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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
ギルド対決編
15/138

武器、防具の買い物

短い話ばかりですみません。

クエストから帰ってきた翌日、三人は街へ出ていた。

「ラトリスさん、何処へ向かっているんですか?」

マリアの質問にラトリスは、

「言っただろう?お前達の装備を買い直さないとなって。」

するとレイナが、

「今のままでも当分は戦えると思うけど?」

と言った。しかし、

「この間のスチールバイソン戦で、少なくとも剣は1本折れているだろう?しかも、どんなに柔らかかろうと、血が付いた剣は錆びるのが早くなっちまうんだ。俺も剣はそんなに持ってないからな。安くても数を揃えておいた方がいい。消耗品だからな。」

そうして歩いていると、裏通りの一件の武器屋の前で止まった。

「ここだ。」

ラトリスはそう言うと中へ入っていく。マリアとレイナの二人も続いて入っていく。

「らっしゃい!って、ラトリスちゃんじゃないの。」

「よう、カティア。元気にしてたか?」

若く小柄なカティアと呼ばれた女が笑顔になる。

「まあ、相変わらずだよ。お客さんも殆ど来ないから。それより、後ろのお二人さんは?」

カティアは二人をマジマジと見つめた。

「俺が所属しているギルドの長と副長だよ。」

「始めまして、マリアです。」

「レイナよ。宜しく。」

「マリアちゃんとレイナちゃんねぇ。私はカティア。こう見えて32歳だよぅ。ラトリスちゃんとは、5年の付き合いになるかなぁ。宜しくねぇ。」

「カティア。二人がびっくりした表情してるじゃないか。」

ラトリスはふっと笑った。

「いやぁ、小柄で童顔だから若く見られるのは良いんだけどぉ、子供と間違えられるからさぁ。」

「ほっ、本当に32歳!?」

「全然見えないわね…」

「ふふふ、お二人さん、これから宜しくねぇ。」

「はい、此方こそ。」

「よろしくお願いします。」

「そんなに畏まらなくても良いよぅ。仲良くしてくれるなら、秘蔵の武器ちゃん達も出すよぅ。」

「秘蔵の武器って?」

「この間手に入ったドラゴンの頭骨から作ったドラゴンエッジとかぁ?」

「それって…」

「あぁ、俺が売った頭骨だろうな。」

「あらぁ、ラトリスちゃんが売ったのぅ。私に直接売ってくれれば良かったのにぃ。」

「馬鹿言うなよ。本気で安く買い叩くくせに…」

「そりゃそうよぅ。私達の仲じゃないのよぅ。」

「そんなに欲しけりゃ、これをやろう。」

そう言って、ラトリスは異空間から何かの骨を取り出した。

「あらあらぁ、コカトリスの骨じゃないのぅ。これもそこそこ値が張るんじゃないのぅ?」

「久しぶりに来たからな。手土産替わりだ。」

「ふふふ、ありがとうねぇ。そうだ、これで何か作ってあげようかぁ?安くしとくわよぅ?」

「え…」

「コカトリスの骨で?」

「睡眠を促す剣とかぁ、魔力を増幅する杖とかが作れるわよぅ?」

「そうだな。二人にはちょうどいいかもしれないな。」

「でも、高いんじゃ…」

「うーん、1本1万ガルドでどうかしらぁ?」

「「えー!?」」

二人は驚いた。

「あらあらぁ?高すぎかしらぁ?」

「いや、逆ですよ、逆。」

「安すぎて驚いているんですよ!?」

「そうかしらぁ?きっと他の武器も買ってくれるだろうしぃ、お試し価格としては妥当かなぁって思うんだけどぉ、ラトリスちゃんはどう思うのぉ?」

「良いじゃないか、作ってもらえよ。」

二人は少し悩んで、

「…じゃあ」

「お願いします。」

と、答えた。

「ふふふ、腕が鳴るわぁ。」

そう言って、カティアはコカトリスの骨を持って奥へと引っ込んで行った。

「あのぅ、ラトリスさん?」

