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願うのは笑顔  作者:
第2章 第1節【イージス学園小等部入学】
88/143

レヴェル嫌いな


 

 和やかに話をしていると周りが静まり返っていたことにやっと気づく。どうしたんだろうと首を傾げるとジークが手を引いて肩を抱いてくる。

 訳が分からず顔を上げると私の肩へ触れようとしてたらしいレヴェルがそのまま固まっていた。

 

 「触んな」

 「…いくらなんでも独占欲強すぎない?」

 「…」

 「無視? 僕、ジークの友達だと思ってたんだけど?」

 

 レヴェルの発言にあからさまに嫌そうな顔を浮かべるジークにリトが吹き出し、笑いだした。

 

 酷く楽しそうにお腹を抱えながら笑うリトにジークとレヴェルはそれぞれ違いながらも冷たい視線を向ける。

 

 「ジーク…人気者ね?」

 「…」

 

 あ、今本気で嫌そうな顔してた。

 

 何故かジークはレヴェルの事があまり好きではないらしい。あの事件の後なんだかんだと話しかけに来るレヴェルに冷たい対応しかして居ないし、友達だろ?と聞かれればなったつもりは無いと吐き捨てている。

 

 リトとは案外すんなりと友達になったと言うのに、何故かレヴェルはいつまで経っても拒否られている。

 

 「ふ、ふはぁっ笑い死ぬかと思った…あ、そういえばレヴェル、僕も君達と同じ学年やり直す事にしたんだー」

 「は!?」

 「しかも、ジークと同じ寮の部屋!」

 何故か胸を張って言い切るリトにジークが再び冷たい視線を向けている。レヴェルといえば今度は顔を真っ赤にし怒りを我慢するように歯を食いしばる。

 

 「なぜこの男と!?」

 「…友人だからだが?」

 「だから、僕だって友達でしょ!?」

 「…」

 「せめて何か言ってよ…」

 

 賑やかな三人を見ながら本当に仲良いなと笑う。うんうん、ジークは素直に認めないけど友達が増えることはいい事だね。

 

 そもそもレヴェルはなんでジークのこと気に入ってるのか分かんない。ジークに流石に王子なんだから敬語使わないと駄目だと一度注意したら、本人から敬語はいらないと言われたと答えた。うーん。不思議よね、あるとすればあの事件の日にジークにレヴェルを探してと言ったくらい?その後何かあったのかしら。

 

 「これより、寮の扉を解放致します! 荷物を持ち、鍵を受け取りにいらしてください!」

 

 話していたのを止めて、叫ぶ訳では無いのに良く通る声で寮母がそう知らせてくる。何らかの魔法かな?使い勝手良さそうだし今度練習してみよう。

 

 「じゃあ、僕学園長と話してくるからねー! ジーク僕の分の鍵もよろしく!」

 「…わかった」

 「だから! なんでジークはあいつには素直なんだよ!」

 「別にリトに素直なんじゃなくて…」

 

 貴方と話したくないだけじゃないの?とポソりと呟くと涙目を向けられた。うん。何だこの状況。

 

 「ジークは僕の友達になるんだ!」

 「嫌だ」

 「なんであいつはいいんだよ!」

 「…」

 「また無視っ」

 

 レヴェルはあの日から自分の言いたい事を良く口にする様になった。母親に反抗できなかったせいで母親が居なくなったと知っているからだろう。生意気とも我儘とも取れるその行動は母親を亡くした幼い子供の癇癪として片付けられている。このままだと…

 

 「…そのうち痛い目にあうわよ」

 「いきなり怖いこと言わないでくれよ…なんなんだよもう…」

 

 つい心の中の忠告が口に出たらしい。少し驚いた様子のジークとげっそりと顔色を悪くしたレヴェルがこちらを見てた。口元を指先で隠しながら笑って誤魔化しとく。うん、まぁ何かあった時はグランシアノ殿下がどうにかしてくれるだろうし。

 

 レヴェルを拒否るために手を離していた為ジークから再び手を差し出される。それに手を重ねてゆったりと笑う。

 

 とりあえず今はジークと共に入学を迎えられることを純粋に喜ぼう。

 

 

 

わちゃわちゃ

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