神の力
アテナに連れられてゼウスの宮殿までやって来ると、直ぐに中へと通され、謁見の間へと通された。玉座から一定の距離を置いて跪くと、ゼウスが玉座に現れた。
「アテナ、そしてラトリスよ。良く来てくれた。」
「ゼウス様、それどころではありません。」
「…ロキがいないな。何があった、申してみよ。」
アテナとロキシスは、全てをゼウスに話した。
「そうか…私がなそうとしていたことを代わりにロキが行ったか…」
「ゼウス様…?」
「ラト…いや、ロキシスよ。ロキが守った其方の命、大切にするのだ。」
「勿論です。しかし、ゼウス様。」
「何だ、ロキシス?」
「ロキは俺に、ロッキーナ大陸で待つと言っていました。それはどういう意味なのでしょうか?」
ロキシスがそう聞くと、ゼウスは優しい顔つきでいう。
「我々神が不死身の存在だと、先の戦いの間に話したな?」
「はい。」
「しかし、ロキはお前に神の力全てを渡したのだ。その結果、天界にいられなくなってしまったのだよ。」
「…」
「そしてその魂は、浄化されて転生をする。が、転生先はあの子が可愛がっていたロッキーナ大陸、そこに転生されるだろうと言うことだ。」
「即ち、そのロッキーナ大陸へ行けば、ロキに会えると言うことですか?」
「うむ。しかし、転生したとしても、お前との記憶は無くなっているし、広大な大陸で会えるのかも解らないのだ。ただし、それは普通の転生をした場合だ。」
「…?」
「ロキシスよ。お前はロキから力を得た。だからお前達の間には特別な絆のようなもの、お互いに求め合う力があるはずだ。それを頼りに、探せば良いと思う。」
「解りました。では、下界へ行きます。」
「まあ待て、ロキシス。話は終わってはいないのだ。お互いに惹かれ合うとはいっても、転生には少し時間がかかるのだ。その間にやって貰うことがある。」
「何をすればいいのですか?」
「1つは、お前に神の力を授けることだ。」
「…?」
「今のままでは、お前とロキは2人で1つの力を共有することになってしまう。それでは本末転倒だ。どちらも生き残る為に、お前に神の力を与える。しかし…」
「何かあるんですね?」
「うむ。その力を制御するだけの力がお前にあるかどうかだ。とても危険なものだが、やるか?」
「勿論です。そのためにここに来たようなものですから。」
「解った。そしてもう一つやって貰いたい事があるが、それは無事に試練を乗り越えた後にしよう。」
そう言うと、ゼウスは立ち上がり、少しふらついた。
「ゼウス様!?」
アテナが心配そうにゼウスを支えに行く。実際かなり辛そうだった。
「問題ない。ロキシスにやられた傷が、うずくだけだ。ふふ、何せあんなことは初めてだったからな。」
「一瞬で治るのでは?」
「確かに傷は癒えているが、あれだけの魔法を受けたのだ。五体満足なのが不思議だと思っているよ。」
「申し訳ありません。」
「良い。これも貴重な体験だ。その年でこれだけやったのだ、次に戦えばどうなるやら。」
ゼウスは高笑いしていた。そして、ロキシスに近づいて、
「ロキシス、手を出しなさい。」
そう告げた。ロキシスが手を出すと、ゼウスはその手を握りしめてブツブツと何かを呟いた。すると、ゼウスの手が光だし、その光がロキシスの手に移り、強い光を発した。
「こっ、これは!?」
「ロキシス、意識を集中させよ。力強い、剣をイメージするのだ。」
ロキシスは言われた通りに集中すると、1本の剣が具現化された。
「これは…」
「伝説の剣、レーヴァテインだ。それをお前に与えよう。」
「有難う御座います。」
「その剣を自在に操ってみせよ。その時、お前は神の力を得ている。」
「解りました。レーヴァテイン、宜しくな!」
(あなたに使いこなせるかしら?)
「…喋った!?」
(神の剣は全て話せるのよ、知らなかった?)
「神の剣、初めて見たからな。」
(あら、そう。でもこれから宜しくね、ロキシス。)
「あぁ。」
「どうやらレーヴァテインに認められたようだな。」
「早く使いこなせるように努力します。」
「うむ。その時まで気長に待とう。」
そう言って、ゼウスは玉座に戻って行った。アテナは付き添って残るらしいので、ロキシスは1人で家へと戻って行った。
「全く、末恐ろしい子だ。」
「え?」
「レーヴァテイン、気に入らない相手なら即座に燃やし尽くすという剣だ。それに一瞬で気に入られるとは。」
「あの子は、とても素晴らしいです。」
「元はお前の子でもあるのだろう?」
「はい。でも、それだけではありませんよ。」
「?」
「ロキと一緒にいたい、その思いが彼を強くした、私はそう思いますわ。」
「そうだな。恐らく3年以内に使いこなして来るだろうな。」
「えぇ。もっと早いかも知れませんわ。」
「楽しみだ。さて、暫く私も休もうと思う。」
「解りました。私もゼウス様が寝られたら帰ります。」
「あぁ。」
ゼウスは少し長い休みを取ることにした。アテナはその様子を見て安堵し、寝るのを見届けて自分の屋敷へと帰っていった。
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