「暫く武器を見とけよ。大丈夫。腕は確かだよ、あの人は。」

ラトリスはそう言うと、店に置いてあった椅子に腰掛け、目を瞑った。仕方なくマリアとレイナは二人で他の武器を見始めた。


カティアが奥へと引っ込んで1時間後、

「お待たせしましたぁ、出来たわよぅ。」

出て来たカティアの両手には、1本の長剣と1本のロッドが握られていた。

「はい、こっちはマリアちゃん。」

長剣をマリアに渡す。

「で、こっちがレイナちゃん。」

ロッドをレイナに渡した。

二人が握ってみると、長年使ってきたようにしっくりきた。

「凄い…」

「とっても使いやすそう。」

「試し斬りや試し撃ちはぁ、ウチではやらないでねぇ。壊れちゃうからぁ。」

と、ラトリスが目を覚ました。

「ん~!よく寝たぁ。お、出来たんだな?」

ラトリスは長剣とロッドを見て、

「流石カティアだ、人を見ただけでその人の癖まで解るとは…」

「ふふ~ん、もっと褒めてぇ。」

「でも、本当に1万ガルドで良いんですか?」

「ふふふ、良いのよぅ。でも、メンテナンスとかは普通に貰うわよぅ。」

「本当に、ありがとうございます。」

二人は1万ガルドずつ支払った。

「あと、長剣を8本ほどくれ。」

ラトリスが突然言った。

「良いわよぅ。そこの棚のなんてどうかしらぁ?」

棚に近付き、ラトリスがそのうちの一本を持って、鞘から抜く。

「…うん、良い剣だ。これを8本貰おう。」

「まいどありぃ、8本で70万ガルドよぅ。」

「「えぇ!?」」

「1本はおまけか。有り難い。」

「ちょっと、ラトリスさん!?」

ラトリスは首をかしげている。

「どうした、二人とも。」

「高すぎでしょう!?」

「はぁ、鑑定眼を修得したと思ったんだがなぁ…」

ラトリスは二人の前に剣を差し出した。

よく見ると、剣がまばゆく光り輝いていた。

「ここにある剣はな、カティアが魂を込めて打ったものだ。業物と言えるほど精錬された剣なんだ。70万でも安いさ。」

「そ、そうですね。済みません。」

「因みにお前達の受け取った剣と杖は1本1億ガルドはする出来栄えだぞ。」

「まっ、マジですか!?」

「そっ、そんな武器を1時間で2本も!?」

「だから、俺はよくここへ来るんだ。二人に今まで渡していたのも、彼女の作品だ。」

「まあ、最近ラトリスちゃんが買っていったのはぁ、1本500ガルド位の剣ばっかりだったけどねぇ。」

「でも、ラトリスさんが武器を使っているところ、見たことありませんよ?」

「俺が使うと、剣が折れるんだ。」

「本当にぃ、武器泣かせなのよねぇ、ラトリスちゃんはぁ。」

「だから基本素手なんだ。たまには武器も使うけどな。」

ラトリスはしみじみと呟いた。

「だからこいつらもお前達用だ。」

そう言って、4本ずつ二人に渡した。

「いつでも使えるように、異空間に保存しておけ。」

「「…」」

二人は言葉も出なかった。


次に三人は防具屋に向かった。

「たまにクリーンの魔法を使っても、所々ガタが来ているだろうし、新しく買っとくに越したことはない。」

そうして防具屋へ入っていく。

「およ?ラトリスさん?いらっしゃい。」

店の中から元気な声が響いた。

「よう、アリス。元気だな、相変わらず。」

「まあね、それがアタイの良いところさ。で、そっちの子達は?」

「俺の所属しているギルドの長と副長さ。宜しくしてやってくれ。」

「!あんた、とうとうギルドに入ったのかい!?よく入れて貰えたねぇ。」

「あぁ、二人はマリクとレイカの妹達なんだ。」

「へぇ、あの二人の。…うん、確かに面影があるよ。始めまして、アタイはアリス。宜しくね。」

「「よろしくお願いします。」」

「で、今日はどうしたのさ。」

「この二人に防具を見繕ってやってくれ。」

「ははぁ、なるほど。確かに革の鎧にローブじゃあ弱っちく見られちまうわなぁ。よしきた、予算は幾らくらいだい?」

