遠き新大陸へ
ライド王国東の果て、ラグナートにやって来ていた。
(ロキシス、これからどうするのですか?)
(腹ごしらえをしたら、この海の向こう側へと向かう。)
(海の向こう側には何があるのですか?)
(最愛の人がいる大陸があるはずなんだ。)
(ロキシスの最愛の人…会ってみたいですね。)
(…少し驚くかもしれないな。)
そんなことを話しながら、ラトリスは食事の準備に取りかかる。ドラゴンの肉を取り出し、焚き火をして焼き始めた。と、そこへ老人が1人やって来た。
「失礼。何をなさっているのかな?」
「やぁ、じいさん。今から海を越えるんで、腹ごしらえをな。」
「海を越える…?」
「あぁ。別の大陸がある。そこへ向かうんだ。」
「止めときなされ。」
老人がロキシスを止めた。
「新大陸を目指して、数多くの人が挑戦したが、誰も帰ってこなかった。新大陸なんぞありゃせん。」
「…じいさん、それは違うと思うぞ。」
ロキシスは老人に言った。
「帰って来れなかったのは、新大陸で生きることを選んだか、志半ばで力尽きたからだ。新大陸は存在するさ。」
ドラゴンの肉を食べながら、ロキシスは告げる。
「ほっほっほっ、ならばもう止めはすまい。息災でな。」
老人がロキシスから離れようとする。
「じいさん、ちょっと待て。」
「何じゃ?」
「折角だ。ドラゴンの肉を御馳走するよ。」
「ドラゴンじゃと!?お主、一体…」
老人が戻ってきてロキシスの近くに座り、ドラゴンの肉を食べる。柔らかく、それでいて脂っこくない味が、老人を納得させる。
「これは…食べたことの無い素晴らしい肉じゃな。」
「そうだろう?病み付きになる味だろ?」
すぐさま食べ終わってしまい、ロキシスはせっせと片付けを始める。
「お主、何者じゃ?」
「俺は、ラトリスと呼ばれていた。今は違うけどな。」
火を消して、後かたづけを終わらせると、
「そろそろ行く。じいさん、元気でな!」
そう告げると、ロキシスはフライの魔法で空高く飛んでいった。
「ラトリス…確かフィリア王国にいた最強の英傑の名前。そうか…彼が。彼ならこの海、乗り越えられるかもしれんな。」
そう呟き、ロキシスの飛んでいった方向をずっと見ていた。
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