アテナ
食事が終わって、後片付けも終えると、ロキはラトリスを再び抱きしめた。
「ロキ?」
「本当は手を繋ぐだけでも良いんだけど、それだと酔う可能性があるからね。」
そう言って、
「ゲート!」
と、手をかざして叫んだ。空間に穴が開き、異空間が現れる。
「行くわよ。」
そう言って穴の中に入っていくと、見知らぬ建物の中にいた。
「これって…」
「無属性魔法ゲートよ。あなたも直ぐに使えるようになるわよ。」
「…僕が、ですか?」
「さあ、アテナ様達のところへ行きましょう。」
そう言ってラトリスから離れると歩き出した。後ろからラトリスが付いていくと、大きな門が現れた。
「おっと、入る前に…」
「?」
ラトリスが不思議がっていると、ロキはラトリスの額に手を当てて、
「クリーン!」
と、魔法を唱えた。次の瞬間、まばゆい光に包まれ、体や衣服に付いた汚れが落ちていった。
「うん、やっぱり綺麗にしとかなきゃね。」
「あ、有難う。」
そうして、2人で扉を開けて中へ入っていく。中はとても大きな部屋だったが、机と椅子が1つずつあるだけだった。その椅子に、1人の女性が座っていた。
「お久しぶりです、アテナ様。」
と、ロキが挨拶をする。
「久しぶりね、ロキ。そちらの子供は?」
アテナと呼ばれた女性が返事をする。
「アテナ様のアテーネ大陸に赴いたところ、死にそうになっていた彼を見つけまして、私の眷属にしようと思い連れて来ました。」
「…まさか、ジン?」
「僕を知っているの?」
「勿論。私が創ったカリバーンのせいで王国を追われた子でしょう?」
「…そうです。」
「ご免なさい。あなたに罪は無いのに…」
「そんなことがあったんですか。」
「それでロキ、あなたの眷属にするって話だけど?」
「はい。もう連れてきましたから、眷属にするのは確定です。」
「そうね。あの国に戻しても死ぬことになるだけだから。私の子供を眷属にすることは出来ないから、いいわ。あなたの好きになさい。」
「…子供?」
「あなたたちの創造主はアテナ様だからね。あの大陸の全てはアテナ様の子供なのよ。」
「…じゃあロキにもいるの?子供達が?」
「血は繋がらないけど、大陸は創ったわね。そのうち連れて行ってあげるわ。」
「…うん。」
「じゃあジン。」
「済みません、アテナ様。今はラトリスという名前なんです。」
「そう。ラトリス、あなたのこれからの幸せを祈るわ。」
「有難う御座います。」
「さて、挨拶も終わったし。アテナ様、帰りますね。」
「えぇ。気をつけてね。」
再びゲートを使い、空間に穴を開ける。今度は抱きしめることなく穴に入っていくロキに、ラトリスは続いて入った。直ぐにロキが言っていた酔いがラトリスを襲ったが、気にすることなく通り抜けられた。再び家に戻り、
「今日は疲れたでしょう?早いけどもう寝ましょう。」
「はい。」
そう返事して、ラトリスはキョロキョロし始めた。
「どうしたの?」
「僕は何処で寝れば良いのかなと。」
「あっ!部屋を言ってなかったわね。こっちよ!」
そう言って、1階の手前の部屋に案内された。
「私は隣の部屋にいるから。何かあったら呼んでね。おやすみなさい。」
そう言って、ロキは扉を閉めた。部屋の中には大きなベッドが1つ、机が1つ、椅子が2つあった。クローゼットのような物は無く、広い空間がそこにはあった。
「なんか色々あったけど、疲れた…な…」
直ぐにベッドに横になると、疲れのためか直ぐに寝入ってしまった。
翌朝、柔らかな感触でラトリスが目を覚ますと、隣にロキが寝ていた。
「…」
起こすのは不味いと思ったのと、良い匂いがして、再び寝付いたのはほぼ同時だった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




