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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
救出編
31/138

ギルド協会への報告

毎度有難う御座います。この章もこれで終わりです。

5人は屋敷まで帰ってきた。

「ここが家だ。2人の部屋なんだが、二階の何処を使ってくれても構わない。ただし、マリアとレイナの部屋以外でな。」

「それは解っております。」

「お兄ちゃん、本当にここに住んで良いの?」

ミーナは少しだけ心配そうな顔をした。

「あぁ、2人も家族みたいなものだ。これから宜しくな。」

ラトリスがミーナの頭を撫でながら言う。実に微笑ましい光景だった。

「しかし、やることがあるから、ミーア、家のことは頼む。ミーナは俺達と一緒に来い。」

「?何処へ?」

「ギルド協会にだ。依頼クエスト終了の報告が必要なんだ。」

「だとしたら、私も一緒に…」

そうミーアが言うと、ラトリスは首を振り、

「病み上がりなんだから、部屋を決めたら直ぐに寝ていろ。今日は家事も何もしなくていい。んー、マリア。」

「はい。」

「一緒にいてやってくれ。無茶しそうだから。」

「そうですね、解りました。」

マリアが一緒に残ることになった。ラトリス、レイナ、ミーナの3人はギルド協会へと向かった。


ギルド協会は少しだけ人が多かった。しかし、受付には殆ど並んでいなかったし、ミクが直ぐに対応してくれた。

「ラトリスさん、レイナさん。クエストはどうでしたか?」

「やあ、ミクさん。無事に依頼は終わったよ。」

「クエストの内容も聞いていなかったので、心配していたんですよ?それで、どのような依頼だったんですか?」

ミクが聞いてきたので、ラトリスはミーナに説明をさせる。

「ママの病気を治してもらいました。」

「へぇ、そうだったんですね。で、どのような病気だったんです?」

「ウイルス性の心臓病だ。」

ラトリスが言った。

「はい、心臓病…はい!?」

「声がデカいな。ウイルス性の心臓病だよ。」

「そんな…心臓病は治らないって有名な病気なんですよ!一体…どうやって!?」

「だから声がデカいよ。特効薬を作ったんだ。それを飲ませたから、大丈夫だよ。」

「特効薬って、まっ、まさかエリクサー!?」

大音声がギルド協会内に響き渡った。ラトリスは額を押さえて溜息をついた。

「伝説級の薬じゃないですか!どうやって作ったんですか!?」

「たまたま材料はあったからな。その場で調合したんだよ。」

もう隠し通せないと理解したラトリスは、全てを話すことにした。

「もしかして、まだ持ってたりしますか!?」

「残りは持ってるぜ。」

「ギルド協会に売ってください!!!」

「売る気は無いよ。色々問題になるだろうからな。俺が大事に保管する。」

「そんな!?勿体ない…それがあればどんな人でも救えるじゃないですか!だったら、作り方を教えて下さい!」

「…3年前、それで粗悪品が出回っただろう?自分以外がエリクサーを作れるとは思っていない。」

「たっ、確かに問題になりましたもんね。やはり無理ですか。」

「それに…」

ラトリスは後ろを指さして、

「ミクさんのせいでやたらとガンを飛ばされてるんだが?」

レイナが後ろを見ると、凄い形相でこっちを見ている人がずらりといた。

「すっ、済みません。」

「いや、仕方ないさ。」

ラトリスは落ち着いて言った。

「兎に角、今回作った薬は売らないし、もう二度と作り方も教えない。ドルトムントにも報告するんだろ?その旨も伝えておいてくれ。」

「解りました。そうします。」

ミクは納得して答えた。

「それで、今回の報酬ですが…」

「ミーアとミーナからもう貰ったよ。」

「内容の報告を。」

「ミーアとミーナの雇用だ。2人にひと月50万ガルド支払う。その内の20万ガルドを借金の返済に充てて貰う。衣食住は保証するからと、説得はした。」

「もしかして、ミーアさんって…」

「王宮に務めていたメイドだ。」

「まさか…伝説のバトルメイドさん!?」

「だから声がデカい。」

「そりゃ驚きますよ!何処行ったのか、誰も知らなかったんですから!」

「まあ、無事に見つかって良かったよ。」

「そうですね。ミーナちゃん、良かったですね。ラトリスさん、こう見えて優しいですから。」

「はい!」

「そういや、俺を見て女と思わなかったな。」

「だって、胸ないし…」

「…ぷっ!」

ミーナのその言葉にレイナは失笑した。それを見てラトリスは、

「ハッハッハッ、確かにな。」

どうやらミーナは胸で男性か女性かを見極めていたらしい。

「まあ、これから覚えることが多いしな。頑張ろうな、ミーナ。」

「はい、お兄ちゃん。」

ラトリスはミーナの頭を撫でた。


ギルド協会からの帰り道、ミーナはラトリスの背中で寝息をたてていた。

「相当疲れていたみたいね。」

「それはそうだろう。あの森を一人で抜けて街まで来たんだ。たいした子供だよ、この子は。」

「…ねぇ、ラトリスさん。この子をどうするつもり?」

「?どうって?」

「言ってたじゃない。2人にひと月50万ガルド払うって。つまりこの子も家で雇うって事じゃないの?」

「…そうだな。出来ればミーアと同じ道を歩んで欲しいかな。」

「それは、どうして?」

「…ミーアは、優しい女性なんだ。孤児になったこの子を見捨てず、自分の立場を捨ててまでも育てようとした。」

「それは凄いと思うわ。」

「そんな彼女が育てようとしたこの子を、俺も見捨てられない、そう思っただけだ。」

「…あなたも充分優しいわよ?」

「そうか?」

「そうでしょう?見ず知らずなら、私とマリア、いいえ、マリク兄さんとレイカ姉さんも一緒だったでしょう?それを養ってくれてるじゃない。たまに特訓とか言うけど、そんなに理不尽な事は強要したりしない。そんなあなたを、優しいって言わない人はいないと思うわ。」

「…俺は。」

「解ってる。何かを隠しているんでしょう?良いわよ、言わなくても。時が来たら話してくれたら、私もマリアも嬉しいわ。」

「…解った。そのうち話すよ。」

「えぇ。」

レイナは笑顔で言った。


家に帰ると、マリアが食事の支度をしていた。

「「ただいま。」」

「お帰りなさい。」

「ミーアは?」

「二階の、私の隣の部屋を使いますって。直ぐに寝ちゃったよ。」

「そうか…レイナ、ミーナを頼む。俺はマリアの手伝いをするよ。」

「解ったわ。」

「無事に報告出来たんですね。」

「あぁ、報告はバッチリだよ。」

「?」

マリアは少しだけ首を傾げたが、直ぐに調理に向かった。

「ラトリスさん、何かあったんですね?」

「…何故そう思う?」

「なんとなくです。そろそろ付き合いも長いですから。」

「はあ、わずか三ヶ月で見抜かれるようになるとはな。」

「ふふ、観察眼のお陰かも知れませんね。」

マリアは少し笑った。

「レイナはレイナで、少しキツいことを言う子ですから。」

「?レイナに何か言われた訳じゃない。」

「そうですか。」

「…ちょっとな。昔を思い出していたんだ。」

「聞いてみたいですけど、ミーアさんが元気になってからですね。」

「そうだな。その時に話すよ。」

2人は調理を続けた。その日は、精が付く様にと、ドラゴンステーキが多めに出された。

次からはラトリスの過去を少しだけ書いていきます。

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