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ブリコラージュ通貨から国民通貨へ
お金は便利だ。便利なように作ったし、便利だから使われて、もっと便利なように改良を加えられてきた優秀な道具だ。便利すぎて何のための道具か、どんな道具か意識されずに使われている。ひどいのになると神のごとく崇めていたりする。身近でいながら厄介な道具だ。
お金は作られた、そう言い切ってしまうとちょっと間違っている。物と物の交換が日常的に繰り返されたなか、ある種の取引が便利だと気づかれた。みんなが欲しがり、保存性の高いものと一旦交換しておく。これが便利だ。鮮度が落ちるものを必要な時に買える。かさばるものを必要な時に買える。
そこからお金は進化し続けている。別に価値のあるものである必要はない。価値さえ保証すれば紙切れでも成立する。紙である必要もない。あなたのお金はデジタルデータになってスマートフォンに入っていることだろう。
お金は行き当たりばったりに場当たり的に改良され続けてきた。ブリコラージュだ。