クエスト完了!
タイトル通りクエスト終わりです。
キャンプ三日目、今日は三人とも同時に起きた。
「おはよう。」
「「おはようございま~す。」」
マリアとレイナはまだ眠そうだった。
ラトリスは寝袋から起き出すと、顔を洗いに行き、直ぐに朝食の準備を始める。
「あっ、私達も…」
「手伝いますぅ~」
「取りあえず、顔を洗ってきなよ。」
ラトリスは微笑して言った。
朝から再びパンを焼き、昨日狩ったスチールバイソンの肉を器用に捌いていく。レイナはサラダの為の野草を集め、マリアは魚を捕った。
今日もそれなりに豪勢な朝食となった。
「朝食を食べたら、やらなくちゃならないことがある。」
「ほへははんへふは?」
「口に物入れて喋るなよ。」
「もぐもぐ、ゴックン、ふう。それは何ですか?」
「戻ったときに速やかに報告出来るように、素材とかをまとめとくんだ。」
「あっ、そうか。バラバラに持って行くと鑑定とか大変だものね。」
ラトリスはコクリと頷いた。
「ミクさん達にも悪いしな、時間をかけると。」
「そうですね。」
三人は朝食を食べ終えると、素材の確認を行った。
「えっと、ゴブリンの角が39本、爪が170本…」
「スチールバイソンの角が18本、薬草が325束か…」
「あっ、後これも追加してくれ。」
そう言って、ラトリスは異空間から更にものを出した。それは、ゴブリンの死体の山だった。
「らっ、ラトリスさん、これは?」
「昨日狩ったゴブリンだ。200匹近く狩ったな。」
「けっ、桁が違う…」
「二人も慣れてくればこれくらい出来るようになるさ。」
仕方なく、ゴブリンの死体から素材を剥ぎ取っていく。そして最終的にゴブリンの角が232本、爪が562本、スチールバイソンの角が18本、薬草が325束となった。
「初めての狩りとしては上々だな。」
ラトリスは笑っていたが、
「…相場がよくわからない。」
「これでいいのかしら?」
二人は少し困惑していた。
「てなわけで、ゴブリンの素材をマリア、スチールバイソンと薬草はレイナが保管してくれ。」
「えっ?なぜですか?」
「ギルド長と副ギルド長が報告するのが普通なんだ。それに、二人ともアクセスの魔法にまだ慣れていないだろう?その練習として、な?」
「はぁ…解りました。」
「ちょっと、入れるのを手伝ってくれないの?」
「俺はキャンプの撤収をするからパス。」
「「…」」
キャンプの撤収の方が面倒くさいと考えた二人は、渋々素材を異空間へ片付けていく。
それぞれの片付けが終わったのは、殆ど同時だった。
「さて、帰るとするか。」
「はい、帰りましょう!」
「早くお風呂に入りたいわ。」
三人は連れ立って歩き出した。
ギルド協会に着いたのは、昼過ぎ頃だった。まだ冒険者達はそんなに戻って来ていないのか、受付は空いていた。
「済みません、ミクさんはいらっしゃいますか?」
マリアが受付嬢の一人に尋ねると、直ぐにミクが奥から顔を出した。
「あら、マリアさん、レイナさん、ラトリスさん、こんにちは。」
「こんにちは、ミクさん。」
「こんな時間にどうしたの?」
「クエスト完了報告に来ました。」
「えっ…ええー!はっ、早すぎないかしら!?熟練ギルドでも五日はかかる内容ですよ!?」
「それだけこの二人が優秀だってことさ。」
「ラトリスさん、一体どんな鍛え方をしたんですか?」
「まるで俺が悪いみたいな言い方だな。」
「だってそうでしょう!?Gクラスの冒険者なら、普通は挫折してもおかしくない内容だったんですよ!?」
「そうだろうな。それより鑑定を頼みたい。」
「もう…直ぐそうやってはぐらかす。良いですよ、何が来てももう驚きませんから。」
マリアとレイナは鑑定品を取り出した。すると、
「なっ、なんて量を持ってくるんですかぁ!?」
ミクは再び驚いて叫んだ。
「今回はちゃんとクエストだったんだから、適正価格で買い取ってくれよ。」
「あぁ、もう!やることが無茶苦茶です!暫く時間を下さい。」
「じゃあ、暫くお茶でも飲んどくか。」
ラトリスは踵を返して、ギルド協会内にあるカフェへ足を向けた。それに二人も付いていく。
三人がお茶を飲んでいると、30分後にミクがやってきて、
「お待たせしました。今回の報奨金です。」
と言って、袋を三つ重そうに運んできた。
「全部で270万ガルドです。三つに90万ガルドずつ入れてあります。お納め下さい。」
「「そんなに!?」」
それを聞いて、マリアとレイナは驚いた。
「不思議な事じゃないさ。相場の何倍も納品したんだからな。これでも少ない方さ。」
ラトリスはあっけらかんと言った。
「それに、武器や防具も新調しなくちゃならないし、色々金がかかるんだから、貰えるものは貰っとくに越したことはないよ。」
と言って、自分の袋の中身を取り出し、中から45万ガルドずつに分けて取り出すと、
「二人にボーナスだ。」
と言って、二人に与えた。
「ラトリスさん、それは貰えませんよ。」
「殆どラトリスさんの功績じゃない。私達が貰う訳には…」
「言ったろ、色々必要になるって。その金で良い武器や防具を買うんだ。そのための出費なら、俺はいくらでも出すさ。それに…」
「それに?」
ラトリスはふふっと笑って、
「お前達の借金はまだ大量に残ってるから、今から更に稼いで貰わなきゃならないからな。」
と、付け足した。
マリアとレイナは可笑しくなって一緒に笑った。
三人は家路についた。そして屋敷の近くまで来ると、
「なんだ、なぜ入れないんだ!?」
と、怒声が聞こえてきた。
屋敷の前を見ると、前に来ていたギルド“天狼星“の四人が、プロテクトによって守られた屋敷の玄関先で揉めていた。
「一体何だってんだ!?見えない壁に押し戻されて、先に進めない!」
「なぁ、諦めて今日は帰らないか?」
「嫌よ、今日こそ屋敷の全体を把握して、一番良い部屋を私の部屋にするんだから。」
「くそ、何だってこんなところに壁みたいなのがあるんだ!?」
それを遠巻きに見ていたラトリスは、
「…仕方ない。満腹亭に行って飯でも食うか。」
と言った。
「賛成です。」
「鬱陶しいわね。早く帰ってくれれば良いけど…」
三人は満腹亭へと向かった。
ギルド“天狼星“の四人の名前考えるのがめんどいので、名無しで行こうか悩んでいます。
更新は早めにしていますが、全体的に短いかなぁとも悩んでいます。
もし読んでいる方がいらっしゃいましたら、意見を下さい。お願いします。<(_ _)>
 




