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モノを作る仕事
モノを運ぶ仕事はそのモノが発送される場所と配達される場所に近くないと得ることはできない。仕事をするのは守るべき生活があって、その生活がある場所から仕事に行って、仕事をして、もとにいた生活の場所に帰ってくるまでしてから完結する。遠い場所の仕事は請け負えない。本人が世界の裏側の仕事を請け負う気があっても雇う者はいない。それはその仕事が存在しないということだ。仕事をする人の方は見合う給料さえもらえれば構わないだろうけど。
モノを作る仕事は違う。地球の裏側の人から給料をもらうこともできる。つくるモノによっては。売れる範囲が広ければ売れる可能性が高くなる。モノをつくる人はどこの誰に売れても関係はないが、モノを売る人から給料をもらう以上、間接的には関係がある。まあ、つくるモノによってしまうのだが。
たとえば牛乳をつくる。思い浮かべて欲しいのは牛乳パックに入った牛乳だ。コップに入った、概念的な牛乳ではない。商品として店に並び、売れて売った会社の利益になり、作った人の給料になる牛乳だ。