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盗むな殺すな
法の下に秩序がある。すべてのことが合法に行われていれば秩序は存在している。だから950ドル以下の窃盗は軽犯罪であるという法律が正しい手続きで成立したなら秩序は存在しているのだ。そうだろうか。本当にそうだろうか。
ここからの考察では今現在起きているロサンゼルスやサンフランシスコなどの都市部での無法地帯化は対象範囲外とする。そこで起きたことから怒りや憎しみが積り始めただろうがそれは今は考えない。考えるのは法律は何でも決められるか、そこだけだ。
人々が集まり、人々が盗むな殺すなと言い出す。人々の集まりを社会と呼び、盗むな殺すなを ルールの、倫理の、規範のと言い出すのはそれから後の話だ。先ずは「盗むな」があり、そういう「行為の禁止」を規範と言い、それを手続きも含めて社会で運用するための細目をつめたのが法律だ。「盗むな」の上に法律が載っている。「盗むな」をないがしろにする法律は自らの社会での必要性を掘り崩していると言える。