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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
ロキシス誕生編
114/138

ジン

ロキシスは東に向けてひたすらに飛ぶ。ロキシスは雲の上を飛んで、天候の影響を受けないようにしていた。すると、

(ロキシス、質問があります。)

(どうした、カグラ?)

ふとカグラが話しかけてきた。

(差し支えが無ければ、どうして名前を変えたのか教えて欲しいのです。)

(ラトリスは人として生きるために、大切な人が俺につけてくれた名前だ。)

(では今のロキシスとは?)

(…話せば長くなるけどな。)

そう言って、ロキシスは話し始めた。


今から十六年前の事、

「おら、とっとと歩け!」

ロキシスことジン・バーンシュタインはカリバーンに認められなかったため、森へ追放されることになってしまっていた。手を後ろで縛られ、1人の男に無理矢理森の奥地へと連れてこられていた。

「…」

「けっ、何だってこの俺が、こんなガキを連れてこんな所へ来なくちゃいけねぇんだ。まあ、報酬は良かったが…」

森の奥に到着すると、男はジンの後ろから蹴りをいれた。受け身も取れず倒れ込んだジンを見て、男は笑った。

「依頼されたのはここまでだ。後は、お前の耳を切って持って帰りゃ、残りの報酬は俺のもんだ。」

そう言って、ジンの耳を切り裂いた。

「うぅ…」

「恨むんなら、自分の人生を恨めや。」

そう言って、元来た道を帰って行ってしまった。

(恨む…か。したことも無かったし、考えたこともなかったな…)

そんなことを1人で考えていた。

(レンは大丈夫かな…)

(母様…)

(父様…)

過ぎるのは家族で過ごした日々の記憶。楽しかったあの日に戻りたい、そんな風に考えていた。

(でも、もう戻れないんだな…)

(カリバーンに選ばれなかった…それだけで…)

(僕は…何のために生きていたんだろうな…)

そんなことを考えているとグ~とお腹が鳴った。

(お腹…空いたな…)

(喉が乾いたな…)

考えているが行動には移せない。後ろ手で縛られ、切られた耳が痛くてしょうがなかった。

(あぁ…死ぬって…こんな感じなんだな…)

考えが堂々巡りしていると、野犬がやって来た。いや、ただの野犬では無い。昔調べた事がある。サーベルウルフだ。一頭で国を滅ぼすと言われていたその生き物は、ジンに鼻をこすりつけ、食べられるか調べていた。

(サーベルウルフに食べられて死ぬ…それも仕方ないか…)

と、

「生きたいかい?」

物言わぬはずのサーベルウルフがジンに話しかけてきた。

「…話せるの?」

「あぁ、この姿じゃそう聞くしか無いか?」

不意に、サーベルウルフが光り輝き、1人の女性に姿を変えた。赤い髪がよく似合い、少し露出の多い服を着ていた。

「ふぅ、やっぱりこの姿が1番落ち着くわ。」

「…あなたは?」

「ふふふ、さっきの質問に答えて。あなたは生きたい?それとも死にたい?」

「…僕は。」

ジンは考えた。死ぬことは簡単だ。でも、こんな所で死んで、何があるのだ?自分はどうしたいのか?と。そうしていると、女性はジンの目をジッと見て、

「あなたの目は死んでいない。生きたいって思っているわ。」

「え…」

「決めた!私と一緒に来なさい。」

「でも…」

「もう決めたの!」

そう言うと、ジンの手を縛っていた縄を切断して、楽にしてくれた。

「あなたを今から天界へと連れて行くわ。」

「…天界?」

「そこで私と暮らすのよ。異議は認めません。」

「僕は…」

「…嫌なの?」

女性は悲しそうな顔をした。ジンは、

「…いきます。どんなところか解りませんけど…」

と、答えた。

「良かった!」

心底嬉しいのか、女性はジンに抱きついた。

「あら?耳が無いわね。」

「切られました。」

「大丈夫、こうすれば…」

女性はジンの無くなった耳にキスをした。すると、ジンの耳が綺麗に再生された。

「これでよし!」

「え…痛くない…耳がある…どうやって?」

「難しいこと考えないの!それで、あなたの名前は?」

「ジンです。」

「可愛くないわね。ん~、ラトリス、ラトリスはどうかな!」

「…ラトリス?」

「そう!可愛いでしょ!」

「僕、男なんですけど…」

「良いの!私が決めたんだから!人であるうちは、あなたはラトリスよ!」

「…」

何を言っても無駄だと判断し、その名を受け入れることにした。

「解りました、僕は今日からラトリスです。」

そう言うと、ラトリスの体が光に包まれた。

「これって…」

「神の眷属になった証よ、ラトリス。」

そう言って、女性はラトリスを優しく抱きしめて、

「私はロキ。宜しくね、ラトリス。」

そう言うと、右手をかざして空間に穴を開けた。

「さぁ、ラトリスとしての人生の始まりよ!」

そう言って、2人で穴に飛び込んだ。

読んでくださっている方々、有難う御座います。

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