特訓開始
5話目です。宜しく!
昼食の後片付けも終えて30分後、三人は屋敷の中の、マリアとレイナの部屋の扉の前にいた。
「さて、特訓の前に着けてもらう物がある。」
とラトリスはそう言うと、
「アクセス!」
と言って、異空間から箱を二つ取り出した。
そしてその箱を一つずつマリアとレイナに渡した。
「何ですか、この箱?」
「開けてみろ。」
二人は箱を開けた。すると…中には下着が入っていた。二人は箱ごと床に叩きつけた!
「せっ、セクハラですよ!」
「なに考えてんですか!?」
二人は怒鳴った。
「まあ、普通はそうなるわな。マリクとレイカの二人もそうだった。しかし、その下着は特別製でな。リミット、グラビティ、そしてプロテクトの魔法をかけてあるんだ。」
「えっ?それって…」
「着けているだけで強くなれる魔法の下着だ。」
「いや、でもリストバンドとか形は自由に出来るんじゃ…」
「全身守るプロテクトの魔法を発動させるなら服がいい。それに、肌身離さず身につける下着が一番ベストなのさ。まあ、騙されたと思って着けてみろって。そいつはフリーサイズだし、自分の思った下着になってくれる。着たい下着にな。作るのも大変だったんだからな。」
そう言うと、ラトリスは踵を返して、階段に向かって歩いて行く。
「着けた瞬間から魔法が発動するから気をつけろよ。七着分渡したんだから、風呂の時以外は着けておけ。あと、洗濯もしろよ。」
「あぁ、だから七着なんですね。」
「一日一着あれば十分だろう?」
二人は部屋に入り、着替えはじめた。
ラトリスが言ったとおり、自分達の思った通りの下着へと姿を変えた。
その上から、自分達の鎧やローブを羽織ろうとすると、とてつもない倦怠感と重力に押しつぶされそうになる。それに耐えながらなんとか羽織って部屋を出て、1階に降りていった。
降りた先でラトリスは、
「とりあえず二人ともその状態に慣れることだな。1週間その状態で腕立て伏せ、腹筋、スクワットを100回ずつと、10キロ走る事から始めるんだ。裏庭で全部出来るから、家からはでないように。」
「出ちゃ駄目なんですか?」
「そんな状態で出て、何かあったらどうすんだ?言っとくが、今は実力の十分の一もでない状態になってるはずだ。この間のごろつき紛いの奴らに出会ってみろ、なにをされるかわかったもんじゃないぞ。」
「…それは怖いわね。」
「常に全力でいないとまともに動けない状態ですからね…」
マリアは少し残念そうな顔をした。
「1週間、さっき言ったトレーニングをしていれば今までの実力が三割程度の力で出せるようになるはずだ。慣れるまで頑張れ。」
ラトリスはそう言うと、二人の頭をなでた。
「こっ、子供扱いはやめて下さい!」
「そんな年じゃありません!」
「そうか?」
ラトリスはどこか寂しそうな顔をした。
「じゃあ、俺はギルド協会へ行ってくる。ちょっとした用事があるんでな。そういや、ギルド名はどうする?ついでに届けてくるけど?」
「じゃあ…」
「そうですね…」
二人は同時に、
「「“天の子猫“で!」」
と、言った。
「“天の子猫“?また安直な名前にしたなぁ。」
「元々の“天の猫“を受け継いでいきたいなと思いまして。…駄目でしょうか?」
マリアは少し俯きながら言った。
しかし、
「まあいいさ。二人のギルドだからな。俺は反対しないよ。」
ラトリスがそう言うと、二人は笑顔になった。
「じゃあ、登録に行ってくるから、トレーニングをしておけよ。」
「はい、行ってらっしゃい!」
「気をつけてね。」
「はいはい。」
そんなやり取りをして、ラトリスは出て行った。
二人は言われた通り、トレーニングを始めた。
特訓は次回からです。今回は短めでした。文足らずですみません。