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カンニングペーパー
こうして従業員は雇われ続ける。つまりは安定雇用だ。終身雇用と言ってもいい。さて、何が起こるか。教育に金をかけた。大学卒業までとなれば相当な額となるが安定して雇われ続けるなら借金ができる。教育ローンだ。そうして今がある。
今、日本の家庭には家電が詰まっている。その家電が壊れると買わないとな、と人々は思う。ちょっとでも売りたいメーカーは高機能家電を出してみる。利益率が上がったり、壊れる前に買い替えないかな、と期待してだ。なにが売れるかわからない。
つまりは、かつてはカンニングペーパーがあったようなものだ。それを見ながら製造し続けていけば何年も食って行けた。経営者も楽だったが雇われるほうも雇用が安定した。収入が安定した。自分たちが作った物も買ったし、教育も買った。教育も商品だ。買えば雇用を生む。教育を買い与えた子供たちの職場を作るかもしれない。だが、今はカンニングペーパーはなくなってしまったのだ。