ミーシャ
城に着いたのは夕方頃だった。流石に二度目はないのか、城の警備に当たっていた兵士も、ラトリスの顔を見るなり、
「どっ、どうぞお通り下さい!」
緊張していたのか声が詰まっていた。城門を抜けるとミーシャが立っていた。
「ラトリス様、ようこそいらっしゃいました。…ミーア、元気そうですね。」
「お母様…」
「ラトリス様より連絡を貰っていました。勝手に城からいなくなって…あなたは本当に…」
感極まって泣き始めたミーシャ。それに優しい言葉をかけようにも、ミーアは言葉も出ないようだった。と、ミーナがミーシャに近付いて、
「…ママのママ?」
そう言葉をかけた。
「…えぇ、そうですよ、あなたのお婆ちゃんになるかしら?ミーナ!」
「お婆ちゃん!」
二人は互いを抱きしめあった。
「ミーナが…」
「何の心配もいらない。二人はな。」
ラトリスがミーアに声をかける。
「予め、ミーシャに聞いといたんだミーアとミーナを連れていくって。」
「でも、私は…」
「過去は過去、今は今だ。大切な家族の行き先が解って、ミーシャは安堵していたし、ぜひ連れてきて欲しいって言われたからな。」
「…私も、お母様に会いたかった。でも…別れ方がなにも無かったので、会いづらかったんです。」
「解っているさ。」
「でもミーナがあんなに嬉しそうにしているのを見ると、来てよかったって何よりも思います。有難う御座います、ラトリスさん。」
「礼ならいらないさ。大切な仲間なんだから。」
「そうですよ、ミーアさん。」
「よかったわね、ミーアさん。」
マリアとレイナも泣きそうだった。
その後、客間に案内され、暫くはミーシャ、ミーア、ミーナの話で盛り上がった。と、そこへ…
「ラトリス!」
ララがやって来た。
「おいおい、今日の主役が来ちまったよ。」
「何で会いに来てくれなかったの!?」
「パーティーで会うから、今は忙しそうにしてると思ったんだよ。」
「むー!」
「まあそう膨れるなよ。みんなからのプレゼントだ。」
そう言って、買ったイヤリングを渡した。
「私に!?」
「他に誕生日の奴がいるのか?」
「…嬉しい!有難う!」
「あれ、可愛いイヤリングですね?」
「ねぇララ、付けてみたら?」
「はい!」
そう言って、付け始めるが、初めてらしくうまくいかない。仕方なく、マリアとレイナが手伝って両耳に付けてみた。
「わぁ、凄く似合ってる。」
「可愛いわよ。」
マリアとレイナのその言葉に気分を良くしたのか、
「えへへ、有難う!」
そう答えるララ。確かによく似合っていた。
「相違や、バーグとルードはどうしたんだ?見かけないが。」
「二人ならもうすぐ来ると思うけど?」
そんな話をすると、走ってくる音が聞こえてきた。いきなり扉が開かれ、バーグとルードが入ってくる。
「姫様、此方でしたか!」
「はぁはぁ…探しましたよ。」
「よう、二人とも。相変わらず大変そうだな。」
「「らっ、ラトリス殿!」」
凄まじい声で二人が同時に叫んだ。
「なるほど、姫様が此方にいらっしゃる訳だ。」
「もうすぐパーティーが始まるというのに…」
「そうなのか、なら会場へ行こうか。」
そう言って、みんなで部屋を出ていった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