「高くても8万位かな。」

「そんなに持ってるのかい?駆け出しっぽいけど…」

「大丈夫。あと100万近く二人は持っている。これからのことを考えると、8万位が妥当なところだ。」

「なるほど、ウチならフルで装備が揃うと踏んだんだね。任しときなよ、良いもの紹介してやるよ。」

そう言って、奥へと引っ込んでいき、メジャーを持ってきた。

「まずは採寸からだね。体の大きさを測らせて貰うよ。」

「じゃあ俺は近くの喫茶店でお茶しとくわ。女性だけの方がやりやすいだろう?」

そう言って、ラトリスは出て行ってしまった。

「まずは…えっと、名前を聞いてなかったね。」

「あ、マリアです。」

「レイナよ。」

「マリアとレイナね。よし、まずはマリアからだよ。うーん、良いスタイルしてるねぇ、無駄な脂肪が一切無いよ。」

「ありがとうございます。ラトリスさんの特訓のお陰ですね。」

「へぇ、あの子の特訓を受けているんだ、大変だろう?」

「いえ、特訓は終わったんですよ。」

「何だって!?マリクとレイカでも出来なかったのに!?」

「…確かにあれは地獄だったわね。」

「今もリミットやグラビティの魔法がかかっているから、特訓中と変わりませんけどね。」

「なんて子達だい…末恐ろしさを感じるよ。」

そう言いながら、アリスは二人の採寸を済ませた。そして、

「やっぱり二人とも動きやすい軽装備の方が良いかい?」

と聞いた。

「そうですね、これ以上の重装備はちょっと…」

「まあ、錯覚しているだけだけどね。重いのは嫌だわ。」

「じゃあこの天使のレオタードなんか…」

「「却下!!」」

二人同時に叫んだ。

「えー、動きやすくて軽いし、かわいいのに…」

「余り露出したくありませんよ!」

「何考えてるのよ!?」

「これを着れば、ラトリスさんだって振り向いてくれるかと…」

「そんなつもり…」

「一切ないわよ!」

余りの剣幕にアリスは渋々引き下がった。

「じゃあ真面目に。マリアにはこれかな。」

そう言って、革の鎧の外からでも着けられるプロテクターを出した。マリアは早速装着してみる。

見た目よりも軽く、今までの動きも邪魔をしない造りになっていた。

「これ、凄く良いです。」

「で、レイナにはこれ。」

今度はドレス風になっているローブを出した。

試着室でレイナが早速着てみると、思いのほかしっくりくる。

「良いわね。動きやすいわ。」

「良かった。でも、それ両方ともミスリルが使われているのよ。」

「あのミスリルですか!?」

「そんな…じゃあ高いんじゃ…」

「ううん、約束通り8万ずつでいいよ。」

「…なぜですか?」

「うーん、身の丈考えずに、良い防具を買う客が多くてね。でも死んじゃって持ってこられた防具達をアタイが引き取るの。で、その防具達も中古なのよ。あっ、安心して。ちゃんとクリーンの魔法を使ったし、メンテナンスも欠かして無いから。…でもね、本当の使い手なら、防具より先に死んじゃいけないと思うのよ。その点、二人なら大丈夫だと思うから、その装備を使って欲しいんだ。…駄目かな?」

そこまで聞いて二人は理由を納得して、

「有り難く、使わせて貰いますよ。」

「本当にありがとう。」

と、言った。。

「でも、安くするから、メンテナンスはアタイにさせてくれよ。」

アリスが付け足すと、三人は笑った。と、

「武器屋も防具屋も最高だろ?」

ラトリスが戻って来て言った。

「はい。そうですね。」

「本当にいい人ばかりだわ。」

マリアとレイナは笑顔でそう言った。

マリアとレイナはそれぞれ買った防具を着けて、三人で家路につくのだった。

いよいよ装備も整いました。

そろそろ本当に対決へと向かいます。

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