も無いのに賭け事か?」
「出たわよ。」
「まさに鬼畜…」
「どうなんだ?やるのかやらないのか?」
「やっ、やりましょう。Gクラスギルドに負けたとあっては、Sクラスギルドの名折れですから。」
「決まりだな。マリア、そういうわけだ。」
「はぁ、いいですよ。負ける気は元々無いですから。」
「その意気だ。」
「では、そちらが負けたらこちらのギルドに入る。そちらが勝てば全財産没収で決まりですね。」
「そうだ。」
「そのように皆に伝えないといけないので、これで失礼するよ。」
そう言って、ラングは去って行った。
「とりあえず、出場する順番を決めないとね。」
「ラトリスさん、1番手でお願いします。」
「いきなり俺か?」
「あんな約束したラトリスさんが悪いと思いますよ。」
「解ったよ。ただし、1試合目だけな。お前等の特訓にならないからな。」
「大丈夫、勝ち進んだら順番に1番手で出るから。」
「はぁ、せめて男との勝負がいいな。」
「「「…?」」」
「全力で顔面を殴れるから。」
「「「あぁ…」」」
三人は溜息をついたが、ミーナは1人だけキョトンとしていた。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




