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発展
今もカンニングペーパーは使われてはいる。日本ではない。経済が発展し始めるさまざまな国であのカンニングペーパーは使われている。その状況を利用して日本が儲けようという試みもあっただろう。それ自体は悪いことではない。日本が儲けることも重要だ。だがそれは決定的に一つのことを欠いている。あのカンニングペーパーは多くの人を豊かにした。工場で働く人たちを、その人たちが買うものを作る人たちも。たとえば教育産業も大きく、雇われる人を増やした。そういうことは起こせないのだ。
カンニングペーパーを使おうとする国に日本が売れるものは生産技術ということになるだろう。商品そのものではない。それはその国で、その国の人たちが作らないと意味がない。それこそがあのカンニングペーパーのキモだからね。みんなが豊かになる。それこそが為政者に求められることだ。彼らが支持され、殺されないで済む方法の一つだ。そこを間違える奴などいやしない。