盗賊との一戦
翌日の朝早く、ラトリス達は準備をして街の入り口にやって来た。既に商人達の準備も終わっているらしく、慌ただしい様子は無かった。
「あなた方が“天の子猫“ですね。私は今回の長を務めますモリーと申します。」
モリーと名乗る男はラトリス達に挨拶をした。しかし…
「子供連れで大丈夫なのですか?」
ミーナを見てモリーが言う。それもそのはずだろう。まさか危険な依頼に子供を連れてくるとは思っていないのだから。だが…
「大丈夫。この子の危機管理能力は凄まじいから。盗賊位簡単に発見してくれるさ。」
「…本当ですかな?」
「最悪の場合、俺達が刺し違えても、あんた達を無事に王都まで届けるから、安心してくれ。」
「…まあ、ギルド協会からも最も安いギルドに頼みたいとは言ったけれど…」
「そうか、Gクラスギルドに頼んだ物好きだとは思っていたがな。」
「…どういうことなんですか?」
「あまりにも危険な依頼に、上級ギルドは手を出さないから俺達に回ってきた、って事だろう?」
「そんな…大丈夫なの?」
「言ったろ?ミーナが頼りになるかどうか調べる意味合いもあるから、この依頼を受けたようなもんだ。あとの始末は俺がやるから、心配するなよ。」
「私達も気を引き締めてやらなくちゃね。」
「初依頼だし、頑張ろう!」
そう言って、クエストに出発した。
出発して10分足らずで、既にピンチに陥っていた。
「ちょっと!なんなの、この盗賊の多さは!?」
レイナが叫びながら魔法を使う。確かに命中しているが、敵はそれをものともせず突っ込んでくる。
「危ない!」
レイナに襲いかかろうとしていた盗賊を、マリアが弾き飛ばす。相手の連携は大したものだった。
「いつもこんな感じなの?」
マリアが商人の1人に聞いた。
「いつもという訳では無いのですが、今日は一段と多いですな。」
冷静を保っているが、気が気でない様子は解った。
「マリア、レイナ。殺すつもりでいけ。相手はかなりの手練れだ。」
ラトリスの言葉に2人は頷いて、
「本気でいきます!」
「やってやるわ!」
本気で相手をすることにした。マリアが敵の中心に突っ込み、
「さあ、かかってきなさい!」
啖呵を切った。すると、盗賊の半数以上がそちらに突っ込んできた。それをチャンスとみてレイナは、
「マリア!」
そう叫んだ。次の瞬間、マリアを中心にして、火の上級魔法バーニングが炸裂した。マリアの方はそれに合わせてプロテクトの魔法を使い、バーニングの魔法に耐えた。
「ふぅ、間一髪だったわね。」
「もう少し遅かったら、直撃してました。」
2人の連携は上手くいった様だった。あらかた敵は片づいてしまっていた。
「チッ、撤退するぞ!」
盗賊の1人がそう叫ぶと、残りの盗賊達は逃げていった。商人達の間では、歓喜の声が上がる。しかし、
「まだです!まだ伏兵がいます!」
ミーナがそう叫ぶ。確かに近くの森に盗賊達の一部がいて、その声を聞いて、無謀にも突っ込んできた。その盗賊達にめがけてミーアが突撃する。すると、一瞬にして急所を短剣で突き刺していき、倒してしまった。
「すっ、凄い…」
「早くて何をしたのか解らなかったわ。」
「急所を一突きか…相変わらず見事な腕だな。」
「ママ強い!」
4人がそれぞれ感想を述べた。
「今度こそ終わりですかな?」
商人の1人がラトリス達に聞いてくる。
「ミーナ、どうだ?」
「うん、もう怖い人達は近くにいないよ。」
「それを聞いて安心しました。先を急ぎましょう。」
商人は落ち着いて、そう言った。
「この先もこんなことばかりなのかな?」
「さあ?でも、何とかなるでしょう?」
マリアとレイナはそう言った。
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