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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
出会い編
2/138

ギルド、立ち上げます。

2話目です。七千文字位でちょくちょくかけたら良いなぁと思っています。

マリアとレイナの二人が故郷から帰ったのは、1週間後のことだった。

二人は屋敷の前に立って、“天の猫“の看板を見つめながら、

「これから始まるのね。」

「うん、必ず強くなろうね!」

「ぶつぶつと、何言い合ってるんだ、家の前で。」

二人が驚いて振り向くと、女性の顔がそこにはあった。

「あのぅ、誰ですか?」

と、マリアが聞くと、

「1週間たつと、人のことも忘れるのか?まあ、仮面被ってた俺も俺なんだが。」

「えっ?」

下を見ると、真っ赤なコートに真っ黒なズボンを履いている。そこで二人はようやく理解して、

「「ラトリスさん!?」」

と、叫んだ。

「うるさいな、静かに騒げよ。近所迷惑だろう。まぁ、近所になにも無いけどな。」

「ラトリスさんって、女の人だったんですか!?」

「失礼な。れっきとした男だよ、俺は。勘違いされるのは慣れているけどな。それより…」

ラトリスは二人を観察して、

「ちゃんと無事に帰ってきたんだな。世の中物騒だからもっと遅く帰ってくるか、帰ってこないものだと思ってたんだがな。」

「約束しましたし、お金も返さないといけませんから。」

「ふーん、律儀だな。まあ、今回のはマリクとレイカの金だったから、返す必要は無いぜ。」

「だとしても、私達は強くなって、人の役にたつことを望んでいますから、」

「…そうか。」

ラトリスは少し笑った。

「とりあえず中に入るか?それともこのままギルド協会にいくか?」

「ギルド協会へ?何をしに行くんですか?」

二人はきょとんとした。

「まだ登録してないんだろ?冒険者登録と、ギルドを立ち上げることをギルド協会に報告しなくちゃ、何も始まらないだろ?」

ふたりは頷いて、

「そういえば、何もしてなかったですね。特に疲れてもいませんから、ギルド協会へ行きたいです。」

「よし、じゃあいくか。」

三人は街の中心にあるギルド協会へ向かった。


ギルド協会にはそんなに人はいなかった。

ラトリス達は、受付に向かい、応対しようとした受付嬢へ、

「すまないが、ミクさんはいるか?」

と聞いた。

「失礼ですが、お名前は?」

「ラトリスが用があると伝えてくれればいい。」

「わかりました。」

受付嬢は奥へ下がっていった。

「あの…ミクさんって誰ですか?」

「俺の専属の受付嬢だよ。これから君達も世話になる。」

「はぁ…」

しばらくすると奥の方から走ってくる音が聞こえてきて、受付のカウンターへと人がやってきた。

そこには、年の頃20才位の女の人が立っていた。

「ラトリスさん!やっと…やっと仕事する気になったんですね!?」

いきなりの言葉にマリアとレイナは若干引き気味になった。

「あのなぁ、ミクさん。俺は一応仕事はしてきてただろう?二人に悪影響だから、言葉は選んで欲しいな。」

「あっ…すみません。ここ半年ほど、協会には顔を出しても仕事はしていなかったので、つい…」

「やれやれ、二人とも、この人がミクさん、俺の専属の受付嬢で、これから二人の専属になってもらうひとだからな。顔と名前は覚えときなよ。」

「は、はい!私はマリアっていいます!」

「私はレイナです、宜しくお願いします!」

「あらあら、元気良さそうな子達ね。私はミクよ。宜しくね。っと、まずは書類に必要事項を書いてもらおうかな。」

ミクは二人に紙とペンを差し出した。

「名前と年齢、使用する武器の種類と使える魔法をそこに書いて。後からでも登録し直せるけど、なるべく正直に書かないと依頼がこなせない可能性があるから。」

「へぇ…」

「今は適当に書いとけ。どうせ3か月後には名前と年齢以外書き直す事になる。」

