謁見の時
風邪引いたのか頭が痛い…でも書きたい!
客間に通されてから約15分後、
「大変お待たせ致しました、ラトリス様、マリア様、レイナ様。国王陛下がお待ちです。どうぞ此方へ。」
ミーシャがやって来て言った。
「よし、行くか。」
ラトリスは腰を上げてミーシャに付いていく。マリアとレイナもそれに続いた。謁見の間まで来て、最後の身支度を済ませると、扉が開かれた。そのまま真っ直ぐに三人は進む。と、急にラトリスが足を止め、片膝をついて座った。それに習って二人も片膝をつく。
「国王陛下、ラトリス以下三名、到着致しました。」
ラトリスが珍しく丁寧な言葉づかいで挨拶をした。そして、
「顔を上げてくれ、ラトリス殿。貴方にそうされると、私の立場が無い。」
と、優しい声がした。
「後ろの二人も、楽にしてくれて構わない。」
そう言われ、マリアとレイナは顔をあげた。ラトリスはすでに立ち上がっていた。見ると、玉座に座った男女が目に入った。
「後ろの二人は初めましてかな。私が国王、レイナード・フィリアだ。そして…」
「妻のレナ・フィリアです。宜しくお願い致します。」
「まっ、マリアです。」
「レイナと申します。初めまして!」
二人は緊張していたが、物腰の柔らかい二人を見て立ち上がった。するとラトリスが、
「で、何のようだ?大臣達まで下げているところを見ると、何かあったのか?」
と、相変わらずぶっきらぼうにいった。
「ちょっと、ラトリスさん!?」
「いくら何でも。相手は国王陛下なのよ!?」
それを聞いてレイナードは、
「ハッハッハッ!構わないのだよ、お嬢さん方。ラトリス殿はそれが許されている唯一の男だ。なあ、ラトリス殿。」
「言ったろ、昔命を救ったことがあるって。それ以来城には顔パスで入れるし、何の遠慮も要らない仲なんだよ。なあ、レイナード。」
二人は高らかに笑っているが、マリアとレイナは気が気では無かった。
「それで用件はなんなんだ?また騎士団の訓練だったら断るぞ。俺ももう暇じゃ無いからな。」
「と言うことは、あの噂は本当だったのか。ラトリス殿がギルドを再建したというのは。」
「いや、ギルド再建は不可能なのは知っているだろう?入ったんだよ、二人のギルドに。」
「ほう、つまりは…」
「あぁ、ギルド長のマリアと副ギルド長のレイナだ。」
「それはまた、大変だな。しかし、もしかして二人は…」
「そう。マリクとレイカの妹達さ。」
「そうか…あれからもう2年経ったのか…」
「そうだ。」
少し懐かしそうな顔をレイナードは浮かべた、そして…
「ではギルド協会に申請しなければならないか?今日の依頼も?」
「いや、これまで通りでいい。ギルドの仕事はギルドの仕事。公私混同はしたくないからな。」
「解った。今回の依頼は娘のことだ。」
「ララが?何かあったのか?」
「いや、ただフィリンの貴族の誕生日会に呼ばれている。その道中の護衛を頼みたい。」
「護衛?近衛兵達がいるだろう?」
「最近配置換えが行われまして、若い近衛兵が着いたのだけれど、心配で…前任のバーグも怪我をして暫く動けませんの。」
レナがそう言った。
「そこで俺の出番って訳か。」
「どうでしょうか?娘も貴方に懐いていますから…」
「…二人はどう思う?」
「えっ、良いと思いますよ。」
「国王陛下直々のお願いでしょう?やるわよ。」
「…そうか。レイナード、レナ。やってやるよ。」
「そうか、やってくれるか。報酬は三人分支払う。」
「あぁ、何時も通りの値段だからな。びた一文負けねえよ。」
「ふふ、勿論ですわ。」
「ところで、ララはどうしたんだ?」
「今勉強中でして、もうすぐ来ると思いますわ。」
「解った、また客間で待たせてもらうことにするよ。」
「頼んだぞ、ラトリス殿。」
「任せとけ。」
そう言って、三人は謁見の間を出ていった。
読んでくださっている方々、本当に有難う御座います。




