表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤立無援のロンリネス  作者: 須々木小次郎
1/1

転移01

飛行機と言うものはどうも苦手だ。

と、言うのもなんとなく車やバスや船なんかと違って落ちたり爆発したりするからだ。

もちろんそれはただのイメージでしかなくきっちり不備が無いようにエンジンはチェックされているし機長や副機長も人生で一度も重大な不備が無いようにチェックされているはずだ。

この6610便に機上している全員がエンジンや機長をチェックしている訳ではないが、何故か安心しきっている。

そんな状況や、不確定な情報では完全に安心などできるはずも無いのだ。

だから苦手なのだ、飛行機は。

空飛ぶ監獄と言い換えてもいいかもしれない。

言うなれば命を握られている様なこの感覚が苦手なのだ。

バスや船ならいざ知らず飛行機なんぞ運転もできないし、船のように一面が海と言う訳ではない。

無論、海にはサメや溺死や危険がいっぱいだが絶対に死ぬと言う訳ではない。

だが飛行機は違う。どうしようもない無力感。

だから'空飛ぶ監獄'なのだ。

実際死ぬかが問題じゃなく、そういった可能性が少しでもあると臨戦体勢を解けない、これが性分なのだ。

目は薄目にして色々と自問自答している。

時間は23時を回った頃だろうか、既に空港から飛び立って3時間が経過している。

周囲で起きている人間は少なく、機内は静かなものであった。

そろそろーーー、俺も寝ようかな、と。

眠気はなかった。寝ている間に死んでいるのも嫌だが寝不足で頭が重いままでいるのも嫌だった。

言い忘れていたが昨日から寝不足なのだ。理由は勉学とか仕事とかまあそういった誰にでもある簡単な事だ。

人間と言う生き物はーー、生産性や自慢や努力なんかの価値観で生きて、それが楽しくて、そういった人生が当然でーー。

そして俺はそんな社会に適合している訳では無かったが、無理に社会に順応していた。

そういったズレが、心身共にストレスを呼び寝不足や、悲観的な思考を招いていた。

そんな無理をしているのは自分のためだ。

今の世の中社会に反していたら自滅は免れない。

そんな生き方をすれば世間からは煙たがられ、親からは叱責され、顔も見たことの無い奴に罵倒される。

こんな世の中は俺は嫌いだったが、他に生き方があるわけでもなく。

だんだんと、俺は俺で無くなっていくような、体の芯が錆び付いて軋むような。そんなーー

ーー何故か、機内が騒がしい。

「………?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