最愛の契り、そして別れ
それから1週間ラトリスは目を覚まさなかった。目は覚まさなかったが、時折うなされていた。それをロキはずっと傍で看病をしていた。
「うぅ…くっ!」
「ラトリス…」
目が覚めたようだったが、目は虚ろで見えているのかも解らないほど衰弱していた。
「ロ…ロキ?」
「ここに居るわよ。ラトリス、解る?」
「ロキ…」
魘されながらも何度もロキの名前を繰り返していた。それを看ていて、ロキも辛そうな顔をする。ラトリスの手を握りしめて、
「私はここに居る…心配しないで…」
そのようなやり取りが続いた中、ようやく完全に目が覚めたようで、
「ロキ…俺はもう駄目だ。」
ラトリスはそう告げた。
「何を言うのよ、大丈夫だよ。」
「…イーフリートからいわれていたんだ。あの魔法、アルティメットノヴァは使ってはいけないって…」
苦しそうにラトリスは語る。
「禁じ手中の禁じ手だから、命を削る魔法だって…1人で使うものじゃないって…だけど、ゼウス様には効かなかった…悔しいな…」
「ラトリス…」
「…最愛の人に、巡り会えて…折角のチャンスがあったのに…」
げほっげほっと、咳き込みながらラトリスは続ける。
「でも…迷惑だよな…俺みたいな奴が…ロキの隣にいるなんて…」
「馬鹿言わないで!」
「…!」
ロキはラトリスの唇にキスをして黙らせた。暫くそうして、唇を離すと、
「ラトリス…はっきり言うわ。私もあなたが好きなの。愛しているのよ、1人の男性として…」
「ロキ…」
「なのに、私と添い遂げたいって、勝手に言って…皆に聞かれて恥ずかしかったわよ!」
ロキは再びラトリスにキスをする。
「あなたが受けている痛み、それは禁じられた魔法を使ったから、あなたの体が拒否反応をしているの。だから…」
ロキはラトリスの服を脱がせる。そして、自身も服を脱いだ。
「私の全身全霊をかけてあなたを助けてみせる。私と、契りを…」
「ロキ…」
その日、2人は体を重ね合い、愛し合った。
その翌日、ラトリスは今までの痛みが嘘のように回復していた。ロキはまだ目が覚めていないようだった。
「…なぜ、痛みが消えたんだ?」
ラトリスが不思議に思っていると、ロキが目を覚ました。
「うぅん、ラトリス、気分はどう?」
「痛みが無くなった…」
「そう、良かったわ。でもラトリス、ご免ね…」
そう告げるロキの体が粒子に変わっていく。
「ロ、ロキ!?」
「これしか方法がなかった…あなたに私の力を…与えたから。」
「そんな、ロキ!」
どんどん光の粒子に変わっていくロキが、ラトリスを抱きしめて、
「でも良いの。あなたを救えるなら…」
「馬鹿な!そんな…ロキ!?」
「安心して…私は、私の子供達のところへ転生するだけ。死ぬわけじゃ無いわ。」
「転生…?」
「覚えていて、ラトリス。ロッキーナ大陸、そこに私は行くわ。そこで、あなたを待ってる。」
「必ず迎えに行く。待っていてくれ。」
「新しい神になるあなたに、新しい名前を…そうね。ロキシス何てどうかな?」
「ロキ…シス?」
「そう。ロキが死ぬからロキシス。」
「不吉なことを言うな!」
「…ふふふ、冗談よ。でもロキシス、良い名前でしょう?」
「解った。今日から俺は…」
そして、ロキは消えてしまった。
「俺は今日からロキシスだ。」
そこまでがロキと話をした最後の瞬間だった。と、そこへアテナがやって来た。
「ロキ、ラトリスの様子は…ラトリス!?目が覚めたのですね!?」
「アテナ様…」
ロキシスはアテナに全てを話した。
「そんな…ロキ…」
「アテナ様、俺は…」
「ラトリス…いえ、ロキシス。私と一緒に来なさい、ゼウス様に会うのです!」
「…!解りました。」
そして2人でゼウスのもとへ向かった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