「ラトリスさんがそう言うとなると、この二人が?」

「そう、マリクとレイカの妹達だ。」

「やっぱり!どこか似てるなぁって、思ってたのよ。」

「兄達をご存じなんですか!?」

「そりゃ、専属だったしね。あまり強く無かったけど。」

「あいつらは…サボり癖が酷かったからな。真面目に訓練積めばそこそこ強くなれたのにな。」

そんな話をしているうちに、二人の書類が書き終わった。

「ふむふむ…マリアさんがファイターで、レイナさんはウィザードね。中々いい感じじゃない。」

「ほう、レイナは中級魔法フレイムまで使えるのか?」

「はい、レイナは優秀ですから。」

「ちょっと、マリア!貴女だって、岩ぐらいなら切れるでしょうに!」

「…少し見くびっていたかもな。」

「「えっ?」」

「それだけ出来るなら、本気で鍛えたら、化けるかもだ。ドラゴンも倒せるかもしれないな。やる気次第だがな。」

ラトリスはふふっと笑った。

「でも、ギルドはどうするんです?三人まとまって入れるギルドは今のところありませんが?」

「この二人がギルドを作る。俺がそこに入る。」

「ええっ!?」

「名前はどうする?可愛い名前をつけるか?」」

「ちょっと…ラトリスさん、本気ですか!?」

ミクは驚いて、

「ギルド開設には百万ガルド必要なんですよ!この二人が持ってるわけ…」

「百万ガルド!?そんな大金ありませんよ!?」

「なにかんがえてるんですか!?」

「安心しろ、立て替えておいてやる。利息もないから、いつか返してくれればいい。」

そう言うと、ラトリスは

「アクセス!」

といい、なにも無い空間へ手を伸ばした。

異空間に直結し、荷物などを入れておける魔法で、その中からドラゴンの頭骨を取り出した。

「今持ち合わせが無いからな。こいつを換金してほしい。」

「ちょっ!?それだけで1億ガルドは下らない品じゃ無いですか!?いったいどこから!?」

「2年前のドラゴン強襲事件の時のだ。アクセスの魔法は便利でね。保存状態も完璧だからな。急な換金だし、1千万ガルドでいいぜ。」

「全く貴方は…やることなすこと無茶苦茶ですね。」

「まっ、それが1つの持ち味だろ?」

「桁違いに危ない人に運命を委ねてる気がする…」

「同感…」

「残り900万ガルドは…確かギルド継続料一ヶ月10万ガルドだったな?3か月分引いて、後は協会に預けとくわ。何かあったときのためにな。」

「分かりました。そのように手配します。」

「話が早くて助かった。あと、3か月は依頼受けないから、そのつもりでいてくれ。」

「それはなぜ?」

「この二人を鍛える。」

「そうですか…しっかりと鍛えてあげてくださいね。二人も、何かあったら私のところに来てください。何でも対応しますから。」

「ありがとうございます。」

「色々相談しに来ます。」

「じゃあ、そろそろいくわ。」

「あっと、その前に!」

ミクは黒いカードを二枚差し出して、

「冒険者カードを渡し忘れるところでした。それがあれば、街から街に移動しても冒険者ということで入ることが出来ますよ。」

「そういや、そうだったな。俺は城下位しか行かないから、あまり関係ないけど…」

「もう、他所の国でも使えますから、しっかりと携帯しておいてくださいね。」

「はい、わかりました。ありがとうございます。」

三人はようやく、ギルド協会の外に出た。


と、入り口で、

「あいつらです!1週間前俺達の邪魔をしたのは!?」

と、怒声が響いた。

三人が見ると、十人の男達がそこに立っていた。

「てめえか、俺達のギルドに喧嘩売ったのは。」

「喧嘩?あぁ、1週間前にこの二人を慰み者にしようとしてた奴らか。今度は仲間を連れて来たのか?」

「うるせえ、てめえ。死にたくなかったら、その二人をおいていきな。ぶっ壊れるまでまわしたら、返してやるからよ。」

「天下の往来で不潔なこといってんじゃねえよ。ま、いいぜ。二人とも。あの阿呆共の相手をしてやれよ。二人の強さが見たい。」

