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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
出会い編
4/138

特訓の前に…

4話目です。宜しく!

ギルド協会へ行った翌日、三人は屋敷の裏庭にいた。

「さて、特訓開始する前に、二人の実力をもう少し見せて貰うとするか。」

「えっ、昨日のでまだ駄目なんですか?」

マリアが聞いた。

「あれが全力だとしたら、故郷に帰った方がいい。ドラゴン相手に戦えるようになるぐらいは強くなれないからな。俺と今から1対1で戦う。俺は手を出さないから、全力で一撃加えてみな。獲物は、昨日渡した武器でな。」

そう言うとラトリスは距離をとった。

「まずはマリアからだな。ファイターならこれくらいの距離からかな?」

約10メートルほど離れてラトリスは身構えた。

「全力でこい。手加減していると見なしたら、遠慮無く殴るぞ。」

「…行きます!」

マリアは全力で踏み込み、袈裟切りに剣を振るった。

あわや当たるかと思われたが、ラトリスは右手の人差し指と中指だけでその剣撃を止めていた。

「かかってこいとは言ったが、あまりに威力が足りない。踏み込みは及第点。フェイントを旨く使えれば、合格点だったな。」

と、ラトリスは言って、左手の手刀で剣を切るように折った。

「マリアの方はこんなものか。次、レイナの番だ。」

ラトリスは更に間合いを開き、50メートルほど離れた。

「そこから一番得意の、最も威力のある魔法を撃ってみろ。」

レイナは不機嫌そうな顔をして、

「甘く見ないでよ!炎よ、巻き起こりて我が敵を撃て!バーニング!!」

と、唱えた。

上級魔法バーニングの魔法はラトリスの体を包み込んだ。しかし、

「まさかバーニングまでつかえるとはな。中々やるな。しかし、詠唱が長すぎる!」

全く聞いていないのか、ラトリスは平然と左腕を振るい、炎を掻き消した。

「まあ、そこまで魔法が使えるなら合格かな。詠唱の長さが気になるが…。」

というと、ラトリスは近くにあった大木の近くまで歩き、大木をポンポンと叩いて、

「今からどれくらいに強くなって貰うか、見せるからな。よく見ておくんだ。」

といって、アクセスの魔法を唱え、異空間から剣を取り出した。

「あくまで、本当の合格ラインだけどな!」

そう言うと、大木を左腕で殴りつけ、落ちてきた葉っぱを一瞬にしてすべて切りつけ始めた。

葉っぱが落ちきると同時に剣を鞘に戻すと、

「378枚、斬撃数356回か…俺の体も鈍ってるかな。」

といった。

マリアとレイナはただ呆然とポカーンとしていた。

「ぜ、全部の葉っぱを見て、一瞬で切りつけたんですか!?」

「むちゃくちゃですよ、こんなの!?」

「まあ本来は全部切りたかったがな。あくまで見本だ、全部切れるくらいにはなってもらうさ。そして魔法だが。」

そう言って辺りを見渡すと、手をかざして、

「魔法はこれぐらいかな。」

といい、サイクロンの魔法を唱えて落ちていた葉っぱを集めて少し離れて、

「フレア!」

と、唱えた。

一瞬にして炎が吹き出し、落ち葉を焼いていく。

「きょ、極大魔法フレアですか!?何処まで桁違いな事が出来るんですか、あなたは!?」

レイナがそう言うと、

「いや、魔法の威力じゃなくてな。よく考えてみろ、気付く事が他に無かったか?」

ラトリスがそう言うと、マリアとレイナは少し考えて、

「…まさか、無詠唱魔法ですか?」

「御明察。マスターしてもらうのはその無詠唱さ。」

と、何事も無かったかのようにサラッとラトリスは言い放った。

「いやいや、無理でしょう!?初級魔法の無詠唱は魔法を囓っていれば出来るようになりますけど、極大魔法の無詠唱化なんて、魔力がどれだけかかるか!?」

「いや、俺は出来てるだろ?」

「それが普通じゃないって言っているんですよ!?少なくとも3か月じゃ不可能です!」

「安心しろ、上級魔法バーニング、それに連なる氷、雷、風、光、闇そして無属性魔法の習得がメインだから。極大魔法を使えなんて言わないからさ。」

「それでも厳しいですよ。」

「うわぁ、レイナ頑張ってね。私の方も楽じゃないけど…」

マリアがそう言うと、ラトリスは首をひねって、

「なに言ってるんだ?二人とも出来るようになってもらうに決まってるだろ?」

「「…はい!?」」

二人は驚いて悲鳴じみた叫び声を上げた。

ラトリスはくっくっくっと笑って、

「生憎と俺はファイターだからとか、ウィザードだとかで区別はしない。それに俺のクラスはオールラウンダーと呼ばれてるんだ。二人にもそうなってもらう。質問は受け付けないからな、そのつもりで。」

