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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
ラトリスの過去編
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ラトリスの過去 その2

昨日は疲れて寝落ちしました。

国王が元気になって、三日目の朝、ラトリスは普段通り朝早くから目が覚めていた。そして、部屋の中で日課のトレーニングをして、

「風呂に入るか。」

そう呟いて、部屋から出た。まだ城の中は静かな時間だったので、浴場まで前進する。と、人の気配が前からやってくるのを感じた。それでも気にせず進むと、メイドのミーアとその母親でメイド長のミーシャに出会った。

「あら、ラトリス様。こんなに朝早くどうされましたか?」

ミーシャが聞いてきたので、

「湯浴みがしたくて来たんだ。」

そう答えた。少し考える素振りを見せて、

「まだお湯は沸いておりません。」

ミーアが答えた。

「水は張ってあるんだろう?魔法で沸かすから問題ない。」

「左様ですか。お気を付け下さいね。」

そう言って、二人と別れた。浴場に着くと、やはりというか、誰もいなかった。火の魔法ファイアボールを加減して浴槽用に放り込み、服を脱いで浴槽に入る。

「ふぅ。」

思わず声が出た。朝からの入浴は、とても気持ちがよかった。浴槽を出て、体を洗い、再び浴槽に入り、じっくり一時間、お風呂を楽しんだ。

「さて、上がるか。」

体を拭いて、服を着ていると、外から声がした。

「ラトリス様、まだおられますか?」

ミーアの声だった。

「まだいるよ、どうしたんだ?」

「朝食の用意が出来ましたので、呼びに来ました。」

「そうか、もうそんな時間か。直ぐに行くよ。」

そう伝えると、ミーアは下がっていった。着替えを済ませて、食堂へと向かうと、既に国王、王妃、王子、姫は座っていた。この城に滞在している間、全員と食事をするのが常だった。

「ラトリス殿、さあ、此方へ。」

国王がせきを勧めてきたのでそこに座る。

「体調はもう大丈夫か?」

ラトリスは王でも喋り方を崩さなかった。

「えぇ、もう大丈夫です。本当に助かった。感謝しても仕切れない。」

「そうか、まだ無理はしない方が良いだろう。」

5人で食事をしながら、ラトリスは言う。そして、

「そろそろ旅立とうと思う。」

そう伝えた。

「やはり、この城に仕える事はして貰えないか?」

「色々見て回りたいしな。それに、誰かに付き従うのは好きじゃないからな。冒険者になろうと思っている。」

「冒険者…か。中々しんどい職業だぞ?」

「それでも何か仕事をしないわけにはいかないからな。」

「わかった。それで、今回の報酬だが、何が欲しい?」

国王がそう聞くと、少し考えて、

「家が欲しい。」

と、言った。

「家か。この近くには無いが、フィリンに避暑地として使っている屋敷がある。そこを譲ろう。」

「…良いのか?」

「元々そんなに使ってなかったし、どんな望みも叶える約束だ。その屋敷を譲る。」

「わかった、大切に使うよ。」

「他には何がいる?」

「いや、特に何も。」

「欲が無いな。」

ハッハッハッと、国王は笑った。

「そういや、国王。」

「なんだ、ラトリス殿。」

ラトリスは真顔になって聞いた。

「あんたらの名前、聞いていなかった、なんていう名前なんだ?」

それを聞いた4人は驚いて、目が点になった。

「知らなかったのか。」

「生憎、この国に来て間が無いからな。差し支え無いなら、教えてくれ。」

国王は更に驚いていた。

「そうか、私が国王のレイナード・フィリアだ。」

「王妃のレナ・フィリアです。」

「息子のレオナルド・フィリアです。そして…」

「…ララ。ララ・フィリアです。宜しくね、ラトリス。」

ララは少し照れながら、ラトリスの名を呼んだ。

「俺は、呼び捨てにされるのが嫌いなんだ。そう呼んで良いのは家族か…」

そう言って、ラトリスはララに近づくと、

「信頼できる友達だけだ。どうだ、俺と友達になるか?」

そう言った。ララは嬉しそうに微笑んで、コクリと頷いた。

「なら、右手を出して…」

そう言うとララは右手を差し出した。その右手をラトリスは取り、ブツブツと詠唱を始めた。すると、ララの手の甲が光り出し、魔方陣が描かれ、直ぐに消えた。

「右手に集中して、鳥をイメージしてみな。」

そう言われて、ララは言うとおりにする。意識を集中させると、魔方陣が浮かび上がり、中央から鳥が1羽出てきてララの方にとまった。

「その鳥に名前を付けてやってくれ。」

「うーん、じゃあ、フーちゃん。」

「フーか。良い名前だ。そいつは俺のいるところに必ず飛んでくる。何かあったら、呼び出して来させると良い。」

そう言って、手を離した。

「そんな…まさか召喚獣?」

「闇魔法でも扱いが難しい魔法まで…驚かされることばかりだな。」

レナもレイナードも目を丸くした。

「さて、家の場所を教えて貰えるか?」

「フィリンに行って、一番大きな屋敷だ。衛兵に案内させよう。」

「1人の方が楽なんだが?」

「向こうに連絡もしなければならないからな。」

「それもそうか。名残惜しいが、これで失礼する。ララ、元気でな。」

「ラトリスも。元気で!」

「あぁ。」

そう言って、食堂からラトリスは出る。一時間後、馬車と共に衛兵がラトリスを客間に呼びに来た。

「ラトリス殿、お待たせした。準備はよろしいかな?」

「…あんたは?」

「ララ姫様の近衛兵隊長を務めているバーグと申す。国王陛下を救って頂き、有難う。此度はララ姫様から貴殿をフィリンに送るように仰せつかったのだ。」

「ララが?それは有り難いな。」

「うむ、ララ姫様直々に、友達を送って欲しいと頼まれたのだ。宜しくお願い申す。」

「こっちこそ宜しく。」

「早速出発してもよろしいかな?」

「あぁ、頼む。」

そう言って、馬車に乗り込み、出発した。

「貴殿は剣技などもなさるのか?」

「武芸百般、何でも出来るが、何でそんなことを?」

「強そうだから、聞いたまでだ。いずれ、手合わせを願いたいものだ。」

「…機会があればな。」

そんな話をしながら、馬車はフィリンへと向かって走り出した。

読んでくださっている方々、有難う御座います。

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