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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
ギルド対決編
11/138

ギルド活動、始めます

特訓終了して、ギルドとして活動し始めます。

特訓終了記念のささやかなパーティーの翌日、三人はギルド協会フィリン支部にきていた。

「そういえば、クエストって、どうやって受けるんですか?」

「クエストは基本二つの種類がある。一つはフリークエスト、ギルド協会の建物の中に所狭しと張っている奴らがそうだな。」

「この紙って、そういうことだったの?」

「あぁ。で、もう一つが、直接そのギルドに依頼する依頼クエストって呼ばれているものだ。依頼クエストの方が重要性が高いものが多いな。」

「へぇ…。でも基本は二つってことは、まだあるって事なのかしら?」

「ほぅ、気になるか?」

「そりゃねぇ?いきなりこれもクエストだって言われて、ついて行ける気がしないわよ。」

「いや、まさしくそれなんだが?」

「「はい?」」

「緊急クエストって言ってな、突然ギルド協会から発令されるものがある。あとは特別クエスト。これもギルド協会から直接依頼される。大討伐クエストは、異様に増えたモンスタを討伐するものだな。」

「色々種類があるんですね。」

「今日受けるのは、フリークエストだ。失敗してもいつまでかかってもいいクエストを受ける。」

「何でそんなのを?」

「溜まりすぎたクエストを受けていく内に評判があがる。すると、今度はそれを知った人達が依頼クエストを直接持ってくる。そういうものなんだ。Gクラスギルドに依頼してくる、物好きはまずいないからな。」

