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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
ギルド対決編
13/138

ただいまクエスト中

書いてて楽しいことしか書いてません。こんな作品でよければ、これからも宜しく!

クエスト2日目の朝、マリアとレイナはパンの焼ける匂いで目を覚ました。

「ふぁあ、おはようございます。」

「おはよう…ムニャムニャ…」

「おはよう。よく眠れたか?もうすぐ朝食の準備が出来るから、川で顔を洗ってくると良い。」

ラトリスにそう促され、二人で顔を洗いに行く。

対岸では鹿のようなエルクと呼ばれる生き物が水を飲んでいた。

「そういえば、夜は静かだったよね?」

「そうね。色々動物もいるはずなのに…」

二人は不思議に感じたので、ラトリスに聞いてみた。

「ん?プロテクトの魔法を使用していたから、害あるものは近づいて来なかったんだ。エルクは何回か来ていたけどな。」

と、あっけらかんと言った。

「プロテクトって、そういう魔法でしたっけ?」

「魔法は、使い方次第で便利なものさ。二人が身に着けている下着にもプロテクトがかかっているから、ある程度の攻撃は弾いてくれるぞ。」

「それって、どれくらいの攻撃なんですか?」

朝食の準備をしながらラトリスは少し考えて、

「極大魔法3発分?」

「「…はい!?」」

「いや、4発分かなぁ?」

「そっ、それってほぼ無敵じゃないですか!?」

ラトリスは少しムッとした。

「そうでもないぞ。下着が耐えられないと判断したら、そこで終わりだからな。過信は禁物だ。一応全身をくまなくガードしてくれているがな。」

ラトリスは朝食のパンとサラダの盛り合わせを二人に差し出した。

「運が良ければ今日の朝にはクエストは終わるが、明日まではここにいるから、周囲に気を付けるんだ。」

「解りました。」

「解ったわ。」


朝食を食べ終えて、ラトリスが言った。

「さて、スチールバイソンを探さないとな。」

「すぐ見つかりますかね?」

「ちょっとしたことで、びっくりして飛び出してくるほど臆病なんだがな。五匹も集団でいてくれるかが問題だ。」

「「?」」

「あいつらは臆病なくせに縄張り意識が高くてな、同じ場所に五匹以上いないんだ。」

「じゃあ、もし三匹とかなら…」

「別の森に探しに行かなくちゃならない。そしてそれは途轍もなく面倒くさい。」

「でもどうやって探すわけ?」

「あいつらの好物を使う。それがこいつだ。」

そう言って、ラトリスはコケモモの実を取り出した。

「あれ?それってラトリスさんの好物なんじゃ…」

「俺の好物だから取っていた訳じゃ無いさ。スチールバイソンは、コケモモの木を倒してでも食べたいと思う種族なんだ。この実をこうして割って…」

ラトリスは実を四つに割った。

「一つずつ持っていてくれ。匂いに釣られてやって来るはずだ。」

ラトリスは割った実をそれぞれに渡した。

「これってそんなに匂いがしないような…」

レイナは試しに嗅いでみたが、無臭だった。

「スチールバイソンの嗅覚は人間の一万倍だ。人が嗅いで匂いはしなくても、あいつらは気づくのさ。」

「でも、これを持って歩き回るんですか?」

「あぁ。」

「出会ったらどうすれば良いんですか?」

「昨日渡した笛を吹いてくれ。スチールバイソンは、聴覚は退化しているから近くで吹いても問題無い。」

「じゃあ、三人で手分けして探すのね?」

「いや、俺は一人で探すが、二人は一緒に行動してくれ。その笛は普通の人には聞こえないんだ。」

「犬笛みたいですね。」

「まぁ、それに近いな。さて、そろそろ行こうか。」

ラトリスは一人、森の中へと消えていった。残された二人は逆の方向へ進んだ。


スチールバイソンを探して約1時間後、マリアとレイナはゴブリンの群れに襲われていた。

