特訓開始
再び目を覚ましたときにはロキは既にいなかった。
「…夢だったのかな?」
そう思ってゆっくりと起き上がる。扉がトントンと叩かれて、
「ラトリス、起きてる?」
「はい、起きてます。」
「良かった、朝食の準備が出来てるから、いらっしゃい。」
「解りました。」
扉を開けて外へ出ると、良い匂いがしてきた。
「そこに座って。」
忙しなくロキは朝食を運んでいた。
「僕も手伝います。」
「じゃあこれをお願いね。」
料理の乗ったお皿を二枚、両手に載せて運び、席に着く。パンにミルク、ポテトサラダがテーブルに並んだ。と、そこへロキがドラゴンのステーキを持ってやって来て座った。
「じゃあいただきましょう。」
「ロキ?朝からステーキはちょっと…」
「大丈夫よ。あっさりして食べやすいから。」
「胃が受け付けないよ。」
「食べてみたら解るわよ。ほら、あーん!」
一口大に切ったステーキを、フォークで刺してラトリスへ差し出す。仕方なく、それを咀嚼すると、確かにあっさりしていて、いくらでも食べられそうだった。
「美味しい?」
「はい。美味しいです。」
「滋養強壮にも効果あるし、食べるだけで強くなれるわよ。」
「そうだ。ロキ、聞きたいことがあるんだ。」
「何?」
「どうして、僕を眷属にしたの?」
「ん~…」
食べながらロキはラトリスを見た。そして、
「可愛かったから!」
「…えっ?」
「こんな可愛い子を死なせたくないって思ったから。それが1番の理由かな。」
「たったそれだけの理由なの?」
「後は、目かな。目が死んでる人間を何人も見てきたけど、あなたの目は死んでいなかったから。助けたいって思ったの。」
「そうだったんだ…」
「ラトリス、強くなりたい?」
「…はい。」
「どれぐらい?」
「強くなれる限界まで。」
「その力でどうするつもり?」
「…解りません。」
「…解らない?」
「はい。復讐なんてどうでも良いんです。ただ、強くなりたいかと言われたら、僕は強くなりたいです。誰よりも。」
「ふふふ、あはははは!」
「ロキ?」
ロキはしばらくの間、笑っていたが、
「良いわね、そういうの。」
「?」
「良いわ、私があなたを強くしてあげる。ただし、しっかりとついてくること、良いわね?」
「はい!」
「じゃあしっかりと御飯を食べなきゃ。強くなれないわよ。」
「改めて、いただきます!」
しっかりと朝食を取った2人だった。
朝食の後、ロキとラトリスは庭に出た。
「それで、何をすれば良いの?」
「そうね、とりあえず…」
ロキはラトリスの体に触れて、
「重力と限界に挑戦して貰いましょうか?」
そう言って、無属性魔法グラビティとリミットをかけた。直ぐに重さと倦怠感がラトリスを襲った。
「ぐっ…!」
何とか倒れ込むことは無かったが、余りの重力に押し潰されそうになる。
「ロキ…これ…って…!?」
「あらあら?リミットをかけて、重力20倍にしてみたのに辛うじて動けるの?大したものね。」
「20倍…の重力…?」
「そう。その状態で毎日過ごしなさい。慣れてきたら重力を増やしていくから。」
「ぐっ…」
歩くこともままならなかったが、強くなるため、耐えることにした。1番苦労したのは寝るとき。迂闊に自然と寝入ると、重力が内臓を押さえつけ、吐き気が止まらなくなった。それでもラトリスは強くなれると思い、耐え続けた。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




