ロキ
穴を抜けるとそこには草原が広がっていた。
「ここは?」
「私が住んでる天界よ。後ろを見てご覧なさい。」
ラトリスが後ろを振り返ると、大きな家があった。
「私達の家よ。」
ロキはそうラトリスに告げ、扉を開けて中へ入る。ラトリスはついていって、玄関で、
「お邪魔します。」
と言った。するとロキは拗ねた顔をした。
「違うでしょう?」
「…え?」
「ここはあなたの家でもあるの。他人行儀は駄目よ。」
「じゃあ…ただいま。」
「うん!」
パアッと明るい笑顔をロキは見せた。と、再びラトリスのお腹がグ~と鳴った。
「あらら?お腹が空いているのね。ちょっと待ってて。」
そう言うと、ロキは厨房へと向かった。ラトリスも付いていくと、立派な厨房だった。
「直ぐに何か作るから、リビングに行って待ってて。」
そう告げるロキ。だが、リビングが何処か解らないラトリスは、ジッとロキの行動を見ていた。10分程経つと、良い匂いが厨房に漂い始め、
「はい、これで出来上がり!」
料理が出来たらしく、ロキがそれを持ってラトリスに近付く。
「はい、あなたの分よ。リビングに行きましょう。」
料理を渡されて、そのまま2人でリビングに向かい、椅子に座る。テーブルに料理を置いて、
「いただきます!」
「い、いただきます…」
2人で食べ始める。ラトリスは初めて見る料理を不思議がったが、ナイフとフォークで食べ始めた。
「…美味しい。」
一口食べてラトリスはロキに言った。ロキは嬉しそうに、
「ふふふ、やっぱりドラゴンの肉は良いわね。ただ焼くだけでこんなに美味しいんだもの。」
と、告げた。
「ドラゴンの…肉?」
「そうよ、今回のはストーンドラゴンのお肉よ。美味しいでしょ?」
「…初めて食べました。」
「まあ、普通の人は余り口にしないでしょうね。私達は違うけど。」
「ロキさん…」
「ロキって、呼び捨てにして。」
「じゃあロキ…あなたは一体…?」
「あぁ、言ってなかったっけ?」
ロキは食べるのを中断して、
「ラトリス、あなたは神を信じてる?」
「…昔から、アテナ様はいるとは信じていますよ?」
「そっか…やっぱり人間だものね。信じる神は創造主かぁ。」
「どういうことですか?」
「私も神の1人よ。」
「え…」
「だから、ここは天界で、神の住む場所。そして、私も神の1人って事。」
ロキは淡々とラトリスに話す。
「でも天界は暇でね。たまに下界に降りるんだけど、私の管轄以外の大陸に遊びに行っていたの。そしたら、あなたを見つけたの。」
「そうだったんですか…」
「あれ?驚かないの?」
「僕が助かったのは、ある意味気まぐれなんですよね?」
「まあ、あなたの運が良かったってのが1番かな?」
「…それで、僕はどうなるんですか?」
「?」
「天界は聞いたことがあります。神のみが住める場所だって。そこに僕は住めないでしょう?」
「大丈夫よ。」
一口ドラゴンの肉を口に含んでロキが言う。
「私の眷属にあなたはなっているから。」
「え?」
「眷属…まあ、家族みたいなものね。なっているからには、あなたもここに住むことが出来るわ。」
「でも…僕は…」
「じゃあこの後行ってみましょうか。」
「…何処へ?」
「あなたが崇拝していたアテナ様の所へ。」
「行けるんですか?」
「大丈夫よ。私に任せておきなさい!」
胸を張って自信満々に言うロキを見て、大丈夫なのかと不安になるラトリスだった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