「全く、なんでこんなにゴブリンがいるのよ!」

レイナがファイアボールの魔法を使いながら叫んだ。ファイアボールがゴブリンに直撃し、その身を焦がす。

「レイナ、炎系魔法は使っちゃ駄目。森まで燃えちゃうよ。」

すかさずマリアがウォーターの魔法で鎮火する。

「もう、面倒くさいわね。マリア、サイクロンを使うわ。」

風の上級魔法で吹き飛ばそうというのだ。

「それも駄目。森が傷ついちゃう。」

「じゃあどうしろと!?」

ゴブリンが投げてきた石斧を間一髪で避けながら、レイナは叫んだ。

「こういう時は…」

マリアがゴブリン達に突進し、三匹のゴブリン達を剣で一閃した。

「やっぱり肉弾戦でしょう?」

「ったく、しょうがないわね。」

レイナも負けじと剣を振るう。

23体のゴブリンを倒したところで、残りのゴブリン達は逃げていった。

「はぁはぁ、やっと終わった。」

「ふぅ…しんどいなぁ。」

倒したゴブリンから素材を回収し、二人は近くの川で剣に付いた血を落とし、剣を鞘に戻して、一口水を含んだ。

「ラトリスさん、大丈夫かなぁ。」

「さぁ、でもあの人が見つけたとして、私達にどうやって連絡してくるのかしら?」

と、そんなことを話していると、

“おーい、二人とも聞こえるか?“

頭の中で声が響いた。

“森の中でファイアボールを使っただろ?“

「えっ、ラトリスさん!?」

「ど、どこにいるの!?」

“良かった、通じるみたいだな。無属性魔法テレパシーだ。遠く離れた場所にいる人とも話が出来るんだ。ただし、10キロ程度だがな。“

「そうなんですか。さっきまでゴブリンの群れに襲われていたんですよ。」

“そうだったのか。そりゃあ大変だったな。“

「それで、そっちはスチールバイソンを見つけたのかしら?」

ラトリスは一呼吸おいて、

“いや、まだだ。そっちはどうだ?“

「こっちも収穫無しよ。」

「まさか、この森にはいないんじゃ無いですかね?」

“うーん、どうだろうな。こうしている間も探しているんだが、…おっと!“

「どうしたんですか?」

“…いたぞ、スチールバイソンだ。“

「えっ、場所は何処?」

“うーん、何というか…“

「「?」」

二人はラトリスの言葉を待った。

“キャンプから北西2キロの地点だ。一度拠点まで戻ってくれ。戻ったら笛を吹いてくれ。“

「ちょっと、ラトリスさん!?」

いきなり通信が途絶えた。

「どうする?」

レイナの質問にマリアは、

「とりあえず戻りましょう。」

と、答えた。


キャンプまでは10分ほどで戻ることが出来た。そしてマリアがラトリスから渡されていた笛を吹いた。すると、間髪入れずに、

“早かったな“

ラトリスから応答があった。

「それで、これからどうするの?」

“今から信号を出す。1分毎に空に向かってファイアボールを打ち上げるから、それを目指して来てくれ。“

「解りました!」

返事とともに、空にファイアボールが上がるのが見えた。確かにそれほど遠くない位置のようだった。

「レイナ、行きましょう。」

「えぇ。」

二人はファイアボールの上がった方へ向かっていった。


ラトリスが3発目のファイアボールをあげようとしたとき、

「ラトリスさん!」

マリアとレイナが到着した。

「以外と早かったな。」

ラトリスは二人を労った。

「それで、スチールバイソンは?」

レイナの質問にラトリスはコクリと頷き、

「直ぐそこだ。」

と、答えて森を進んでいく。すると目の前に広場が現れたその中心に、スチールバイソンが10匹いた。

「俺達は運が良い。まさか、10匹もいるとはな。」

「あのぅ、ラトリスさん。」

「ん?どうした?」

「昨日言ってたじゃないですか。本当の観察眼を教えてくれるって。」

マリアが聞いた。

「それとスチールバイソンの関係性が全く解らないんですけど…」

「あぁ、簡単に説明するぞ。スチールバイソンは名前の通り、凄く堅いんだ。」

