情報収集
今回も短い…宜しくお願いします!
ラトリスがギルド協会会長のディランと、ギルド同士の戦いを約束して三日が経過していた。
「ラトリスさん、本当に勝てるんですか?」
マリアが不安そうに聞いた。
「あれから三日経つけど、何もしてないわよね、私達。」
レイナも不安そうだ。それに対してラトリスは、
「勝つだけなら容易いんだがなぁ。一つ、問題があってな、それが解決するのを待っているんだ。」
ぶっきらぼうにラトリスは言う。
「でも、私は嫌ですよ。こんな形でギルドを失うなんて…」
「そうよ。私だって嫌。」
マリアとレイナは怒っていた。しかし、それ以上に居場所がなくなってしまうのではないかという不安の方が大きかった。
「まぁ、不安なのも解るさ。取りあえず、満腹亭に行くぞ。」
「「こんな時に食事ですか!?」」
更に二人の疑惑が強くなった。
「おいおい、二人とも。忘れたのか?初めて二人を連れて行ったときに、俺はなんて言ったよ?」
「え…あっ!」
「忘れてたわ!」
「そう、マスターは情報屋だ。」
ラトリスはニヤリと笑った。
三人連れ立って満腹亭に向かう。店に入ると、難しい顔をしたガルフが待っていた。
「よう、そろそろ来ると思っていたぞ。」
「ガルフ、情報が欲しい。」
「全く、お前等は。で、ラトリスよ、どんな情報が欲しいんだ?」
「まずはギルド“天狼星“の情報からだな。」
「…この街唯一のSクラスギルド。構成員は58人、ギルド長はピーターだ。」
「ふんふん、それで?」
「ほぼ全員で戦って、ストーンドラゴンを倒した事があるらしい。その功績で、Sクラスに昇格したって話だ。」
「ストーンドラゴンをか?あの堅い奴相手によく戦えたな。」
「あのぅ、ストーンドラゴンって?」
「ドラゴンの中じゃ最弱に位置するドラゴンさ。俺も倒したことがあるが、地面を這って強力な突進をかましてくる。ドラゴンの中で最も硬いとも言われているな。」
「そんなのとやりあえるなんて…」
「何言ってんだ?お前達だって戦えるぞ。」
「「え…?」」
「それでマスター、他に情報は?」
「“天狼星“の情報は以上だ。」
「それは大体わかってる。それ以外の情報だ。」
「…お前が一番欲しい情報は、ドルトムントの居場所だろう?」
ラトリスはコクリと頷いた。
「何か情報は無いのか?」
「…不確定だが、信頼のおける情報がある。」
「それは?」
ガルフは深く息を吐き、少し間をおいて話し始めた。
「本当に不確定なんだが、現ギルド協会会長のディランの奴が、“天狼星“のピーターと手を組んで、ドルトムントの奴を監禁しているらしい。場所はフィリン支部の地下じゃないかって話だ。今もこれに関しては調査中なんだ。」
「「!!!」」
マリアとレイナは息を呑んだ。
「ディランの野郎は、“天狼星“を使って気に入らないギルドを潰している。お前達のギルドも気に入らない一つのようだ。エラい奴に目を付けられたな。」
ガルフは溜息をついた。
「そうか、でもやらなくちゃならないんだ。ギルド“天の子猫“を守るためにな。」
ラトリスの目には、迷いが一切感じられなかった。
「情報の続きがあるよ。」
入り口から声がした。全員が其方を見るとカレンがいた。
「どうやら、フィリン支部の地下にドルトムントさんは監禁されているみたい。」
「カレンちゃん、本当なの?」
「てか、何で解るのよ?」
「ギルド“天狼星“の構成員から聞いてきたのよ。」
「カレンは諜報活動のエキスパートだからな。本当に信頼できる情報だぜ。」
ラトリスが笑顔になって言った。
「ガルフ、カレン。ありがとう。情報料は幾らだ?」
「ドルトムントを助けるんだろう?だったら要らない。あいつを助けてやってくれ。」
ガルフの言葉にラトリスは、
「だったら尚更払うさ。あいつは俺にとっても必要な奴だからな。百万ガルドでいいか?」
そう言いながら、異空間から袋を取り出し、百万ガルドを支払った。
「…すまん、ドルトムントを頼む。」
「あぁ、任せとけ。マリア、レイナ、行くぞ。」
「「はっ、はい!」」
そうして店を出て行った。
家に帰るとラトリスは疲れたから寝ると言って、部屋に入ってしまった。それを見て、マリアとレイナはふと考えた。
「私達、何か出来ることがあるんじゃないかなぁ?」
マリアが言った。
「そうね。ラトリスさんとドルトムントさんの関係は解らないけど、“天狼星“の奴らや今のギルド協会会長が碌でもない奴らだって事は解ったわ。」
レイナが答えた。
「きっと、ラトリスさんは無茶をしようとするだろうね?」
「えぇ。」
「こんな時、兄さん達ならどうしたのかなぁ?」
「うーん、姉さんもそうだけど、きっと今の私達と一緒よ。」
「そうだよね。答えは決まっているよね。」
「そうよ、マリア。明日ラトリスさんに話しましょう!」
「そうね、レイナ!」
2人も軽く食事をして、早めに就寝した。
次回は作戦をたてます。




