見付けた最強の側に《アルside》
アルヴァルド・ルーテン・モナール。
先の戦争で、王により当主と認められたのが俺、アルヴァルドだ。子爵位でありながら俺は戦争の時上司となっていたレルム様の元で騎士をしている。
俺の家族は既にお祖母様しかおらず、お祖母様は俺のことをひたすらに気にしていた。
それは俺の病とも言えるほどの性格のせいだろう。女を綺麗と思えない、人の善し悪しは強さでしか見れない。そんな俺はどんな美女を目の前にしても欲しいと思うことは無かった。
戦場では強さがすべてだった。いくら美しい者達でも等しく死んでいく。強さが無ければただ死ぬだけ。強さがすべて。俺は、壊れてしまっているんだろう。
戦争も終わり平和になった国でレルム様に仕える。時々剣の相手をしてもらう、そんな俺の目の前に現れたのがお嬢様だった。
ターニャ様は赤子にビビる俺を捕まえてお嬢様を抱っこするようにと言った。柔らかな銀髪、綺麗で聡明そうな女神の目。彼女は俺が今まで見たどんな女よりも美しく、また纏う空気が強かった。
運命だと思った。護ろうと誓った。
この方はいつか俺の腕で囲えぬほどの存在になり、そして軈て俺を超えていくだろう。俺ももう三十。彼女が大人になり羽ばたいていくのにきっと俺じゃ年齢的にも追いつくことなんてできない。
初めて感じた敗北は、取りすぎてしまった年齢に対してだった。
追いつけない、いつか超えられてしまう、この小さな存在に。
湧き上がる感情はよく知っていて、それは強敵を前にしたあの興奮とよく似ていた。