「えっ、でも…」

「安心しろ、殺さなければ何でもやっていい。それにほら。」

ラトリスはアクセスの魔法を使い、異空間から剣と杖を出した。

「刃は潰してあるから、全力で振っても骨が折れるだけだ。Dクラス冒険者相手に何処までやれるか見せてくれ。ヤバくなったら、俺がやる。」

「なにをごちゃごちゃいってやがる!」

十人の男達の内、四人が同時に躍り出てきた。

マリアは剣を受け取ると、素早く踏み込み、横に剣を一閃させた。

「これくらいなら、なんてこと無いわ。」

一閃が決まり、四人の男が後ろに吹っ飛ぶ。

「へぇ、やるな。」

ラトリスは呟いた。と、同時に、

「炎よ、我が敵を焼き尽くせ、ファイアボール!」

レイナの持った杖から、4つの炎の弾が発射され、後方に待機していた男達に直撃し、吹っ飛んだ。

「おぉ、こっちもやるなぁ。」

「ふふん、まあね。」

レイナは得意気にいった。

残るは二人の男達だけになった。

「てめえら、いったい何なんだ!?冒険者だとしたらGランクじゃねぇのか!?」

「Gランク?」

「冒険者成り立てのことさ。クエストこなしてればそのうち上がる。一番上はSランクだな。」

「ちっ、めんどくせぇ。Bランクの俺達が相手しなくちゃならないなんてよ。」

「び、Bランク!?これは勝てそうにないかなぁ。」

マリアがそう言った。

「確かに強そう…フレイムを使うしか無いかなぁ。」

レイナも緊張しながらそう発した。

すると、ラトリスが前に出て…

「じゃあ、俺がやろう。」

といった。

「へっ、てめえのランクは知らねぇが、俺達二人はあいつらとは違うぜ」

「そうかぁ?俺からしたら、お前等全員ただの阿呆に見えるけどなぁ?」

「舐めやがって!」

片方の男が斧を持って襲いかかってきた。

ラトリスは冷静に見て、的確に男の斧を持った手を右足で蹴り上げ、そのまま鳩尾に前蹴りをたたき込むと、その足を踏み台にして顎にめがけて左足でサマーソルトキックを放った!

「ぐえっ!」

と、いって男は倒れた。

二人目の男はラトリスが着地すると同時に突進してくる。こちらは獲物を持たない、おそらく拳法家なのだろう、両手を開いてラトリスに掴みかかろうとしていた。

ラトリスは相手の手を四つ手で受け止め、そのまま力比べの体制に入った。

「へっ俺と力比べしようってのか?甘えぜ!」

男は余裕の笑みを浮かべていた。ラトリスより一回りデカい体格を持つ男との力比べ、圧倒的に不利では無いかと思った瞬間、ラトリスは平然と相手の股間を蹴り上げていた。

「グギャア!!!」

これにはたまらず、男は悲鳴をあげて蹲った。

が、両手はラトリスに捕まれていて、一切動かせない。ラトリスは更に男の股間を蹴飛ばし続けた。

「どうした?こんなもんか、Bランク様?」

「ま、待て、待って下さい!もう、もうやめて下さい!」

「けっ、つまんねえな。」

ラトリスは手を離すと、蹲った男の後頭部を踏んづけて言った。

「次また俺達にちょっかいかけてみろ、今度こそ殺してやるから覚悟しとけ!馬鹿野郎!」

と、相手の後頭部に唾を吐きかけた。

マリアとレイナは驚愕の眼差しを向けていた。

「…鬼?」

「一応人間よ。多分ね…。」

「さてと、腹も減ったし、飯食いに行くか!」

何事も無かったかのようにラトリスが言うと、三人揃ってギルド協会から立ち去っていった。

「しかし…」

「何ですか?」

「二人とも中々やるなって思ってな。」

「これでも村の警備もやってましたから。」

「魔物退治してましたからね。」

「なるほど。じゃあ心配いらないな。」

ラトリスは呟くと、馴染みの店へと向かって歩きだした。

「あっ!」

マリアが叫んだ。

「どうした?」

「ギルド名、言い忘れました。」

「・・・まあ、次に行ったときにつけるか。」


次回は食堂小話でも書きます。

なるべく早く書くつもりです。

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