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少しずつ癒されて
誰でも働けたということはみんな働けたということだ。不平等な国だったかもしれない。だが食べることはできたし、上を目指すことはできたし、未来に、次世代に希望をつなげることができた。子どもを作ることで。子どもがどれくらいの能力で生まれるかはわからない。だが、自分のように働ければ稼いで自力で大学に行くかもしれないし、それでなくてもまた次世代に希望を繋げばいい。なにより食っていける。そうやって不平等は少しずつ癒されていったのだ。
ハコモノは作られなくなった。作れ、とは言わない。だが、その過程で不平等を改善するという大事なことが起きていたならその代替を考え、手を打たないといけない。不平等が改善されなくなる。そして今、不平等感が蔓延しているなら、「ハコモノを作るのはやめる」という手を打ったことはとんだ愚策に手を出したということだ。どうにかしないといけない。急がないといけない。のんびりしているわけにはいかないのだ。