VS リサナウト
「それでは第2試合を始める!」
高らかにリーンが叫ぶ。
「待てよ、試合が終わって直ぐだぞ!?」
「いくら何でも早すぎないか!」
「休憩時間位、与えてやれよ!」
観客席から罵声が響く。
「むぅ…では10分後に始める事とする!」
たった10分、されど10分。ラトリスは準備の時間にあてた。ミョルニルと少し話し、異空間へ保管した。
「第2試合は、セリーユ王国出身、聖斧リサナウト所持者、ミリー殿とだ!」
「ふふふ、出番だよ。」
そう言って、ミリーが出て来た。
「あんな小さい子が…あんなデカい斧を振るうのか?」
「こりゃ、面白くなってきたぞ。」
観客も沸いた。
「ラトリスさんだっけ?」
「ん?」
「本気でやってよね。さっきのガーランドさんの時みたいに、剣も抜かずに勝てるなんて思わないでよね。」
ミリーはそう言うと、肩からリサナウトを降ろして構えをとった。軽々とリサナウトを振るうその姿に、ラトリスは少しだけ驚いていた。
「ならば、剣は抜こう。」
そう言うとラトリスは鞘からカグラを抜いて、正眼の構えをとった。
「いくよ!」
ミリーが突っ込んできた。間合いを詰めると横一線にリサナウトを振るう。その一撃を、ジャンプで躱し、ラトリスは跳び蹴りを放つ。しかしミリーは横凪の勢いのまま、回転して更に追撃を放つ。流石に躱せないと思われたが、フライの魔法で宙に浮き、回転斬りを躱す。暫くの間回転していたミリーが回転を止めると、ラトリスは地面に戻った。
「そんな魔法があるんだね。回転するのもしんどいんだよ?」
「知ったことか。」
そう言うと、ラトリスは下段の構えをとる。
「今度はこちらの番だ。」
ラトリスは一気に間合いを詰めて、下から斬り上げた。余りの早さに、ミリーはリサナウトの柄で受け止めるのがやっとで、勢いまで殺せず、後ろに仰け反った。
「うくっ!」
何とかこけることは無かったが、体勢を崩したのが致命的だった。ラトリスは空いた腹部にめがけて蹴りを叩き込んだ。
「ぐっ!」
ミリーはそれを受けて倒れ込んだ。そして、起き上がろうとして気付いた。ラトリスが自分の首筋にカグラをあてていることに。
「…くっ!」
「勝負ありだろう?」
「まだまだ!って、言いたいけどそうね。私の負けだよ。」
潔く負けを認めるミリー。そして、ラトリスにリサナウトを渡す。
「負けたからあなたにあげる。大事にしてあげてね。」
「あぁ。リサナウト。」
「ハッ!ラトリス殿。」
「お前も俺の物だ。よろしくな。」
「ハッ!よろしくお願いします!」
「へぇ、リサナウトってそんな喋り方なんだ。私と話してくれなかったのは、やっぱり所持者として完全に認めてくれなかったから?」
「それもあるが。ミリー殿は扱いがやたらと雑だったので…」
「あはは、そうだよね…」
「何があったのかは聞かねえよ。」
ラトリスは呆れかえっていたが、兎に角第2試合も無事に終わった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。




