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願うのは笑顔  作者:
第2章 第1節【イージス学園小等部入学】
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頑張れレペテ


 寮に従者は基本連れてくることは許されない。男子寮は特にそう。子爵位下から二人部屋になるのも男子寮のみだ。

 

 元々“神緑の巫女姫(ゲーム)”は女性の主人公を操作し、恋愛をしつつ世界を救うものだった。だから男子寮について細かに設定はされてないというか、若干女性贔屓な設定も多くある。

 

 その一つが女子寮の者は従者を連れてきて良いということだ。男子寮は爵位の高い…それこそ王族や侯爵の子息でもない限り連れてくることは許されない。

 

 女子生徒が連れてくることを許される理由に体の手入れが入る。この世界にある物は結構質が良くない。シャンプーやトリートメントなんて名前ではないが、似たようなものはあるものの、どれも使い勝手が悪いし、この世界では長い髪が基本だ。

 

 理由は女性の魔力は髪に宿るとされているから。だからこそ長い髪はそれを手入れし保てる財力と、それ単体の美しさを意味する。

 

 馬車から降りた時のように婚約者の居ないものはこの学園やパーティーで相手を探そうとする。だからこそ女子生徒は許される範囲で着飾り、男子生徒も自分が出来ることをアピールする。

 

 私が連れてきたのはレペテだ。笑みを張りつけることが出来ず無表情を決め込むレペテは黒髪に黒い瞳だ。

 日本人でも見つけるのが大変なのではと思う程に綺麗な真っ黒ながらも艶のある髪にぞくりとするような黒い瞳を持っている。顔の作りも当然のように整っている。まぁ悪役側だったとしてもメイン入りしてるキャラだったから、そりゃ綺麗だよね…。

 

 ジークと別れて私の荷物を持って無表情のレペテが私の後を付いてくる。他に友人がいる訳でもない私は誰かに話しかけられる前にスタスタと背筋をぴんと伸ばしたまま歩き、渡された鍵と同じ宝石が嵌められた扉の元へやってくる。

 

 お金がかかってるな〜と思いながら鍵を挿して回す…レペテが。荷物もってもらう上、持ってた荷物を下ろしてまで扉を開けてもらうのが元日本人な心が荒む。うん。全力の謝罪が飛び出そう今にも。

 

 部屋の中にすまし顔で揃ってはいると…その場にレペテがへたり込む。

 

 「あー!もう!重たいよー!」

 「お疲れ様…」

 「サーレ様のカバンの中何が入ってるわけ…いやでも他の人の方が多かったよね?! どういうこと!?」

 「多分、私服が多いんじゃないかしら?」

 「私服!? 学園に!?」

 「うーん、休みの日は自由だから」

 

 にしたって!と我慢しきっていた思いがすごい勢いで吐き出される。不満が溜まってたんだなー。話の中には他の人の従者らしき名前がちらほら出てくるからいびられたのかもしれない。

 

 よしよしと頭を撫でる。

 

 レペテの性格でメイドをするには怒りっぽい性格をどうにかするべきだったんだけど、マーシェル家でも二年では完璧にしこめなかったらしい。メイド長には屋敷を出る馬車に乗り込むまで連れていく従者の変更を願われたなぁ。この子、屋敷で何やってたんだろ?

 

 「明日から一人とか無理…死んじゃう…」

 「まぁ、コルセットないし何とかなるわよ」

 「だってお手入れ…それを怠ったら…屋敷に戻ったら私殺されるんじゃない?」

 「大袈裟ねぇ」

 「サーレ様はメイド長の怖さを分からないんだーー!うあーん!もうやだー!ルトゥール!エテルネル!」

 

 めそめそと泣き出したレペテにすこし罪悪感が湧くんだけどこれは仕方ないのだ。レペテの闇魔法はそれはもう凄い。大人達が揃いも揃ってこれはダメだと首を横に振るレベル。まぁ王宮の結界破壊してるしね。破壊してもなおケロッとしてたからね…レペテがやってなかったら二、三人死んでてもおかしくないからね。

 

 ということで、暴走しても止められる人の傍に置いておくのが一番という考えに大人達の中で落ち着いたらしい。まぁ、あの事件の事もあったし警戒しておくのも致し方ないだろう。

 

 つまり、私がどうこうできることでは無い。これはどうやっても覆せない事だった。

 

 私と違い本当の子供であるレペテには申し訳ないけれど、頑張ってもらうしかない。

 

 とりあえず頭は撫でて置いた。触り心地はやっぱり良かったです。

 

 

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