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弱小ギルドの最強英傑(ラトリス)  作者: ミュウ
七聖武器編
101/138

VS ゲイボルグ

試合が終わって10分後に再び、

「では第3試合を始める。アーカス王国出身、聖槍ゲイボルグ所持者、マーリン殿だ!」

そうリーンが宣言した。すると観客の一部から、

「キャー、マーリン様~!」

と、歓声が上がった。その声援を受けながら、マーリンが姿を現す。

「ようやく出番ね。腕が鳴るわ。」

そして、ラトリスの目の前までやってくると、

「本当、女の子みたいな顔付きね。」

「ほっとけ。」

「ふふっ、一応褒めたのだけど?」

「男に対して女面は褒め言葉では無いぞ。」

「あなたが女の子だったら、私のコレクションの1人になって貰うところだけど、勝負は勝負。真剣にやらせて貰うわ。」

「望むところだ。」

そう言って、2人は一定の距離をとった。

「準備は良いな?それでは、始め!」

第3試合が始まった。マーリンはゲイボルグを抜き、一定の間合いから攻めて来なかった。対してラトリスは、カグラを構えもせずに、棒立ち同然の状態だった。

「どうしたの?構えを捕りなさい。」

「そっちこそ、普段の構えじゃ無いんじゃないか?本気で来いよ。」

ラトリスがそう言うと、マーリンはニヤリとした。

「ふふふ、よくわかるわね。私の本気、見せてあげるわ!」

マーリンは右構えから左構えにゲイボルグを持ち直した。

「私は本来左利きでね。相手によって向きを変えるの。こっちこそ私の本気よ。」

そう言って、素早く距離を詰め、ラトリスの顔にめがけて突きを放つ。恐ろしく早かったが、ラトリスは首をかしげただけで避けてしまった。

「ふふふ、良いわね。今の一撃を躱すなんて。」

「今のが本気か?」

「挨拶がわりよ!」

そう言うと、更に3度突きを放つ。これも全てラトリスは躱した。そしてかなり広めに間合いをとる。

「驚いたわ、これも躱すなんて。」

「…」

ラトリスは答えない。が、腰だめにカグラを構えて、

「今度はこちらの番だ。」

そう言って、マーリンに接近する。それを読んでいたのか、

「甘いわ!」

ラトリスの動きに合わせてゲイボルグを横凪にした。一瞬当たったかと思われたが、ラトリスはすんでのところで躱した。

「ふふふ、どう?あらゆる局面に対応できる槍こそ最強なのよ!」

「…」

するとラトリスはカグラを鞘から抜いた。そして、

「やはり二流の使い手だな。」

と、マーリンに向かって言った。

「何ですって!」

「槍の使い方は一流、しかしゲイボルグの使い方が三流だって話だ。」

「私を侮辱するな!」

怒りに任せてマーリンが前進する。しかしそんな動きが通じるほどラトリスは甘くない。ラトリスは素早く距離を詰め、横一線にカグラを振るった。慌ててマーリンはゲイボルグで防ごうとするが、時既に遅く、脇腹を斬られた。

「うぐっ!」

声にならない悲鳴をマーリンがあげる。

「いやー!マーリン様!?」

観客から悲鳴が聞こえるが、ラトリスは平然としていた。

「安心しろよ、死んでない。」

ラトリスの言葉に観客が黙りこむ。ラトリスはカグラを観客の方に向けて、

「この剣は特殊でな、片側は斬れるがもう片側は刃がない。まぁ、骨は折れてるだろうけど。」

それを聞いて、観客はマーリンの方を見る。確かに痛そうにしているが、斬られたはずなのに血は流れていなかった。

「で、勝負はどうなんだ?」

「ら、ラトリス殿の勝利だ!」

リーンがそう告げた。観客からは歓喜の声と罵声が半々で飛び交っていた。ラトリスはゲイボルグを掴んで、

「俺と一緒に来るか?」

と聞いた。

「勿論、一緒にいくよ。」

ゲイボルグも納得済みのようだった。ラトリスがゲイボルグを異空間へしまうと、リーンが、

「つ、次の試合は…」

と、告げようとしたので、

「今日は疲れた。また明日にしてくれ。」

そう言って、ラトリスは踵を返してコロセウムを出ていってしまった。


ラトリスが外に出ると、マリア達が出迎えてくれた。

「お疲れ様でした。」

「なんか凄すぎて、よく解らなかったわ。」

「何をしたのかは、全部見えただろう?」

「まあね。」

「それが全てさ。あれが見えたなら充分強くなっている証拠だ。」

「そうなの?」

「対戦相手は、何をされたのか解ってないでしょうね。」

「そうだな。また面倒な事にならなきゃいいけど。さぁ、城に行って飯だ飯!」

ラトリスはあっけらかんとしていた。


その近くの台の上で、レンが1人佇んでいた。

「…兄さん。」

その呟きを聞いた者はいなかった。

読んでくださっている方々、有難う御座います。

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