「それは知っているわ。生半可な剣だと弾かれてしまうのよね?」

「その通り。しかも臆病だから一太刀いれただけで逃げてしまう。しかもその速度は恐ろしく速い。」

「じゃあ、どうするんですか?」

「簡単だ。一撃で仕留めればいい。」

ラトリスはさも当然のように言い放った。

「いやいや、無理でしょう?」

「それを可能にするのが観察眼だ。スチールバイソンをよく見てみな?」

ラトリスに促され、二人はジッとスチールバイソンを見た。

「「…」」

「どうだ?」

「全然解りません。」

「うーん、私も。」

「じゃあ近くによって見よう。」

「「えっ?」」

ラトリスはトコトコとスチールバイソンに近づいていった。

「ちょっと、ラトリスさん!?」

「大丈夫。スチールバイソンは大人しいから。こっちが手を出さないなら何もしてこないさ。」

ラトリスは1匹のスチールバイソンに近づき、頭を撫でた。するとスチールバイソンはラトリスに甘えるような仕草をした。

「だ、大丈夫なのかな?」

「行ってみましょう。」

二人も恐る恐る近づく。

至近距離に来てもスチールバイソンは逃げない。それどころか、二人にも甘えるような仕草をした。

「これってどういうこと?」

「忘れたのか?コケモモの実の事を。」

「あっ!」

袋に入れていたコケモモの実を出してみた。すると、スチールバイソンはそれが気になるのか、袋に頬摺りを始めた。

「さて、ここまで近付いたんだ。もう一度、じっくり見てみな。」

二人は再びジッと見てみた。

するとマリアが、

「あれ?この子、首筋が柔らかそう。」

といい、レイナが、

「こっちも。だけどこの子は足の付け根かしら。」

と言った。

それを聞いてラトリスは頷くと、

「観察眼がある程度出来るようになると、生き物の弱点が解るようになるのさ。」

と、答えた。

なるほど確かに二人の目には、個々のスチールバイソンの弱そうなところが見えていた。

試しにマリアが首筋が弱点だと思われる1匹の首筋を剣で一閃してみた。すると、意図も簡単にスチールバイソンは倒れた。今度はレイナが足首を斬ってみると、やはり倒れて動かなくなった。

「その調子で7匹を倒してみな。1匹は残してくれ。」

残りの7匹を楽々と倒して、最後の一匹になった。するとラトリスは、

「最後の一匹を力一杯斬ってみな。」

と言った。試しにマリアが剣を振るうと、スチールバイソンに当たった瞬間剣が折れてしまった。

「これって…」

「しっかり観察眼を使えば、斬れないものも斬ることが出来る。それを教えたかったんだ。」

剣で斬られそうになったスチールバイソンは、猛スピードで逃げていった。

「さて、角を回収しよう。で、肉は今日の晩ご飯にしよう。勿体ないから、アクセスで異空間へ放り込んでおこう。」

そう言って、素材の回収仕始めた。生きていたときは堅かった体がもうそんなに堅くなくなっていて、楽に素材を剥ぎ取る事が出来た。肉も骨もしっかりと回収する。

「さて、キャンプに戻ろう。」

ラトリスの言葉に安堵した二人だった。


キャンプに戻るとラトリスはスチールバイソンの肉を取り出し、手際よく焼いていく。マリアは食用の草を取りに行き、レイナはスープを作り始めた。15分後、見事な焼き肉と山菜のサラダ、コンソメスープが出来上がった。

「「「いただきます!」」」

三人が声を揃えていい、食事の時間になった。

初めてスチールバイソンの肉を食べたマリアとレイナは、

「ちょっと筋っぽいね。」

「えぇ。でも美味しいわ。」

と言った。その光景を見てラトリスは少し笑って、

「自分達で狩ったんだ。達成感や充実感は最高のスパイスになるさ。」

と言った。

そして三人とも食事が終わると、最終日のために早めに睡眠を取るのだった。

書いてて、ステーキとか焼き肉とか食べたくなりました。あぁ、お腹すいた…

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