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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
七聖武器編
103/138

VS ケーリュケイオン

次の日の朝、ラトリスは訓練所で目を覚ました。覚ましたというか、起こされた方が正しい。やたらとデュランダル達が喚いていたせいだった。

「兎に角、最近の武器の使い手は碌な奴がいない。」

「それには同意する。」

「前の持ち主なぞ、私の使い方を全く知らなかった。」

「今回のラトリス殿なら、我々を有意義に使ってくれそうだ。」

「うむ。」

そこまで聞いて、ラトリスは起き上がる。

「ラトリス殿、目覚めはいかがか?」

「五月蠅くて寝れるか!」

ラトリスは怒鳴りつけて、デュランダル、ミョルニル、リサナウト、ゲイボルグを異空間に放り込んだ。

「ったく、安眠も出来やしない。」

そこへマリア達がやって来た。

「おはようございます、ラトリスさん。」

「あぁ、おはよう。」

「なんか疲れてない?」

「阿呆共が五月蠅くてな。」

「もしかして、デュランダル達ですか?」

「あぁ。」

「それで、話は出来たの?」

「どうやら七聖武器を全部集めても、何か起こることはなさそうだ。」

「えっ、でも1つになるんじゃ?」

「なったことが無い、なっていた記憶も無いらしい。無駄な時間を過ごした気分だ。」

「そうですか。」

「まあ、あと三本だし、手に入れて見せるけどな。」

そう言って、重たい腰をあげて、ラトリスは歩き出した。


昼頃になって、ようやくラトリス達がコロセウムに足を踏み入れた。

「じゃあここで。」

「観客席で見てるわ。」

「気をつけて下さい。」

「お兄ちゃん、頑張って!」

「あぁ。」

そしてラトリス1人で舞台へと上がる。

「ようやくきたか。待ちかねたぞ。」

既にリーンと、対戦者が舞台で待っていた。

「それでは、本日の第1試合を始める!対戦相手は聖杖ケーリュケイオンの所持者、我がミドレン王国のアイコスだ!」

観客から声援が飛び交う。

「父上、勝負なのですが。」

「どうした、我が息子よ。」

「魔法のみでの勝負がしたいのです。」

「ほう、それは面白い!ラトリス殿、どうかな?」

そう言って、ニヤニヤと下品な笑顔を浮かべる2人。それを見てラトリスは、

「1つ聞きたい。どんな魔法でもありなのか?」

「ええ、魔法なら構いませんよ。私は魔術師ですし、武器の戦いは出来ないのでね。」

「…聖杖ケーリュケイオン、その特性は魔力の増幅だろう?」

「なっ!?」

そこまで言われて、驚いた顔になるアイコス。

「別に良いぜ。何を使おうが、不利だろうが構わない。」

そこまで聞いて、リーンとアイコスはほっとした顔をした。そしてラトリスとアイコスは、一定の距離をあけて立った。

「それでは、始め!」

リーンのかけ声で戦闘が始まる。が、両者動かない。いや、厳密に言うと、アイコスは魔法の詠唱をしていた。

「吹き荒れろ、ウィンドスラスト!」

ラトリスにめがけて風の初級魔法を放つアイコス。バキバキと音をたててやってくるその魔法を、ラトリスは1歩も動かずに受けた。

「直撃だ!」

「流石に初級魔法だが、跡形も残らないんじゃないか?」

観客からそんな声が聞こえてくる。竜巻のように吹き荒れていたウィンドスラストが収まると、そこにはラトリスの姿は無かった。

「ラトリスさん…!?」

「まさか…」

マリア達が心配な表情を浮かべていた。が、

「ファイアボール!」

突然声が聞こえて、アイコスの後ろから炎の弾丸が飛んできた。為す術なく直撃を受け、アイコスが倒れ込んだ。

「なんだ!?」

「何が起こったんだ!?」

観客は訳がわからないと声をあげるばかりだった。

「いっ、一体どうやって!?」

「どんな魔法でも使っていいって言うからな。2つの魔法を使った。」

「2つだと!?」

「ファイアボール、インビジブルの2つだ。」

「ぐぅ…」

アイコスが立ち上がる。そしてラトリスを睨みつけて、

「インビジブルで後ろに回り込み、ファイアボールを放つ…決して不可能じゃないが、詠唱をいつおこなったんだ?」

「俺は詠唱なんかしない。俺が教えた仲間もな。」

「…無詠唱で魔法を使うか…私には無理だ。」

「なら諦めろ。」

「だが、このケーリュケイオンを使えば!」

そう言うと、ケーリュケイオンを振るう。すると雷の上級魔法ライトニングジャベリンが発動し、ラトリスに直撃をした。バチバチと音をたてていたが、次第に収まっていき、ラトリスは黒焦げになり倒れた。

「フッ、これがこのケーリュケイオンの力だ!」

力強く自身の勝利を確信し、ラトリスに近付くアイコス。が、

「スパーク!」

後ろから雷の中級魔法の直撃を受けた。

「ぐはっ!」

アイコスが振り返って最後に見たのは、五体満足で右手をこちらに向けているラトリスの姿だった。

「馬鹿な、アイコスの…ケーリュケイオンの一撃は確かに…」

「よく見てみな。」

そう言われて、リーンが黒焦げになっているラトリスの元へ行ってみると、布きれが一枚転がっていた。

「こっ、これは!?」

「サクリファイス。身代わりの魔法だ。」

「そっ、そんな高等魔法まで使いこなすというのか!?」

「まあ、コツさえ掴めば魔法なんて簡単なもんさ。で、俺の勝ちで良いのか?」

リーンは焦りを見せながら、

「アイコス、立つんだ!負ける事は許さんぞ!」

そう言って、アイコスを蹴りつけた。

「息子に対して愛情もなにも無いんだな。」

「五月蠅い!こうなったら、私が相手だ!」

そう言うと、ケーリュケイオンに手を伸ばし握るが、ケーリュケイオンが凄まじい電撃を放った。

「ぐがっ!」

一瞬でリーンは倒れてしまった。

「我が新しい主に対して不敬ですよ。」

「ケーリュケイオン、一緒に来るか?」

「勿論です。」

ラトリスがケーリュケイオンを掴み、軽く振るう。すると、黒焦げになっていたリーンとアイコスの傷が癒された。

「根性も直せれば良いんだがな。」

「それは無理ですね。」

こうして5つ目の七聖武器もラトリスのものになった。

読んでくださっている方々、有難う御座います。

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