「…なんかとんでもない人のところに来ちゃったみたいね。」

レイナがそう呟くと、

「そう嘆くな。強くしてやるのは本当なんだから。」

ラトリスはまたくっくっくっと笑った。

「とりあえずまだ少し早いけど、昼飯の準備をしてくる。二人は少し、自分の戦いのスタイルを見つめ直しておいてくれ。」

そう言ってラトリスは家に入っていった。

残された二人は、

「見つめ直すと言われても…」

「どうしたものかしら…」

とりあえず二人は今まで自分たちがしてきたトレーニングを、即ちマリアは素振りを、レイナは精神統一のトレーニングを始めた。

30分後…ラトリスが戻ってきた時には二人とも、汗だくになるほど真剣にトレーニングをしていた。

「おーい、昼食の準備が出来たぞ。っと、その前に二人とも風呂に入って汗を流してこい。不衛生になるからな。」

「はぁはぁ…そっ、そうですね。」

「わかったわ。…けど、覗かないでよね。」

「…俺を何だと思ってるんだ?一応風呂沸かしておいて正解だったとは思うが。生憎と俺は年下の女に興味はないんでね。心配なら、縄で手足を縛ってくれてもいいが?」

「やめとくわ。信用に値する人だし。」

マリアとレイナは二人そろって風呂へ向かった。

それを見てラトリスは、

「…たった30分足らずであれだけ汗をかくほど集中が出来るか。なかなか、骨のある二人みたいだな。マリク、レイカ、お前等には出来なかったことを二人はしているぞ。」

ラトリスは少し笑った。


マリアとレイナが風呂から上がると、ラトリスは食事の準備を終えていて、

「好きなところに座ってくれ。」

と、言った。

4人掛けののテーブルに、マリアとレイナは隣同士になるように座り、ラトリスはマリアの正面に座った。

テーブルの上にはそれぞれにサラダ、パン、デザートが置かれていたが、テーブル中央にとてつもなく大きな肉の塊がステーキ皿でジュウジュウと音を立てて置かれていた。

「あのう、ラトリスさん?」

「ん?早く食べな。冷めたら不味くなるぞ。」

「いやいや、何なんですか?この肉の塊は!?」

「あれ?肉は嫌いか?」

「好きですけど、いくら何でも大きすぎませんか!?」

「三人前なら普通じゃないか?…あぁ、食い過ぎで太る事を警戒してるのか?それなら大丈夫。ドラゴンの肉は食ってもそんなに太らないし、栄養満点で強くなれる秘訣だぞ。」

「ド、ドラゴンの肉!?」

「最高級の食材じゃないですか!?市場にも滅多にはいらないような!?一体どこから!?」

「2年前のドラゴン強襲事件の時のだ。まあ、アクセスで異空間に保存してあったから、鮮度は保たれていたし、ほぼ毎日俺は食べてたから安心しろ。」

「「いやいや…」」

二人の顔は引き攣ったままだった。

「毎日食っても減らないし、何より勿体ないからな。早く食おうぜ。」

ラトリスは笑顔でそう言って食べ始め、二人もそれを見てまだ少し心配しながらもそれに続いた。

確かにドラゴンの肉は柔らかく、臭みもなく絶品であった。


あっという間に三人でステーキを平らげ、お茶飲んでからラトリスは、

「さて、片付けしてくるから、ゆっくりしとくといい。」

といい、皿を重ねて厨房へ持って行った。

それを見てマリアが、

「あっ、手伝いますよ。」

と言った。しかし、

「今日はいいから。ゆっくりしときな。」

ラトリスにそう言われて、すごすごと引き下がった。

厨房に入って10分後、ラトリスが出てきて、

「さてと、30分後に特訓開始するからな。準備しといてくれよ。」

と言った。

それを聞いて二人はゴクリと唾を飲み込んだ。

「どんな修行かしら…」

「怖いわね…」

「大丈夫。無茶はさせないさ。無理は通すけどな。」

ラトリスはくっくっくっと笑っていた。

次回から特訓開始です!

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