「なるほど…頑張らなきゃね、マリア!」

「えぇ、レイナ。」

三人は受付へと足を進めた。

「すまない、ミクさんを呼んで欲しい。」

「解りました。」

受付嬢は奥へ行き、代わりにミクが出て来た。

「ラトリスさん!?まだ三ヶ月経っていませんよ!?どうしたんですか?」

「よう、ミクさん、予定以上に特訓が進んでな。昨日で特訓は終わったんだ。後は実地て訓練しようと思って、クエストを受けに来たんだ。」

「そうだったんですね。生憎と依頼クエストは一件も来ていません。」

「勿論、解っている。今日はフリークエストを受けに来たんだ。」

「そうですか…。ラトリスさん程の人がフリークエストを。すみません。」

「何言ってるんだ?Gクラスギルドに依頼が無いのは当然の話だし、依頼があっても三ヶ月は受けないって言ったのは俺達の方だ。ミクさんが気に病む必要は無いさ。」

「そうですよ、ミクさん。私達、まだ駆け出しで何をしたら良いのかも解っていないんですよ。」

「これから色々覚えていくんですから、教えて欲しいくらいだわ。」

「そうですよね。解りました!じゃあ、オススメのクエストを持ってきますね!」

そう言って、奥へ行ってしまった。

「暫くかかりそうだし、お茶でも飲んで待っていようか?」

「私はどんな依頼があるのか、見てみます。」

「私も。フリークエストがどんなものなのか気になるわ。」

二人で壁に貼ってあるフリークエストを読みに行った。

「まぁ、良いことだな。」

ラトリスは一人、紅茶を注文しに行った。


30分後、二人がラトリスの元に戻ってくる。

「本当に色々あるんですね。びっくりしました。」

「採取クエストが多かったわね。」

「病気になったときの治療用の薬草は、数を集めると大変だからな。」

ミクが置くから戻ってきた。

「お待たせしました。オススメのクエストは此方になります。」

ミクは三人の前に、3枚のクエストの書かれた紙を置いた。その内容は…

「ゴブリン二十体の討伐に、スチールバイソン五体の討伐に、、薬草三百束の納品…ですか?」

「はい。Gクラスギルドにオススメ出来るクエストの中では結構難易度が高いんですよ。」

「薬草なんか、桁が違うような気がするわね。」

「教会から納品はいつでも良いから欲しいって言われてて、誰もやろうとしなくて、未だに残っていたんです。かなりキツいですから…」

「よし、その三つ、同時に受けよう。」

「「「…はい!?」」」

ラトリスが受けると言い、三人は素っ頓狂な声を挙げた。

「ほっ、本気ですか、ラトリスさん!?」

「どうした、ミクさん?」

「この三つ、場所は近いですけど、対象はバラバラなんですよ!?一つ一つこなした方が…」

「いや、荷物はアクセスの魔法で大丈夫だし、期限も無いからそのまま籠もっても大丈夫だろう?その分、準備はしていくけどな。二人はどうだ?」

「ラトリスさんがそう言うなら…」

「一つ一つこなした方が良いかもしれないけど、同時にこなせるならその方が良いわね。」

ラトリスはコクンと頷くと、

「決まりだな。ミクさん、この三つのクエストを受注するよ。」

「解りました。無理はしないで下さいね。受注料金は三つで三百ガルドです。」

「…えっ、お金がかかるんですか?」

「はぁ…クエストの難易度によって、保険金みたいなものがかかるんだ。大怪我したとき、命を落としたとき、本人や遺族にお金が支払われる制度だ。」

「そんな制度があるなんて知らなかったわ。」

「まぁ、クエストの受注に金がいる程度で良いと思うぜ?払わなくてもクエストは受けられるがな。今回は俺が払うから、気にしなくていい。」

「何から何までラトリスさんに任せすぎてるような気がします…」

「最初はそんなもんさ、気にするな。」

「必ず借りは返さなくちゃね。」

「それも込みで期待しているぜ。」

ラトリスは笑った。


三人は準備を終えて、フィリンから少し離れた森の中の水辺へとやってきた。すると、ラトリスは異空間からキャンプ用品を取り出し、広げはじめた。

「ラトリスさん、一体何を?」

マリアが不思議に思い、聞いた。

「今日から三日間、ここで野宿するからその準備だ。」

「なるほど、拠点という訳ね。」

レイナが納得して答えた。

「でも、三日で三つの依頼をこなすなんて、出来るんですか?」

「今のところ、ゴブリンは繁殖期が終わって、数が増えているから大丈夫だろう。スチールバイソンも同じく。薬草はそこら辺に生えてるから問題ない。」

「でも、私達どれが薬草なのか解りませんよ。ねぇ、レイナ。」

「そうなのよね…」

「観察眼って、知っているか?」

ラトリスが突然質問した。

「何でも見抜けるようになるっていう、特殊なスキルの事ですか?」

マリアが聞き返した。

「そうだ。あれの簡易版を、この三日間で覚えて貰う。」

「はぁ?三日じゃ無理でしょ?」

「だから簡易版だって言っているんだ。薬草か毒草か、その見分け位なら三日と言わず半日で出来るようになるさ。やる気があればな。」

「そうなんですか?」

「試しに、そこら辺の草を集めて、1時間位したら戻ってきてくれ。俺はその間にキャンプを完成させておくから。」

「解りました。」

「解ったわ。」

二人はそれぞれ草を集めに向かおうとした。

「ちょっと待った。」

「なんですか?」

「ここからは丸腰でいない方がいいぞ。剣くらいは持っておけ。」

「そっか、ゴブリンとかにも出会う可能性があるのよね?」

「繁殖期が終わったとはいえ、あいつらに女が捕まると…後は解るだろう?」

「うわぁ、ゾッとします。」

「それはいやね。」

二人はアクセスを唱え、異空間から剣を取り出し、腰にさげた。

「数で押してくる可能性もあるからな。無理だと判断したら、これを吹きな。」

そう言って、ラトリスは笛をそれぞれに渡した。

「十キロ位なら、その音は通じるから。いざという時に使え。」

そうして準備の出来た二人は森の奥へと進んでいった。

ラトリスは一人残り、キャンプの準備を続けた。

1時間後、二人が戻るとキャンプはすっかり出来ていた。

「お帰り。収穫はあったか?」

「適当に草を集めてきました。あと、食べれそうな果物と…」

「川上にゴブリンが三十匹いたから倒したわ。それで角と爪を集めてきたわ。」

「なんだ、クエストの一つは終わりか。」

「そっちもすっかりキャンプは出来たのね?」

「まあな。後は食材集めだけなんだが、出来ればスチールバイソンも出て来てくれれば儲けものだったんだがな。まぁいい。二人ともお疲れ様。」

ラトリスは二人を労った。

「それよりラトリスさん、本当に適当に草を集めてきただけなんですけど…」

「あぁ、出してみてくれ。」

二人はアクセスを唱えて集めてきた草を出した。その量は半端じゃなかった。

「よくまあこんなに集めたもんだな。」

「出来るだけ集めて来いって、ラトリスさんが言ったんじゃない?」

「そうだったな。んじゃ、始めるか。」

ラトリスは異空間から縄の束を取り出し、草の山をジッと見て、

「薬草…毒草…薬草…食用…薬草…毒草…」

と、ブツブツ言いながら仕分け始めた。

「あの…ラトリスさん?」

マリアが不思議そうに訪ねた。

「あっ、悪い悪い。観察眼を教えるんだったな。」

二人はコクコクと頷いた。

「こっちが薬草で、こっちが毒草。それからこっちは薬草じゃないけど食べられる草だ。よく見てみな。」

二人はジッと草を見てみた。

「何か違うところはないか?」

「うーん、毒草は妙に刺刺しい感じがします。レイナは何か感じる?」

「いえ、マリアと同じ感想位しか言えないわ。」

「それくらい解ればいい。後は少し囓ってみな。大丈夫、少量ならそこまで毒は強くないから。」

二人は恐る恐る毒草と言われた草を囓ってみた。すると、物凄い苦味と痺れが襲ってきた。

「で、こっちの薬草を囓ってみな。」

今度は薬草を囓ってみた。苦味の中に少し甘みがあり、痺れが収まった。

「で、どうだ?味は勿論、その効果は?」

「別に普通…かな?」

「一体これがなんだっていうの?って、えぇ…」

二人は再び草の山を見た。すると、感覚で薬草かどうか解るようになっていた。

「…どういう事?」

「普段、全然何も考えないで食ったり飲んだりしていただろう?でもしっかりと見抜こうとして服用すると体がこれは良いもの、悪いものの判別をしてくれるようになるんだ。そして、それは一番最初に感じる目や鼻がよく感じるんだ。それを総称して観察眼と呼んでいるんだ。」

「へぇ…」

「こっ、これが観察眼…」

「さて、この山を片付けようか。」

三人でやると、草の山はわずか30分で片付いた。山から取れた薬草は、三百二十五束分だった。

「あっという間に二つもクエストが終わったな。」

「そうですね…」

「何か実感が湧かないけど…」

「いや、そうでもないぞ。」

ラトリスが言った。

「二ヶ月ちょっと過酷な特訓してきたんだ。その間に二人の中に余裕というものが生まれて来たんだ。この調子なら、簡易版の今の観察眼じゃなくて、本当の観察眼も習得出来そうだな。」

「因みに、本当の観察眼って、どんなのですか?」

「ん?まあ、スチールバイソンに出会ったら教えてやるよ。」

「「…はぁ。」」

急に不安になる二人だった。

タイトル通り、弱小ギルドとして成長はあまりさせるつもりはありません。

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